2020年05月の記事 - ひこばえ
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Author:日向 亮司
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ひこばえ


2020年05月の記事

春の夢

春の夢死ぬも生きるも屁のごとし



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(承前)皆々、鼻を押さえる。堪えきれずに庄司さんは客室の方へ移動して行った。その臭いたるや、自分でも驚くほどに強烈で、広い範囲を漂ったようである。しばらくして急に笑いが込み上げてきた。他人に屁を嗅がせておいて笑ってしまっては弁解の余地もない。必死に堪えていたが、周りでじっと我慢している人達の胸中を考えると申し訳ないと思う気持ちよりも笑ってしまいたくなるような気持ちの方が大きくなったのである。自分で屁をこいて、一人で笑いを堪え、知らぬ顔を決め込んでいる図である。
乗り込んだ時、洞爺丸事件やソ連船に沈められたという樺太からの引き揚げ船を思い浮かべていた。大荒れの海に、これから死んでいくかも知れない船内の緊張を思った。しかしその思いとは裏腹に、沈まぬことを確信し切っている自分が自分の放屁に笑いを堪えているとは何と軽薄で何と詰まらない男の姿であることか。自嘲せずにはいられなかった。哀れな男である。

船揺れて死ぬも生きるも屁のごとし

到着した久里浜港は嘘のように凪いでいた。船は何事もなかったかのように接岸し、ロープが抛られた。係員の合図に従って船底から次々と吐き出される車の列に混ざり、ひときわ大きくエンジンを吹かして我々呑兵衛会7人衆は無事横須賀に上陸し旅を終えたのだった。

翌日この日記をコピーしてメンバーに配った。数日後、野田さんから手紙を受け取った。
「日向さんの安房での思い出が………
東洋一の大仏でもなく
寒風の中で釣り上げた二匹のフグでもなく
下請の人間がどのようにして別荘を手に入れたかという、その興味でもなく
あの荒波の中、船底が海面を叩く「ドーン」と鳴る音で、洞爺丸の惨事に思いを馳せ、放屁一つで生き死の問題を笑い飛ばしていたとは………
弛緩した日常を送る我々に、物事に真摯に立ち向かい畏れを持って臨めという警鐘なのでせう」

別に警鐘を鳴らした訳でも何でもないのだが、そう受け止められたようである。
このあたりから呑兵衛会で行事を行なうたびにレポートするようになり、メンバー全員が終わってからの楽しみとしてくれたようである。
(注)写真左から野田さん、坂口さん、佐久間さん、好川さん、守屋さん、庄司さん。みんな、若い。
                                 (令和2年作)




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