落葉 - 植物
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日向 亮司

Author:日向 亮司
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落葉

思ひ出の落葉一枚小机に



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翌朝ホテルで快晴の富士山を眺めながら朝食を済ませ、少しノンビリと過ごしてから横浜の小机に向かった。「小机城址」の見学である。太田道灌を廻る旅の締めくくりに寄ってみたかったのである。
文明10年(1478)、太田道灌率いる軍勢が丸子城と小机城に向かっていた。ようやく古河公方足利成氏と上杉顕定が和睦し、残る敵が成氏に味方していた長尾景春その一派だけとなっていた。丸子城に着くと敵は恐れをなして小机城に下がって集結していた。一気に攻め落とそうと進軍したが、道灌率いる足軽隊の数は百騎たらずである。対する小机城には数百人が籠城している。さすがに足軽隊の士気は上がらない。
「めずらしく足軽隊が敵を恐れています」
「ふむ」
馬上で道灌は考えた。やがて
「いま、おれは軍歌を作った。これをみんなで歌おう」
怪訝な顔をする部下の前で歌い始めた。
「小机はまず手習いの初めにて いろはにほへと ちりぢりになる」
聞いていた者が吹き出した。
「いや、おもしろい歌です。その歌を歌えば、足軽隊も一気に士気が盛り上がるでしょう」
足軽隊もゲラゲラと笑い出した。これから攻める「小机城」と子供が手習いを始める「小机」を引っ掛けたのである。ちりぢりになるとは敵がちりぢりになるということであり、こちら側の勝利を意味する。一斉に歌いながら攻め立てて難なく城を落としたことはもちろんである。童門冬二の「小説太田道灌」の第2章で面白おかしく書かれていたので一度見ておきたかったのである。
JR小机駅から歩いて10分ほどの駐車場に車を停めて歩いた。踏切を越えて民家の中を行くとすぐに城址の登り口となっていた。「小机城址市民の森」という公園になっていて階段や柵などが整備されている。竹林の中を進み、空堀や土塁の跡などを見て回った。本丸広場、二ノ丸跡、曲輪跡、櫓跡などがあり、第三京浜に分断された先には「富士仙元」と呼ばれた曲輪跡もあり日産スタジアムも近くに見えた。日曜日だというのに訪ねてくる人もなく、一人寒林の中で鳥の声を聞きながら500年もの昔に思いを馳せたのだった。
                                 (令和2年作)




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