冬ざれ - 時候
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冬ざれ

冬ざれや閉ぢることなき駝鳥の眼



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美術館を出て上野精養軒に向かった。その途中に上野動物園の入口があり何列にも亘って長蛇の列が出来ていた。明治15年に開園した日本初の動物園である。開園以来の人気は続く。上野といえば動物園であり、西郷さんの銅像と共に上野にはなくてはならない存在である。その列の後ろを通り過ぎると遊園地があり、小さな看板が立てられていた。
「閉園のお知らせ、70年間ありがとうございました」と書かれている。動物園の向かいにある「上野こども遊園地」閉園の挨拶である。内容は次の通りであった。
「この度、地主である東京都から『動物園の魅力を高めることを目的とした正門前広場の整備工事』の支障となると許可を取り消されましたので、やむを得ず8月31日(水)をもちまして廃業いたしました。70年間という永きにわたり営業を続けることができましたのも、ひとえに皆様方のご愛顧の賜物とスタッフ一同、心より感謝申し上げます」
なんとも切ない文章である。動物園の魅力を高めるための工事に「支障となる」と言われてしまったのである。「許可を取り消され」に悔しさが滲み出ている。70年間、上野動物園と共に子供達を楽しませてきたはずなのに、最後の最後に「支障となる」と言われてしまったのである。何があってこのような文章を書くことになってしまったのだろう。否が応にも、さまざまなやり取りのあったことが想像されてしまう。決してどちらがどうと非難するつもりはないが、ふと高村光太郎の「ぼろぼろな駝鳥」という詩があったことを思い出したので載せておくことにした。

「ぼろぼろな駝鳥」
何が面白くて駝鳥を飼ふのだ。
動物園の四坪半のぬかるみの中では、
脚が大股過ぎるぢやないか。
頸があんまり長過ぎるぢやないか。
雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢやないか。
腹がへるから堅パンも食ふだらうが、
駝鳥の眼は遠くばかり見てゐるぢやないか。
(略)
これはもう駝鳥ぢやないぢやないか。
人間よ、
もう止せ、こんな事は。

本来は次に上野精養軒、鈴本演芸場の話を書く所であるが、年も詰まってしまったので、後日機会があればということになってしまった。年が明けてすぐ、あの「薔薇の絵」を購入した話を書かなければならない。書けなかったことの多さよ。年の瀬は何かと慌ただしい。
                                 (平成28年作)

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