2020年02月の記事 - ひこばえ
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Author:日向 亮司
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ひこばえ


2020年02月の記事

冴返る

図書館に玻璃の歪みや冴返る



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「愛宕山」を降りて駅に向かった。品川での待ち合わせ時刻まで2時間もある。<どこで時間を潰そう……>その時、目に入ったのが「港区立みなと図書館」の文字である。いつもは気に留めることもない図書館だが、そういう時に限って目に入って来るものである。駅の入口から180メートルとあり、いやに近い。「渡りに船」とはこのようなことを言うのだろう。中に入ると係員のような人が立っていて「こんにちは」と声を掛けてきた。もちろん挨拶は返したが、正直見張られているような感じがして違和感を覚えた。<本の盗難防止だろうか……>あまりいい感じはしない。中に入ってすぐには席に着かず、まずは館内を一回りしてみた。きれいである。本棚がきれいに見えた。何がきれいなのかと見てみると本の並び方がきれいなのである。本棚の棚の面に合わせて背表紙を揃えている。小さな本も大きな本も手前合わせに一列に並んでいるのが気持ちいい。整理整頓とはこのような美しさをも実現するのだと感心した。たまに入る図書館にいろいろと感じさせらるものである。
席に着いて手持ちの本を読み始めた。もちろん「アメーバ経営」の本である。おおよそのことは理解してきたが、実際に会社に取り込もうとすると難しそうなところが見えてくる。問題となりそうなところを読み込んでいる。
ガシャーン。突然、離れた場所で大きな音がした。「バカヤロウ!俺が〇△□……」急に何かが起きたようである。男の大声が聞こえて来る。何を叫んでいるのかは聞こえないが相当に興奮している。しかし男の声は聞こえるが、相手の声は聞こえない。静かな図書館のことなので係員が対処しているものと思われるがその声が聞こえて来ないのである。「何するんだ。このヤロウ。俺は〇△□……」5分位続いただろうか。急に静かになった。外に出されたようである。何があったのは知らないが、おかしな人はいるものである。
それよりも異常に思えたのは私の周りで本を読んだりして過ごしている人達のことである。大声が聞こえている間も誰一人としてそのことに興味を示す訳でもなく、自分のペースを守っているのである。<なになに、誰も見に行かないの?……>身体を反転させて何か見えるだろうかと探ろうとしているのは私だけである。<もしかして音が聞こえているのは私だけ?>と錯覚させられるほどの無反応である。<フムフム、我関せずといったところか……>英字新聞を読んでいる70代男性。格闘技の雑誌を読んでいる40代男性。料理のレシピを写真に収めている30代女性。週刊誌を取っ替え引っ替えしている50代男性。その他にも何人もいたのだが、誰も関心を示さない。何事もなかったかのように静まり返っている。
帰り際に入口に立っていた係員に聞いてみた。
私「さっき、何があったんですか?」
男性「えっ、何かありましたか?」
私「えっ……」
                                 (令和2年作)




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愛宕山梅を手折りて献上す



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2月6日(木)、夕方に三重県の友人と品川で飲むことになっていたので少し足を伸ばして「愛宕山」を訪ねてみることにした。伊集院静さんの時に書いた「愛宕山」である(令和2年2月14日、ひこばえ「日脚伸ぶ」)。品川の先で三田線に乗り換えて御成門で下車すると歩いて5分ほどの場所にある。地下道をくぐってエレベーターで地上に出ると地図が出ていた。虎の門ヒルズや他のヒルズ、今まさに建設中のヒルズもあり、ヒルズだらけの中に小さな森がある。東京23区内で一番高い山である。25.7メートル。夏目漱石と正岡子規が見たら何と言うだろうか。そこだけが開発されずに残されていることに驚くかも知れない。まさに「摩天楼より新緑がパセリほど」(鷹羽狩行句)である。
その日の朝、桜木町のクリニックで胃カメラの検査を受けていた。胃カメラの日に飲酒とは……もし生検でもあったらドクターストップのところである。昨年の手帳と今年の手帳の差し替えの時期に胃カメラの予約をして前々から決まっていた飲み会とブッキングしてしまったのだ。性格が細かい割にはいい加減な所がある。予約を変更しようと連絡をすると随分と先のことを言われたのでそのまま受けることにした。結果は異常なし。年に一度の胃カメラに問題はなく、細胞も取られなかったので大手を振って飲みに行けたのだった。
「ミチクサ先生」には愛宕山を見上げながら「山登りというのは何がええんかのう?」と問い掛ける子規が出てくる。それに応えて曰く「私は山を登ると、自分のことや、この先のことを、なぜかよく考えることができるんだよ。その時はたしかに山に登っているだけなのに、なぜか、自分のことや、世間、社会というものがよく見えるんだよ」
今はビルの間に埋もれたようになっている「愛宕山」だが、当時は視界を遮るものもなく四方を見渡せたことだろう。海外旅行に出掛けた時に自分の小ささに気付いたり、日本の狭さを感じたりする感覚と同じかも知れない。「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」とは「草枕」の冒頭である。「愛宕山」の階段かどうかは分からないが山を登りながら考えるのが好きな漱石先生のようである。
「出世の石段」86段を一気に登った。この坂を馬で駆け上がって大出世を成し遂げた武士がいたというがまさに命懸けの傾斜角度である。落ちたら普通の怪我では済みそうもない。乱れた息を整えながら神社へと進みお参りを済ませた。
(注)寛永11年春、三代将軍家光公が愛宕神社の下を通りかかった。折しも梅が満開である。「誰か、あの梅を馬にて取って参れ」。これに応えたのが四国丸亀藩家臣「曲垣平九郎」である。一気に石段を上がり降りして梅を献上した。
                                 (令和2年作)




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芽吹く

芽吹くものあり成長の兆しあり



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日経新聞の「ミチクサ先生」の連載が2月20日を以って終了した。158回目での中断であり、最後に「今回で休載します」と書かれていた。初回から楽しく読んでいただけに残念である。伊集院静さんの病状が快方に向かうことを願うばかりである。本文は漱石先生が松山の学校から熊本へ転勤するところで終わっている。「学問であろうが、芸術であろうが、人一倍苦労せねば出来るものではない」と卒業生に向かって言葉を送っている。120年以上も前の言葉が胸に沁みる。

ちょうどその日、社内でトヨタ式の研修会の中間発表が行われた。発表が終わり最後に私の挨拶の順番が回ってきた。
「たくさんの中小企業がありますが、大きく2つに分けることが出来ます。成長している会社と成長していない会社です。当社はどちらに入るでしょうか。先日、隣の会社の〇〇部長が私にこう言ってきました。「ナカゴメさんは凄い。これだけの設備投資をしてやり方を変え、大きく会社を成長させている」と。部長は当社がこの場所に進出した昭和57年からずっと横で見てきた人です。確かにここ10数年で15億円の投資をしてやり方を変えてきました。しかし傍からは成長するように見られていても、私にはこの会社が成長しているようには見えません。なぜか。それは成長する会社のイメージと今の会社の実情が大きく乖離しているからです。私の思う成長している会社とは、様々な問題に従業員が自ら気付き、取組み、解決している会社のことです。今のナカゴメは毎日の仕事をただ淡々とこなしているだけの会社にしか見えません。問題がたくさんあるにも拘らずその問題に気付かず、また気付いても取り組もうともせず、同じやり方を延々と続けている会社です。これでは駄目だなぁと思い、今回トヨタ式の指導をお願いしました。
会社の中には様々な問題があります。運搬のムダ、動作のムダ、手待ちのムダ、不良を作るムダなどトヨタでいう「7つのムダ」などは最たるものです。そこに気付いて、考えて、話し合って、真剣に取り組んでいるでしょうか。不良を作ってもただ手直しをして済ませるだけ。なぜ不良が起こったかを考えず、再発の対策にも取り組んでいない。何の問題意識もなく目の前の仕事を淡々とこなしているだけでは会社は変わっていきません。問題に気付き、それに向かって従業員が本気で取り組んでいる会社を私は成長する会社と考えます。そうありたいと願っています。今回、トヨタ式の指導を受けて8人のメンバーが勉強してくれています。しかし、折角勉強したことも職場の全員が理解し、参加して行かなければ一時的なことで終わってしまいます。
会社を取り巻く環境は大きく変化しています。会社が変わり、成長していかなければ存在することさえ厳しくなる時代です。全員がそのことに気付き、本気で取り組むことが大切です。8人がやろうとしていることを理解し協力して会社のレベルを上げて行こうではありませんか。成長していく会社に変わって行くことを期待しています」
                                 (令和2年作)
(注)写真は画家福山小夜氏による「ミチクサ先生」最終回の挿絵である。




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フルートの高音に春の別れかな



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賀詞交歓会が2月に行なわれるのは珍しいことではない。かながわ信用金庫の1日(土)に続き、4日(火)には横浜のホテルで横浜南優申会の賀詞交歓会が開かれた。昨年まで会計幹事をしていたのでおおよその流れは分かっているが、会長が変わって少しやり方が変わったようである。いつもはどこかから講師を招いて話をしてもらい、第二部で懇親会となるのだが今回は講話ではなくミニコンサートを開くという。会長と税務署長の挨拶のあと、コンサートの準備のため15分ほどロビーに出てウェルカムドリンクを飲みながら待つことになった。仲良くしているKさんとの会話である。
Kさん「変わったね。こんなのは初めてだね(笑)」
私「そうですね。新会長もやり方を変えようと苦労しているみたいですね」
Kさん「一泊旅行もなくなって、今年は日帰り旅行になるそうだよ」
私「聞いています。残念です(笑)」
Kさん「日向さんとももう飲めなくなるなぁ。実は今月で引退することになりました」
私「えっ、会社を辞めるんですか?」
Kさん「そう。もう俺も誕生日が来たら80だもの」
私「まだ80じゃないですか。あと10年はやれるでしょう」
Kさん「俺は大丈夫なんだけど、社長がもういらないと言うもんだから」
私「そうなんですか。残念だなぁ。それにしてもよく飲みましたねェ(笑)」
Kさん「日向さんと飲むのは楽しかったなぁ。いい思い出だらけだよ(笑)」
スマホを取り出した。いろいろな写真が写っている。
Kさん「はい、これ……」
私「あっ、ヤバイ。いつ撮ったんですか(笑)」
Kさん「これは軽井沢かなぁ……まぁ、これも今月一杯で消去しますからご安心ください(笑)」
ちょっとした淋しさを感じながらコンサート会場の席に着いた。フルートとバイオリンとピアノである。きれいなドレスを着ていて我々には勿体ないような気もする。最初に演奏したのが松任谷由美の「春よ来い」である。
<おお、いいなぁ……>
久し振りにいいものを聴いている自分がいた。全部で7曲ほど演奏したが、最後から2番目に演奏した曲が心に沁みた。その曲を演奏し終わったあと、フルートの女性が作曲者名と曲名を口にした。聞きづらかったが何とか書き留めた。「ビットイロモンキー」と記入した。曲名は「チャーシュー」と書いている。早口なので聞き取れなかったのである。帰りの電車の中でいろいろと検索してみたが出てくるものではない。最後にようやく辿り着いた。「ビットリオ・モンティ」。曲名は「チャールダーシュ」。浅田真央さんが何かの大会で優勝した時の曲のようである。家に帰って寝るまでの間に何回も聴き、翌朝の車の中でも聴き、今度の休みの日にCDを探しに行こうと考えていた。この曲を聴くたびにKさんを思い出しそうである。森進一の「女のため息」は卒業した。
                                 (令和2年作)




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草萌ゆる

変はるもの変はるべきもの草萌ゆる



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2月1日(土)横須賀のホテルで開かれた「かながわ信用金庫」の賀詞交歓会に出掛けてきた(写真)。10時半受付開始で11時開宴だったので10時40分には到着していた。定刻に始まり、理事長の挨拶のあと10人近くの来賓の挨拶が長々と続き、ようやく乾杯に辿り着いたのが11時55分である。長い。1時間15分、立ちっぱなしである。話は右から左であるが、一人だけ心に残る挨拶をされた方がいた。どこのどなた様かは分からないがアグネスチャンの話をされていた。
「ある番組で司会者から『幸せとは何だと思いますか?』と質問されたアグネスチャン。しばらく考えたあと『家族が笑顔でいられることですかね』と答えた。司会者は『とても平凡な答えですね』と言ったそうである。家に帰ってもその質問のことが忘れられず、当時3才だった息子に『幸せって何だろうね』と問い掛けたりもしてみた。もちろん返答があるはずもないのだが、その息子が寝る時になって『ママ、嬉しいことがあるとここがキュッとするよね』と言って胸の辺りを押さえたそうである。『アッ!』と思ったアグネス。胸がキュッとする瞬間がまさに幸せの瞬間ではないだろうか……」
話の前段をいい加減に聴いていたので正しく聴けていたかどうかは分からないが、胸がキュッとする瞬間を幸せと言うのであれば今まさに自分がそうでないだろうかと思って聴いていたのである。

話はその前日に遡る。知人の中小企業診断士Tさんと2年振りに会っていた。場所は会社の社長室。会談は私の方からお願いして来てもらっていた。塗装工場の日々の売上を把握しようとその算出方法を考えたのだが、果たして正しいものかどうかの自信が持てない。専門家に相談した方が良さそうに思い連絡したのだった。用件は事前に伝え、考えている算式や資料も事前に送っていた。それを踏まえてのやり取りである。
Tさん「職場に目標を与えるというのはいいんじゃないですか。数字が出れば一つの励みにはなるでしょうからね」
私「そうですか。でも一つの職場だけというのがどうも説得力に欠けるような気がして……」
Tさん「それよりも本当に売上でいいんでしょうか」
私「えっ、どういうことですか?」
Tさん「売上だけを示すと売上を上げることだけが目的になっちゃうんじゃないですか。極端な言い方をすると、どんなにムダなことをやっていても売上さえ上げればいいということになりませんか?」
私「なるほど、売上じゃないなぁ……」
Tさん「そうでしょ。売上でなくて利益ですよね。利益を意識させないとダメですよね」
私「そうだなぁ。そこでアメーバ経営か……」
Tさんからは事前にアメーバ経営についての資料が送られてきていた。
Tさん「おそらく日向さんの欲しい物を突き詰めていくと、そこに行き着くような気がしましたので簡単な資料を送らせてもらいました」
それからそのアメーバ経営の進め方や問題点などについて説明をしてくれたのだった。
その日、家に帰ってすぐに本棚から稲森和夫著「アメーバ経営」を引っ張り出して読み始め、朝早く起き出して読み、横須賀に向かう電車の中でも読んでいた。久々に胸が高鳴っていた。昔読んだ時には到底出来そうにないと放り投げていた本だが、あらためて読み直してみて今では出来るように思えていたのである。内容がスイスイ頭に入ってくる。
<もし、この方法を会社に取り入れることが出来たら……>
会社が変わり、従業員が変わる姿を思い浮かべた。
<出来そうだなぁ……>
そう思っていた時のアグネスチャンである。あまり飲まずに帰ってきて残りのページを最後まで読み終えて、2冊目の「実践アメーバ経営」に取り掛かっていた。
                                 (令和2年作)




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春めく

春めきて人それぞれに愉悦あり



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カラオケに行く前に所属する団体の会合があり焼鳥屋がある。会合は3時から横浜駅西口のホテルで開かれた。議案の説明が長々と続き室温が熱すぎるのかすぐに眠たくなる。読み上げているSさんが「次のページをおめくりください」という度に無意識にページをめくるのだが正しいところを開いているのかどうかは分からない。満場一致の賛成をみて4時半に終了し、5時開店の焼鳥屋に向かう。道々での会話である。
私「Sさんの説明は本当に流暢ですよね。聞いているとすぐに眠たくなる(笑)」
Sさん「ありがとうございます。お陰でスムーズに議案が進んでいきます(笑)」
Sさんはその団体の常務理事であり実務の中心人物である。
その日、飲みに行ったメンバーは7名。ビールと焼鳥を注文したあとに隣に座ったK社長がラグビーの話を振ってきた。この団体の理事長である。
K社長「日向さん、この間の早稲田・明治戦を見ましたか?」
私「何の話?ラグビー?見る訳ないじゃないですか(笑)」
K社長「あああ、やはり知らなかったんだ(笑)」
私「何、何、どうかしたんですか?」
私の場合、興味のあることとないことに対する知識が極端に分かれてくる。スポーツについては全く興味がなく、周りの話に一つも付いて行けない。周回遅れの状態となる。
K社長「早稲田が11年振りに大学選手権で優勝し、盛り上がったんですけど」
私「フーン」
K社長「その早稲田の主将が斎藤君っていうんです」
私「そうなの?それがどうしたの?」
K社長「Sさんの息子さんですよ」
私「えええっ!」
Sさん「そうなんです」
私「そうなの。知らなかった。Sさんがラグビーをやってた話は聞いたけど、息子さんもやっているなんて聞いていなかった」
Sさん「すみません。特に隠していた訳でもないんですが(笑)」
私「まあ、いいから今度サインをもらってきて(笑)」
Sさん「なかなか、息子も忙しそうにしていて……」
その話のあとにI社長がゴルフの話を振ってきた。こちらにも全く興味がない。
I社長「今度、沖縄に行ってゴルフを見て来る」
私「見て来る?やりに行くんじゃないですか?」
I社長「応援、応援。応援に行くんだよ」
私「誰の?」
I社長「日向さんに言っても分からないだろうなぁ。大里桃子っていう選手なんだけど」
私「これまた、I社長の娘さんだなんて話じゃないでしょうね(笑)」
I社長「違うよ。実は2年ほど前に九州でゴルフをしている時、一緒に回っていたキャディーさんが『来月プロデビューするので応援してください』と言うんだよ。それが大里桃子だったんだけど、そうなりゃ、応援しない訳にいかないだろう。プロになっていきなりレディースで優勝。今はまだ賞金ランキング38番目辺りにいるんだけど、間違いなくこれから伸びて来るんで日向さんも応援してよ」
私「お金の掛かりそうな話だなぁ。私はテレビを観ながらそこに映っているI社長の方を応援してますよ(笑)」
スポーツ話で盛り上がった焼鳥屋を出てようやくカラオケ屋に辿り着いた。最初に入れたのが森進一の「女のため息」である。トップバッターである。入れた途端、1番の歌詞を歌ったのがK社長であり、2番がI社長となり、私には3番だけが回ってきた。
私「この1ヵ月近く、この時のために何回も練習してきたのに……(笑)」
全員「(笑)」
                                 (令和2年作)




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寒明ける

カラオケに声を嗄らして寒明くる



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会社の設計担当者が溜め息を付いていた。
私「どうしたんだ、溜め息なんか付いて。溜め息は女が付くものだぞ。森進一の『女のため息』、知ってるんだろ?」
T君「いえ、知りません」
私「森進一も知らないのか?」
T君「森進一は知ってますけど、女の溜め息というのは……」
私「森進一のデビュー曲だよ。昭和40…2、3年かなぁ」
T君「すみません、社長、私は生まれていません」
そのやり取りがあってすぐにパソコンで「女のため息」を聴いてみた。
<オオ、いいなぁ。いい曲だなぁ……>
何事もハマりやすいタイプである。一度ハマるとしばらくは続く。車の中でスマホを使って何度も聴いていた。

昨年暮れ、寒川神社に向かっている時のことである。急にトイレに行きたくなった。コンビニを探したが見つからないので、入ったことはなかったが「ハードオフ」という店に飛び込んだ。駐車場がやたらと広い。店内の一番奥にトイレの表示があり、直進すると「トイレを使用する時は店員に声を掛けてください」との張り紙がされていた。盗難対策かも知れないと思ったので、少し離れた場所にいた店員さんに声を掛けてから使わせてもらった。用を済ませて出ると、声を掛けた手前もあり、そのまま帰る訳にもいかず<何か買わなければならない>と思った。思い付いたのが森進一である。『女のため息』が入っていることを確認してCDを一枚購入した。寒川神社に向かう途中で2、3回聴き、帰りには数え切れないくらい聴いたことは勿論である。毎日のように聴いて、ようやくこの頃飽きてきたところである。
先日、社長同士の集まりがあり、今年初めてのカラオケとなった。
H社長「日向さん、何を歌いますか?」
私「それじゃ、森進一の『女のため息』をお願いします」
H社長「おっ、珍しい。新曲ですね(笑)」
私「そうそう、今、森進一にハマっているところです(笑)」
                                 (令和2年作)




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日脚伸ぶ

血圧の上がり下がりや日脚伸ぶ



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作家の伊集院静さん(69才)が「クモ膜下出血で緊急搬送され手術を受けた」と報道された。「手術は成功し経過は良好だが、予断を許さない状態」とも書かれていて安心していいのかどうか分からないような書き方だと思った。先日、「ノボさん──小説正岡子規と夏目漱石」を面白く読んだばかりである。奥様である篠ひろ子さんのコメントを読むと「週刊誌、新聞など連載を多く抱えている立場にあり、道半ばで書くことを断念せざるを得ないとしたら、こんなに悲しいことはありません」と記されていて、<相当に深刻な状態なのだなぁ>と想像させられた。
「クモ膜下出血」というと俳句の師道川先生(享年87才)のことを思い出す。その日「三溪園」まで吟行の下見に出掛け、いつも通りに夕食を済ませて2階の部屋で就寝したという。翌朝、いつもの時間になっても起きて来ないので娘さんが見に行くと苦しんだ様子もなく亡くなっていたという。死因が「クモ膜下出血」だったと聞かされ、あまりの急な別れに呆然としたものである。
「クモ膜下出血」のことを調べてみる。脳出血の一つで死亡率が50%と非常に高い。脳を包むクモ膜の内側の血管で起こる出血で、多くの場合、血管に動脈瘤が出来、そこに圧力が加わって破裂することで起こるという。起こった時は「激しい頭痛」「意識障害」「嘔吐」などの症状を伴うことが多く、しかし時には頭痛をほとんど感じない例も少なくないらしい。前兆としては「血圧の乱れ」や「急な頭痛」「目の異常(痛み、二重に見える、まぶたが下がる)」「めまい」「嘔吐」などがあり、思い当たる時には速やかな受診を勧めている。
自分のことを省みると血圧の上がり下がりはいつものことである。昔に比べると怒ることも少なくなり穏やかなものだが、それでも人よりは上がり下がりの回数は多い。頭痛の種は尽きることもないが、特に薬を飲まなければならないほどの頭痛はない。目の異常もめまいもなく、飲んだ翌日の吐き気といえば飲み過ぎという立派な原因があるので心配するほどのこともない。特に気になるところもないが、御身大切、あまりカッカしないことが肝要のようである。
それにしても日経新聞に連載されている「ミチクサ先生」は大丈夫だろうか。いつの分まで書き溜めているのだろう。ニュースがあった翌日の連載が第132回目である(写真)。子規と漱石が東京で一番高い山「愛宕山」に登るシーンである。東京23区内の最高峰といっても標高25.7メートルしかない。階段で一気に登れる高さである。次回、品川に出掛けた時に寄ってみようと考えた。
                                 (令和2年作)




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シクラメン

シクラメン俯くがゆえ描き損ず



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2月10日(月)から16日(日)までの1週間、川崎市宮前区にある東高根森林公園の管理事務所でかじがやごろぉさん主催の「スケッチブック展」が開かれている(写真)。いつも一緒にスケッチしているメンバーの作品も多数飾られていてとても見応えのあるものになっている。今回私も初めて出展させてもらうことになった。写真を見る限り正面中央に飾られているようで過分な扱いとなっている。感謝感謝である。お近くの方には是非とも立ち寄っていただきたい。ごろぉさんのスケッチブックなどは迫力そのものである。テーブルの上に何冊も並べられているので自由に見ることが出来る。必見である。

9日(日)の午後、メンバーが絵を描いているところに遅れて参加し、飾ってもらう絵を持ち込んだ。先日、描き上げた「駐車場及び住宅地」の絵である(令和2年2月6日、ひこばえ「春待つ」)。
私「遅れましてスミマセン。今日は用事があってスケッチは出来ませんが飾ってもらう絵は持参しました」
ごろぉさん「おっ、例の絵だね。奥さんにケチョンケチョンに言われて描いた絵だ(笑)」
私「あのシクラメンの絵は余りにひどかったんで何と言われても仕方なかったんですが、一発女房の鼻を明かしてやろうと思いましてこれを描きました(笑)」
ごろぉさん「額に入れてきてくれたんだ。それにしても上手く描いたねぇ」
ひろし君「ワァー、すごい。これ、本当にすごいですね。売れるレベルですよ」
私「いやいや、誰にでも描けるよ。ひろし君なら間違いなく描ける。俺よりも上手いんだから(笑)」
ひろし君「描けませんよ。冗談はやめてくださいよ。本当にいい絵ですね」
ごろぉさん「ヒナさんは水彩画を始めてまだ半年だよ。なかなかなもんだよ」
菅原さん「作風が出来てるもんね。いい感じだよ」
私「ごろぉさんにこの前、言われたんです。いろいろな描き方をしている内に自分の一番好きな描き方がきっと見つかるから、それまで飽きずに続けるしかないって」
菅原さん「それが半年じゃ早過ぎるよ(笑)。ごろぉさんなんて20年やっていてまだ見つけていないんだから(笑)」
ごろぉさん「そうそう(笑)。何年描いていてもこれでいいなんてことはない……」
私「ごろぉさんの描き方を真似ようと思っても全く絵にならないことが分かりました。同じように描きたいと思ってもそれは無理だって分かったんで、違うやり方であれこれやっていたんです」
菅原さん「ごろぉさんの絵は真似出来ないよ。それだけは間違いない(笑)」
ごろぉさん「ヨシヨシ、これはいい絵だ。絵の下に『大賞』の札を掲げておこう(笑)。ハハハ、ありがとう、飾らせてもらいます」
私「ありがとうございます。よろしくお願いします」
                                 (令和2年作)




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春一番

得も言えぬ男振りなり春一番



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(承前)2マス目の増設は出来ないという。それもそのはずである。2月5日(水)の開催日まで2週間しかない。いくら何でもコマ割りは終わっているだろう。
私「ブースの内寸を聞いてくれ。そこに納まるような陳列棚を考える。載せる什器も小さな物にするしかない」
ブースの詳細図が送られてきた。
私「幅1400、奥行990、高さ2100か。ミニチュアを作るようだなぁ(笑)」
営業や設計の担当者を呼んだ。
私「下にバーゲンテーブルを置くのでサークルなどを手配してくれ。その上に2段構えで什器を載せる。箱物になりそうだなぁ。高さ500位のものを4つ選んでくれ。何でもいい。目を引くもの。当社の特徴が出せるもの。見る人が見て、アッと思うもの。店舗什器を扱っている人が見て、オッと思ってくれれば拾い物だ」
設計「陳列棚はどんなものにしますか?」
私「棚はいらない。棚を載せると下のものが見えなくなる。バーを渡してくれ。横のパネルは猪鹿蝶にしてくれ」
設計「猪鹿蝶って何ですか?」
私「猪鹿蝶を知らないのか(笑)。花札だよ。鹿に紅葉。ボタンに蝶だよ。あれをレーザーで切ってサイドに貼ってくれ。カッコいいぞ(笑)」
設計「図柄はどうやって作りますか?」
私「どこかに載ってるだろう。ネットで探していいのを選んでくれ」
工場内を歩いて4つの什器を選んだ。
①劇毒保管庫──扉が二重になっていて鍵まで掛かっている。
②サーバーラック──パソコンを収納するものである。
③宅配ボックス──屋外に置くために雨仕舞いが凝っている。
④キャビネット──スーパーで使うもので今、大量に作っているもののミニチュア版である。
設計「社長、花札がありましたが、レーザーで切るようには繋がっていません」
私「よし、待ってろ。俺が見つけてやる。別に花札でなきゃ駄目だと言ってる訳じゃない」
選んだのが花柄である。
私「これでいい。これを切ってくれ。色は派手なのがいいぞ。全艶のグリーンでいこう」

運び込みの前日に完成した。その日、家に帰って考えた。会場に誰か説明係を立たせなければならないだろうか。もし立てるとしたらチラシの一枚も作らなければならないだろう。しかしチラシを作るといっても大変である。いいものが作れるとは思えない。
<ヨシ、本多竜太に配らせよう。あいつのことをブログに書いてチラシにすれば、間違いなくアチコチに配ってくれるだろう……>
                                 (令和2年作)




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ハマの春「テクニカルシヨー」到来す



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年が明けて挨拶回りも一段落といった頃、当社の工場長が私に話を持ち掛けてきた。
工場長「社長、実は本多竜太から連絡がありまして、今度のテクニカルショーに協力してくれないかと言っています」
私「テクニカルショー?去年も何かやったんじゃなかったっけ?」
工場長「去年は何社か合同で出しまして、名前だけ載せた格好です」
私「今年もそれでいいじゃん」
工場長「いや、今年はナカゴメ専用のブースを用意するので何か出展してくれと言って来てます」
私「面倒臭いよ。忙しくてそれどころじゃないよ」
工場長「実はもうブースを借りてしまったそうです」
私「ええっ、あのヤロウ、いい加減なヤツだなぁ(笑)」
本多竜太と工場長は仲がいい。何か困って頼まれたのかも知れない。
私「ちょっと待ってくれ。考える」
工場長「ありがとうございます(笑)」
30分ほど考えて思い付いた。
私「以前、試作で作った赤い什器があったな。あれを出そう。あれならウチが何を作っている会社かアピール出来る」
工場長「ああ、そうですね」
私「オレのイメージはこんな感じだ」
黒板に絵を描いた。レジ台、スキャナー台、包装台、陳列カウンター、バーゲンテーブル(写真)、Rコーナーカウンターなどを2段重ね3段重ねで並べるというものである。
工場長「おお、いいですね」
私「これなら見栄えも良くて、迫力もあるぞ」
工場長「早速、竜太に来てもらいます」
30分後、本多竜太がやって来た。いやに速い。
本多「社長、ご協力ありがとうございます(笑)」
私「何でもいいけど、急過ぎるよ。あと2週間しかないじゃん(笑)。これでいいだろ?」
本多「ちょっと待ってください。押さえたブースが1つですので、これだけの品物は並べられません」
私「何ィ、ブースの大きさはいくつだ?」
本多「確か、横幅が1メートル40センチだったと思います」
私「それじゃ、上下1台ずつの2台しか置けないじゃないか。みっともないよ。少なくても2ブースは必要だ。もう1マス追加してくれ」
本多「分かりました。これからすぐに担当者のところに行ってきます。増えるかどうか、すぐに連絡します」
本当にフットワークのいい男である。人が困っていると聞けばすぐに対応しようとする心意気が気持ちいい。誰からも愛されて信用もあり、この金沢工業団地の将来に必要欠くべからざる男となっている。今、会社を起業したばかりだという。応援してやりたくなる。(つづく)
                                 (令和2年作)




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春待つ

春待つや赤の絵具を水に溶く



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建物に戻ってエレベーターで3階に上がり、会場に向かおうとした時にIさんから電話が掛かってきた。電話に出ようとポケットからスマホを取り出そうとした時に電話を掛けているIさんと目が合った。
私「その節はお世話になりました(笑)」
Iさん「こちらこそ(笑)。今日はまたお休みのところをお出掛けくださいましてありがとうございます。勝手に案内状を送らせてもらいましたので恐縮しています」
私「いえいえ、先程絵を見せていただきましたが本当に素晴らしい作品です。お陰様でいい時間を過ごさせてもらっていますので、こちらこそ感謝しています(笑)」
しばらくIさんの絵の前に立って話をした。
Iさん「伊根の舟屋の絵もあったんですが、今日は出していません」
私「これは金沢八景の辺りですよね」
Iさん「そうです。ヨットが碇泊していましたのでそれを描きました」
私「そういえばあの時、個展を開いた場所を『高島屋』と勘違いしてブログに書いてしまいました。『そごう』でしたよね」
Iさん「そうです。そごうの9階です。この会の人達がよく使っていますので私もそこで開きました」
私「あの時は相当に飲んだようで、聞いた途端『高島屋』がインプットされてしまったようです」
Iさん「ブログをおやりなんですか?」
私「あれっ、教えていませんでしたっけ。てっきり読んでくれているものと思ってました。あの時のことを事細かく書いていますので是非読んでみてください。本名はマズイかと思い、Iさんとして登場してもらっています(笑)」
Iさん「何というブログですか?」
しばらくやり取りしたあと、旅行の話や絵の話などして「奥様にくれぐれもよろしく」と伝言し、またの再会を約束して別れた。

家に戻って吉田大橋の写真を確認したところ、絵になるような構図ではないことが分かった。30枚も同じような写真が写っている。
<ヨシ、こうなったらやはりあの場所の絵を描こう>
2月にいつもかじがやごろぉさんとスケッチをしている東高根公園で「スケッチブック展」が開かれる。そこに出す作品も描かなければならないので、その会場から見える駐車場と住宅街の風景を描こうと思ったのである。
<メッチャ、いい作品を描いてやろう!>
画用紙を買いに行ったり、コピーを取りに行ったりで大忙しである。出来た作品がこれである(写真)。妻にケチョンケチョンに言われた「枯れたシクラメン」よりは物になっているはずである(笑)。
                                 (令和2年作)




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春隣

手土産に包むクツキー春隣



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城崎温泉の旅でご一緒したIさんのことについては、先日このブログで紹介した(1月3日、ひこばえ「松葉蟹」)。そのIさんから昨年12月の初めに絵画展開催のお知らせをいただいていた。「第4回、四季彩の会、絵画展──水彩風景画──」とあり、会員と思われる43人の名前が書かれていた。大きな絵画の会のようである。場所は戸塚区民文化センターの3階。1月19日の日曜日に妻と出掛けてきた。いただいた葉書には当日の2時過ぎに本人が会場にいるとのことだったので、1時頃に到着して会場で作品を見学したあとでお会いしようと考えたのである。予定通り1時に到着した。
係の女性「こんにちは。こちらにお名前をお願いします」
私「まだIさんはお見えじゃないですか?」
女性「あらっ、今日、Iさんは当番じゃなかったと思いますけど……」
私「お知らせをいただいた葉書に丸がしてありましたので……」
女性「そうですか。じゃ、今、電話してみます」
私「ああ、いいです、いいです。まだ2時前ですから、ゆっくり作品を見せてもらっていますから大丈夫です」
Iさんの作品は入口の一番手前に3作品飾られていた(写真)。「上手いなぁ」と思った。写実そのものである。描写の正しさは言うまでもなく、光と影、色使い、波や風の動きなども端的に描かれている。見れば見るほどIさんの世界観が伝わってくる作品になっている。年間200作品を描くと聞いただけでも圧倒されてしまうが、絵に対する情熱が静かな風景画の中にしっかりと描き込まれているようで迫力あるものになっていた。
一回り見て、時間がまだたくさんあったので、ひとまず外に出ることにした。
私「ちょっと出掛けてきます。2時過ぎに戻りますのでIさんがお見えになりましたら、そうお伝えください」
向かった先は安藤広重が東海道五十三次で描いた「戸塚宿」のあった場所である。茶店の「こめや」の看板が印象的な絵だが、その横に描かれている「吉田大橋」を見に行こうと思ったのである。歩きながらの妻との会話である。
妻「この間描いていたシクラメンの絵。あれ、絵になっていないわよ」
私「……」
妻「花の一つ一つが全然正確に描かれてないもの」
私「あれはもう花が枯れていたからなぁ」
妻「枯れていたってあの描き方はないでしょ。あれじゃシクラメンだか何だか分からない。もう少し描きようがあると思うけど……」
<ムムムムム>
闘志が湧いてきた。そこまで言われて黙っている訳にはいかない。
<この吉田大橋を描いてやろう。ギャフンと言わせてやろう!>
カシャカシャカシャと矢鱈と写真を撮りまくって、その数30枚。やる気はその枚数に出ている(笑)。
                                 (令和2年作)




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大寒

大寒や米の散らばる精米所



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昨年の暮、三重県の友人と飲んでいた時に「自分の所で採れたお米を送るので食べてみてください」と言われた。果たして数日後、10キロの玄米が自宅に届いた(写真)。
私「すぐに食べてみよう。美味しかったかどうかを連絡しなくちゃならない」
妻「ワー、お米、昨日10キロ買って来たばかりだよ」
私「先にこっちを食べればいいじゃん」
妻「待ってよ。玄米は精米をしなければならないんだから。たしかこの間、近くにあった精米所がなくなったばかりだから、どこか別の所を探さなくちゃならない……」
私「能見台に米屋があったじゃん」
妻「あそこは精米してくれない」
私「そうなんだ……」
そうこうするうちに年末となり正月が来た。
私「精米所は見つかった?」
妻「釜利谷街道沿いに自動精米機が置いてあるそうなんだけど……」
私「ヨシ、行ってくる。いつまでも食べずに置いておくのは申し訳ない」
妻「機械に入れると奥で詰まるとか書いてあったので菜箸を持って行った方がいいみたい」
私「詰まる?米だから詰まらないだろう」
インターネットで場所を確認し、機械の操作方法なども読んで頭に入れた。車で5分である。精米所の文字が見えた。何度も走っていながらこの看板が目に入らなかったのだから何を見ながら走っているやら、注意力散漫のようである。
専用の駐車場らしき場所があったので乗り入れてまずは中を覗いてみた。年の頃75才位の男性が中で精米をしていた。
私「スミマセン。初めてなので覗いてもいいですか?」
男性「どうぞ。米は持って来たの?」
私「玄米10キロ、持って来ました。ここに10キロまでが200円で10キロ以上が300円って書いてますけど、10キロの場合はどっちですか。200円ですか、300円ですか?」
男性「200円で大丈夫だけど、気になるんだったら少し残して入れるといいんだよ」
私「少しってどういうことですか?1キロ残して9キロ入れるってことですか?」
男性「そう。それなら間違いない」
私「それじゃ、残った1キロはどうするんですか?また100円入れるんじゃ同じことじゃないですか」
男性「まぁ、200円入れて途中で止まったら追加で100円入れればいいんだよ」
私「なるほど」
分かったような分からないような会話である。見ていると男性は精米の終わった米を袋に入れて取り出す時に機械の正面を平手で2~3回思い切り叩いている。バンバンバン!
私「なんで叩くんですか?」
男性「中に詰まっている時があるんだよ」
菜箸はここで使うのだろうか。その時、ジャーと音がして少し米が落ちてきた。
男性「ホラ……ナ」
私「……」

その日の夕飯はもちろん精米したばかりのお米である。
妻「美味しい。オカズにも合うし、サッパリしていてとても美味しい」
娘「ホントだ。いつものと全然違う。これ美味しいよ」
私「今度会った時に伝えておきま~す。注文方法も聞いておこう。ヨシヨシ(笑)」
                                 (令和2年作)




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