2019年06月の記事 - ひこばえ
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Author:日向 亮司
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2019年06月の記事

麦の秋

「祝国境離島新法」麦の秋



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蚊に悩まされるという珍事があったにもかかわらず、5時半に目が覚めた。外は明るくなっていた。<麦畑の写真を撮りに行こう>と起き出した。こっそり着替えて顔を洗い、外へ出た。前日にバスで通って見た場所まで行ってみようと思ったのである。5時40分にホテルを出て歩き始めた。「この辺りでは一番夜遅くまで店を開いている」とガイドさんがバスの中で紹介していたマツモトキヨシの横を通る。一気の上り坂である。道路の頂上と見える場所が遥か遠くに見える。<フー、どれくらい歩くことになるのだろう>
途中、農協と思われる3階建ての建物に「祝国境離島新法制定」の横断幕が貼られていた。なるほど、新法の内容は分からないが、外国と接する国境に位置するために様々な対策が施されているのだなぁと思った。昨日、支配人に「天国だ、楽園だ」などと言ってはみたが、住んでいなければ分からない苦労は想像以上のものだろう。「祝」の文字の赤色が心に沁みた。上り切ると次は下りである。交差点はあるが車はいない。「壱岐では車が5台並ぶと渋滞といいます。10台並ぶことはありません。もし並んだとしたら大々渋滞です(笑)」とガイドさんが話していた。ゆったりとした坂をのんびりと下りていった。右側に「天の川酒造」という焼酎の蔵元があった。<おお!昨夜、俺が最初に頼んだ『壱岐づくし』じゃないか>
パチンコ屋があった。広い駐車場である。<壱岐の人もパチンコをやるらしい>その先にまたパチンコ屋が現れた。<この小さな町にパチンコ屋が2軒とは!>さらにその先にもう1軒。<ギャンブル好きな島民かも知れない……>
右に「天手長男神社」という看板が現れた。壱岐には1000もの神社があるという。お参りしてこようかと道を逸れたが、見ると小高い山の上のようである。まだ麦にも出会っていないのに寄り道も出来ない。諦めてまた直線コースを歩き始めた。すぐに小学校が現れた。「柳田小学校」と書かれている。また住居表示に「郷ノ浦町柳田触」とあった。「触」である。司馬遼太郎の「街道を行く」にこの「触」のことが出ていた。庄屋が触れて回れるほどの集落を意味する壱岐特有のものらしい。そんなことを考えながらも一向に現われない麦畑を思っていた。<もう30分以上も歩いている……どこまで行けばいいのだろう>しかしここまで来て諦める訳にはいかない。進むしかない。下りたり上ったりを繰り返し相当な距離を歩いている。<1時間4kmとして30分で2km>と頭で計算していた。目的地はJA壱岐農機具センターという建物の先にあった。<おお、ここだ、ここだ>ようやく到達した。何枚も写真を撮ったことはもちろんである。撮り終えて6時15分になっていた。途中でオロナミンCを買って、飲みながらホテルに戻ったのが6時50分である。
妻「おはよう。どこまで行ってきたの?」
私「エヘヘヘ、麦の写真を撮ってきた(笑)」
妻「そうなんだ」
私「ちょっと風呂に行ってくる」
妻「何言ってるの。7時から朝食だよ。分かってたんでしょ」
私「も、もちろんだよ」
計ったようにピッタリだったとは驚きであり、ラッキーでもあった(笑)。
                                 (令和元年作)




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