ひこばえ
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サングラス

サングラス掛けてこちらを見られても



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会長がバーベキューの件で相談してきた。
「日向さん、焼き子はどうしましょうか?」
「焼き子?なにそれ?」
「バーベキューを焼いてくれる女の子です」
「もちろん頼んでよ。地元の漁師のお婆ちゃんが出てくるんじゃないでしょうね(笑)」
「女子大生と聞いています」
「いいねぇ」
「いいと言いましても、お金が掛かりますよ。一人一万円」
「安いもんだよ。自分逹で焼いたって美味しくも何ともないよ。女の子に焼いてもらって食べるのが美味しいんだよ」
「3人でいいですか?」
「会長、こういう時はケチケチしても仕様がないよ。5人!5人でいこう!」

当日は絶好のバーベキュー日和だった。雲一つない空。風のない海。会員しかいない砂浜。貸し切りの海の家。焼き子は3人しかいなかったが、3人が3人とも美人で愛想が良かったので終日とても楽しく過ごすことが出来たのであった。
                                 (平成29年作)

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水着

豹柄の水着を持つてゐるといふ



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倫理法人会でバーベキュー大会を行うことになった。三浦海岸に「海の家」を持っている会員がいて貸し切りで使わせてくれるという。サーフィンやサップなども出来て楽しそうである。普通は10000円ほど掛かるものを5000円で使わせてくれ、会でも一部負担するので一人3000円で食べ放題、飲み放題、遊び放題にするという企画である。会員に声を掛けたところ結構な盛り上がりを見せ、家族で参加するという人も現れた。

明日がバーベキューという日になって海水パンツがないことに気付いた。
「昔穿いていたパンツ、今穿けるだろうか」
考えるまでもない。穿けるはずがない。腹回りが昔と全く違っている。昔のパンツを探すより買いに行った方が早い。会社が終わって近くにある金沢アウトレットに一人で出掛けてみた。
以前ジャージを買ったことのある「ナイキ」に入ってみると水着は扱っていないという。衣類にもいろいろあるらしい。どこで売っているのだろうと見てみると、サーフボードを飾っている店が目に入った。分かりやすい。「クイックシルバー」という店である。入るとすぐに店員が声を掛けてきた。可愛い女の子である。
「何かお探しですか?」
「海水パンツ」
「それならこちらになります。いろいろありますが、どのような水着をお探しですか?」
「オリンピック選手みたいなヤツでないヤツ」
「???」
「冗談、冗談。普通のヤツっていうこと。おそらく明日一回しか使わないから適当なのでいいよ」
「こちらの商品は70%オフになっています」
「70%も引いてくれるの?タダみたいなもんだね」
「お客様、サイズはおいくつですか?」
「自分の年ならすぐに答えられるけど、腹回りは測ったことがないから分からないなぁ。おそらく88」
私の詰まらない冗談に付き合ってくれながらも、商品を選んでくれた。
「お客様、シャツは如何ですか?」
「そうか、シャツも必要かぁ。商売上手だね」
「水に濡れてもいい素材のものがお勧めです」
「シャツが濡れることはないでしょ。そのまま海に入るっていうこと?」
「そうです。今は普通に着たままで入る人がいますよ」
あれやこれやを勧められて思わぬ買い物となったが、ひとまず準備を整えた。
                                 (平成29年作)

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五月闇

緞帳の上がりてよりの五月闇



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「オペラ座の怪人」―――聞いたことはあっても内容までは知らない。折角の観劇なので事前にあらすじを読んでおいた。19世紀のパリ、オペラ座の地下に住む怪人が美貌のクリスティーヌに恋をする。彼女を攫い自分を愛するようになることを望む。しかしクリスティーヌに仮面を外されて醜悪な人相を見られてしまう。自分への信頼を裏切らないことを条件に彼女を解放する。しかし……。大体の筋を頭に入れて劇場に入った。席は2階席だが、3階とも4階とも思えるほどに高い場所にある(写真)。
「遠いなぁ」
全員の第一声である。ガランとした席は徐々に埋まっていき、開演間際には満席となっていた。いよいよ開演である。期待に胸は膨らむ。照明が落とされオークションの場面から始まった。私が読んだあらすじにはない場面である。
「ん?何だろう……何をやっているのだろう」
音響は抜群である。よく聞こえる。色彩もいい。登場人物の衣装もいい。舞台に置かれた大きなシャンデリアが上に引き上げられて一瞬で配置が変わる。早業である。凄い。凄い。大仕掛けである。さすが劇団四季である。感動のオープニングである。
しかし、初っ端から意味が分からない。「???」の連続である。上演時間2時間40分。途中休憩時間を30分挟んでいる。前半を終わり、後ろの通路からゾロゾロと全員がロビーに出てきた。
「いやぁ、参ったなぁ。全然、意味が分からないよ」
「やたら人が出てきて誰が誰なのか分からない」
「分からないのは俺だけかと思って焦ったよ」
「音声ガイドでもないと付いて行けないなぁ」
「難しすぎるよ。水戸黄門のように分かり易くしてもらわないと(笑)」
「あと半分もあるの?ロビーでビールでも飲んでいようかなぁ」
いやぁ、本当に難解だった。あらすじを読んできた私がよく分からないのだから、他の人のボヤキも分かろうというものである。休憩を終えて、再び中へ戻ろうとする姿が心なしかうなだれて見えたのは気のせいだっただろうか。

観劇を終えて夕食会での会の会長さんの挨拶である。
「私も何度か劇団四季の舞台は観に行っております。『ライオンキング』なんかは見ているだけで分かりました。しかし、今日の『オペラ座の怪人』は私の理解力を遥かに超えていたようです。よく分かったという人がいましたら教えてください。私はその人を尊敬します(笑)」
                                 (平成29年作)

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梅雨

梅雨は憂し拭ひてもなほ曇る窓



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ミュージアムを出て昼食会場に向かった。桜木町駅前のワシントンホテルでのバイキングである。ここで腹一杯に食べてしまうとミュージカルで居眠りをすることになる。もちろん、アルコールは抜きである。我々40名のために個室が用意されていたが、食べ物はバイキングなので面倒でもトレイを持って取りに行かなければならない。ちょうど同じ時間に小学生の集団が来ていて大わらわである。
「小学生がホテルでバイキングなんて贅沢だよねぇ」
「食べ放題だから先生も楽なんだろう」
「茨城から来た6年生ですって」
「みんな、大盛りで凄いよ」
「カレーライスが人気で、今ご飯が無くなったって騒いでいたよ」
「今から米を研いでいるようじゃ大変だ(笑)」
コーヒーを取りに行ったついでに小学生に声を掛けてみた。
「ホテルの料理はうまかっぺよォ」
先日覚えたばかりの茨城弁「いがっぺよ」の変形バージョン「うまかっぺよ」を使ってみた。そういう言葉遣いがあるかどうかは分からないが、少なくとも何らかの反応があるだろうと期待したが全くの空振りに終わった。茨城県人には見えなかったようである。

バスに乗り込んでいよいよ劇場に向かった。前の席に座っていたご婦人が4回目の「オペラ座の怪人」観劇だという。
「へぇー、4回目ですか。凄いですねぇ。そんなに面白いんですか?」
「何度観ても、その時その時で感動が違います」
「いやぁ、楽しみだなぁ」
                                 (平成29年作)

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梅雨寒

梅雨寒や男が啜るカップ麺



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会社は「優申会」に所属している。税務署が認めた優良申告法人で構成された会である。そのメンバーで年1回親睦のバス旅行を行なう。今年は横浜の神奈川芸術劇場で行われている劇団四季のミュージカル「オペラ座の怪人」の観劇である。新杉田駅前で大型バスに乗り込み、最初に向かったのがみなとみらいにある日清食品のカップヌードルミュージアムである。
「こんなに近くなら別にバスでなくても良かったのに……」
そんな声も聞かれたが、「バス旅行」と銘打っているので現地集合はない。行先がたまたま近場だったというだけのことである。所詮、オペラ座までの時間つぶしだが、40名の移動なのでバスは絶対に必要なのである。ちょうど梅雨入りしたばかりなので傘持参で集合した。
館内は修学旅行の学生で溢れていた。どこから来たものだか、さまざまな制服が見られた。
「わざわざ修学旅行で来る場所だろうか?」
「我々と同じでどこかに行くまでの時間つぶしなのかも」
「学生は入場料無料となっています」
「なるほど、時間つぶしにはちょうどいい」
完全に時間つぶしと決め付けている会話である(笑)。我々は一人500円の入場料を払っての見学である。最初に入った場所にインスタントラーメンの歴史が綴られていた。壁面一杯に実物のラーメンが貼り付けられていた。1958年の即席チキンラーメンがスタートである。
「ああ、懐かしいなぁ。食べた、食べた」
「あれから60年かぁ」
「俺はまだ生まれていなかった(笑)」
「なに言ってるの、戦中派でしょ(笑)」
創業者の安藤百福氏の足跡を辿るシアターも用意されていた。14分間の映像である。インスタントラーメン開発に賭けた熱き思いを次の6つのキーワードに沿って説明していた。
① まだ無いものを見つける
② なんでもヒントにする
③ アイデアを育てる
④ タテ・ヨコ・ナナメから見る
⑤ 常識にとらわれない
⑥ あきらめない
館内に発明家の写真が飾られていた(写真)。その真ん中に安藤氏がいて、なるほどインスタントラーメンが世界中の食文化に与えた影響の大きさをアピールしている。
                                 (平成29年作)

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