2020年05月の記事 - ひこばえ
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Author:日向 亮司
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ひこばえ


2020年05月の記事

虫干し

虫干しや読めば涙の古日記



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外出禁止令が出されたようなゴールデンウィークになってしまった。どう過ごそうかと考えて、ダンボール箱に放り込んだままになっている昔の写真などを整理してみることにした。最初に出てきたのが古い日記帳3冊である(写真)。平成5年9月27日から平成8年9月14日までの3年間付けていたものである。ペラペラと捲っているうちに止まらなくなってしまった。読むに堪えない文章もあれば懐かしく思い出す文章もある。面白そうなものだけを拾い出して書いてみよう。まずは呑兵衛会のことからである。

平成6年1月24日(月)「安房に遊ぶ」
天候は晴れ。南西の風強く、海上は白く波立っていた。初日は日本寺大仏の見学と館山の野田別邸宿泊。2日目は安房神社参拝と白浜フラワーラインのドライブ。野田邸では手製のちゃんこ鍋に舌鼓を打ち、濁り酒は濁れるごとく、海の味覚に酔いしれながらマグロの目玉を啜った頃にはお腹の具合は少々弛緩状態となっていた。
帰りのフェリーの時間を気にしながら金谷港に到着したのは午後3時。吹き荒れる風の強さに驚きながら待合室で聞いたのは次便欠航を告げるアナウンス。東京迂回のことを考えれば最終便に乗れる幸運は天与のものである。3時35分の定刻を20分遅れで久里浜丸は出航した。
入り江を出た途端に船は大きく揺れ始めた。乗客はほぼ満員で座る椅子とて無い。犇めく客室内に熱気が立ち込める。デッキに出てみたが強風に舞い上がる波しぶきですぐに眼鏡が曇り、あまりの寒さに車で飲んだアルコールが一気に抜けて行った。空は抜けるように青く、離れ行く房総の山並みがくっきりと見える。海は砕け散る白波が時折虹を作り、時に青く、時に淡いグリーンに色を変えてうねり続けている。船は大揺れである。波の上に大きく乗り上げて落ちる時、船底が海面を叩く。ドーンという音と共に船体が激しく振動し、乗客の悲鳴が上がる。
野田さん、守屋さん、好川さんの3名は客室中央の階段付近に位置を占めていた。庄司さん、佐久間さん、坂口さんと私の4名はトイレの入口に近い通路にしゃがみ込み、ガラス越しに海の様子を眺めていた。トイレに行く客が引っ切り無しに行き来するが、しばらくすると船酔いの客が混じり始め、中で嘔吐する苦しそうな音が聞こえてくる。
航程も半ば近くに達すると、大きな揺れにも慣れ、騒ぎ立てる人も居なくなり、軽食を口にしたり、ビールを飲んで声高に話す老若のいつもの姿に戻っていた。しかし相変わらずトイレを使う人は多く、途中で通路にしゃがみ込む人も増えていった。ここで私は不覚にも音無しの放屁をしてしまった。前日からの腹具合の悪さによるものである。瞬時にその臭いの強烈なることを自覚する。近くにいる坂口さん、庄司さん、佐久間さんが異臭を嗅ぎ、「臭せぇなぁ~」と口にする。
「トイレが壊れたんじゃないの?」
「詰まって逆流しているのかな?」
「それにしても凄い臭いだなぁ……」
(つづく)
                                 (令和2年作)




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