シャワー - 人事
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シャワー

我が五体所詮借り物シヤワー浴ぶ



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初めは歩きにくかったが徐々に慣れてきた。ウォーキングの仕方もユーチューブで見た通りの動きが出来るようになってきた。身体を前傾しそのままにしておくと溺れそうになる。そのタイミングで足を大きく前に出すのである。腹筋に力が入る。しかもその時、足は大きく外側の水を掻くようにする。瞬時に力が入る。これはいい。腹回りを減らすには最高の方法だと思った。身体に掛かる浮力のお陰で膝にも踵にも負担が掛からない。それでいてお腹に力が入るのである。よし、これを続けよう。まずは92センチを85センチ辺りまで持ってこよう。いいことを知ったと一人喜んだ。
およそ30分ほど歩いて疲れてきた。違うレーンで少し泳ごうかなとも思ったが止めておくことにした。人が多すぎるのである。25メートルを泳ぎ切れない中途半端な平泳ぎしか出来ない私は回りでバチャバチャとやられると溺れそうになるのである。調子に乗ってはいけない。あれはもう15年以上前のことである。調子に乗って溺れた時のことを思い出していた。
妻と二人で金沢文庫にあるスポーツクラブに通っていた。水泳を覚えようとしたのである。初級コースから始まり、徐々にレベルを上げて行った。ボビング、ビート板、息継ぎの方法など段階を追って練習していた。「ハワイのプールを二人で泳ごう!」などと盛り上がっていたのである。初めて2ヵ月位した頃である。少し自信の付いてきた私はその日の練習を終えたあと、一つ上のコースにフリー参加したのである。軽い気持ちである。「あれ位は出来るだろう」である。他の人に続いてやってみたところ、いきなり水を飲んでしまった。慌ててその場に立とうとしたが足が底に届かない。更に慌てる。バチャバチャと水を漕ぎプール際には辿り着いたが、なぜか呼吸が出来ないのである。息をしようと思っても空気が入って来ない。ギヤー!奇声を発したようである。プールじゅうが注目する大きな声だったようである。死ぬかと思った。係員が駆け寄って手当してくれたが、恐ろしい体験だった。「過呼吸」だという。あれっきりスポーツクラブは退会した。もちろん、泳ぎは成長していない。40年前に覚えた自己流の平泳ぎは水面に顔を付けることが出来ない中途半端な泳ぎである。
嫌な記憶を思い出しながらもプールを出た。長いスロープを上がってくる時に意外なことに気付いた。水から出た途端、身体が重く感じられたのである。いつもは何も感じていなかった自分の身体の重さを実感した。浮力のせいで軽く感じていたとはいえ、こんなに重い身体を普段は普通に歩いたり走ったりしているのだ。もっと負担の掛からない標準の軽さに近づけるべきである。もっとスリムになろう!堅い決心である。

終って移動した風呂場は至ってシンプルだった。バブル湯も何もない。出来て20年以上経つ施設なので、今どきのスーパー銭湯のようにはなっていないのである。ただの風呂である。これから会社の帰りに寄ってウォーキングをするにしても、ここの風呂には入らないでも良さそうな気がした。
                                 (平成29年作)

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