囀り - 動物
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囀り

囀りに一音高き声のあり



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1時ちょうどに入り、商談を終え会社を出たのが2時10分であった。2時50分の電車に乗ればいいのだから楽勝である。
「大丈夫だろう」
「はい、大丈夫です。30分には着きます」
車内であれこれ話しながら余裕を決め込んでいた。ところが大宮駅までの道路は一本道で何度も渋滞を繰り返す。どんどん時間は迫ってきて少し焦り始める。
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫だとは思いますが、なにせ一車線ですから」
最後は駅の手前300メートルで車を降りることになり、急ぎ足で歩いたものである。駅構内に入りキョロキョロした。湘南新宿ラインの快速に乗るように言われている。
「あっ、これだ」
と思って降りたホームで待つこと5分。出発時間が迫って来るが、電光掲示板に一向に快速の案内が現れない。
「あれっ、間違えたかな?」側にいた駅員に聞いた。
「ああ、それは隣のホームです。もうすぐ電車が来ます。お急ぎください」
「ヒヤー!」
会社で印刷してもらった紙をよく読んでいなかった。見ると出発ホームの何番線まで書かれている。全く注意力不足である。そもそも意識がそこに行かないように出来ているのである。

何とか無事に南林間駅に辿り着き指導員の先生とも落ち合い、時間前に取引先に到着することが出来た。従業員の皆さんも待っていてくれた。
早速、活力朝礼の練習が始まった。やったことのない人ばかりだったので説明している間にも妙な緊張感が伝わってくる。何をさせられるのだろうかと不安に思っているようである。最初に手本を示した。姿勢の正し方、お辞儀の仕方、声の出し方、挨拶の仕方、本の持ち方などである。
「こんな感じで行います。これから皆さんにも同じことをやっていただきますのでマネをしてみて下さい」
全員にちょっとした余裕の表情が見られた。「ああ、こんなもの?」という感じである。初めのうちはぎこちなかった動作も繰り返すうちに覚えてくる。1時間ほどの練習で形が出来上がり、普通に大きな声が出始めた。
「簡単!これでいいんだ!出来る、出来る、これなら出来る!」という声が飛び出す。
いつも元気のない朝礼で困っていると話していた社長さんも嬉しそうである。
「どうなるかと心配していましたが、これなら大丈夫そうです。意外と簡単で安心しました。いい朝礼が出来そうです」と大喜びである。従業員の皆さんも喜んでくれて「こんなに簡単なものだと思いませんでした」と言ってくれた。
朝からいろいろあった一日だったが、埼玉でも座間でも感謝されることになり、ホッとした一日となったのである。
                                (平成29年作)

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