2018年03月の記事 - ひこばえ
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日向 亮司

Author:日向 亮司
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ひこばえ


2018年03月の記事

雛の日

雛の日の一人遊びを見てをりぬ



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「進次郎」などと呼び捨てにしていいものかどうかは分からない。本人を目の前にすれば当然「先生」であり、少なくとも「さん付け」であるが、庶民の会話の中では許される呼称のような気もする。ここでは敢えてそれを踏襲させてもらう。有名人ということでお許しをいただきたい。
淡島神社に向かうと石段の下にカメラマンが詰め掛けていた。ここを下りて来る「雛流し」の行列を撮ろうというのである。のんびりと待っていられる性格ではないので、すぐさま石段を上った。まずは彼が来ているかどうか、その姿を確認しなければならないと思ったのである。一挙に上った。上ると境内は人でごった返していた。参拝客もいればカメラマンもいる。法被姿の男たちも大勢いる。進次郎は果たして来ているのだろうか。
「いたっ!」
本殿に上っている。今まさに神事の真っ最中である。カメラマンは境内から望遠レンズを使って撮っている。この神事が終わるとおそらく浜へ向かうのだろうが、シャッターチャンスは椅子に腰掛けている今しかないと思った。私のスマホではおそらく動いている姿は上手く撮れないだろう。しかも望遠がそれほど利かない。前に出るしかないと思った。大勢のカメラマンの脇を潜り抜け、最前列に進み出た。彼と目が合った。
「何でこんなにミーハーなのだろう」
我ながら呆れるばかりだが、今はそんなことを言っている場合ではない。4、5枚写して出来栄えを確認し、良しとしてから後ろに下がった。
それにしてもいい男である。目元が切れて凛々しい顔付きをしている。この人がいずれ総理大臣になった暁には政治の意味合いが変わってくるのではないだろうか。お父さんの小泉総理の劇場型政治スタイルも凄かったが、それ以上のインパクトある進次郎劇場が見られそうな気がする。一億みな総理ファンということにもなり兼ねない。日本救世の期待の星にも見えてくる。いい男は得である。
神事が終わると舟に載せたお雛様を本殿から運び出すことになる。彼も舟の後ろに従い、浜の方へと下りて行った。それに従い、みんなも下りて行く。お雛様を追い掛けて行くのか、進次郎を追い掛けて行くのかよく分からない状態である。人気者が一人いるだけでこうも華やかな行事になるものだろうか。浜でも歓声が上がっている。
(注)掲句は20年前の作である。良し悪しは別として、自分の句は忘れないものである。
                                 (平成10年作)




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春祭

鳶の輪の中なる蜑の春まつり



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「帯解地蔵尊」から50メートルほど上った場所に「淡島神社」があった。3時半の雛流しまで時間があったのでお参りしたあと石段を下りて海辺の方へと歩いてみた。屋台が出ていてとても賑やかだった(写真)。雛を流す砂浜には注連が張られていた。堤防にはカメラマンが並んでいた。
<ハハァ、あの堤防の上から流し雛を撮る気なんだな>
すぐにそちらへ移動することにした。堤防の横には漁に使う網が山積みされていた。その上に登って子供たちが遊んでいる。堤防にはカメラマンもいればそうでない人もいる。空いている場所に入り込んで座ることにした。しかし海の真上に足を放り出すなどという行為は高所恐怖症の私にはとても出来そうにない。後ろから背中を押されて海にジャポン、これを想像するととても出来た行為ではない。放り出す足は一本だけにして堤防を跨ぐようにして割り込んだ。
「写真を撮るにはいい場所ですね」
隣のカメラマンに話し掛けた。一眼レフのいい奴を持っている。
「近くに行っても人が一杯で撮れないから」
「雛人形はあそこから流されるんですか?」
「そう、神社から降りて来て、あそこでお祓いやって、それから舟が引っ張っていくんだけど、去年は途中で雛流しの舟がひっくり返ってしまって大変だったんだよ」
「へぇー、そんなことがあったんですか」
「浮いている人形を拾い集めるんだから大変だったよ」
「今日は風がないですからその心配はないですね」
「今年も進次郎が来るんじゃないかなぁ」
「えっ、小泉進次郎ですか?」
「去年は舟にも乗ったから、今年も乗るんじゃないかなぁ」
「それは見ものですね」
「人気あるから、凄い人の数が集まるよ」
「ここからじゃ、良く見えないですね」
「今頃、神社にいるんじゃないかな」
「えっ、そうなんですか?」
「たぶん、そうだと思うよ。神社でお祓いとかしてから出てくるからもう来てるはずだよ」
「有難うございます。じゃ、そっちに行ってきます。見てきます」
                                 (平成30年作)




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立子忌

立子忌や雛に賑はふ漁村なり



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蕎麦屋を出て近くにあるはずの陶芸工房「陶夢」を探した。ホームページに「築100年以上の古民家」とある。地図を手にキョロキョロしながら行ったり来たり。ようやく見つけたが、あいにくの休業日だった。古民家というよりも「古い家屋」といった方が良さそうな建物である。イメージしていた古民家と大きく違ったので気付かずにその前を何度も行き来してしまった。「日曜日に店を開かないでいつ開くんだろう?」と思いながらも、次に来る時は確認してからと心に刻んだ。
5分ほど歩いて「十二所神社」に到着した。由緒書きによると源頼朝が妻政子の安産祈願のため特使を派遣したとあるほどの古い神社である。森閑とした趣があった。樹齢300年という銀杏の木も注連が張られて神々しい。人がいなかったので静かにお参りすることができた。
境内を出たところに「帯解地蔵尊」があった(写真)。コンクリート製の建物である。受付があって「淡島神社」の法被を着た男性が座っていた。しばらく様子を見ていたが、目が合ったので話し掛けてみた。
「随分と立派なコンクリートですね」
「そうねぇ(笑)」
「普通こういうものって木造ですよねぇ」
「まあねぇ(笑)」
「コンクリート屋さんが寄進したんですかね」
「そうかも知れないけどねぇ(笑)」
人のよさそうなおじさんである。何を聞いても笑顔で答えてくれる。中を覗くと木の看板が飾られていた。字が読めない。<女の……>その次の字が読めない(写真の左上)。
「この字、何と読むんですか?」
「読めないですよねぇ」
「見たことのない字です」
「みさおって読むらしいんだけど……」
「みさお?ピンカラ兄弟のおんなの操?」
「知ってますか(笑)」
「知ってますよ(笑)。でも、操っていう字ではないでしょ。どう崩してもこうはならない」
「私もたまたまここの番をするように言われただけなんだけど、そのように教わったので……」
「そう言われたからって誰も『なるほど』とは言わないでしょうね(笑)」
「そうだよねぇ(笑)」
なぜ「みさお」と読ませようとするのかは分からないが、家でいろいろ調べてみると「身」という字を崩したもののようである。
<女の身を わけて情を かけ帯の むすぶちかひは さんのひもとく>
こう読めばなんとなく意味も通ずる。
(注)ピンカラ兄弟に「おんなの操」という曲はない。殿様キングスの「なみだの操」と混同しての会話となっている。通じるところが面白い。3月3日は高浜虚子の次女星野立子の命日である。
                                 (平成30年作)




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蕎麦掻き

蕎麦掻きやひとり膳とは味気なや



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普通の家に見えた。2人掛け3卓と4人掛け、6人掛けのテーブルを並べ16人が座れる部屋である。お手拭と品書きを持って女性が現れた。
「取りあえずビールをお願いします」
「銘柄は如何いたしますか?」
葉山ビールとキリンビールが書かれている。
「飲んだことがないので葉山ビールでお願いします」
「お食事はどうなさいますか?お昼のセットなどもございますが」
「ああ、それでいいです」
「そばがき」と「せいろ」「にしんそば」がセットになっている。そんなに蕎麦が好きという訳でもないが、お腹が空いているので何とかなるだろうと思った。
「この看板に書かれている『あべたかお』さんという方がオーナーなんですか?」
「いえいえ、これは『竹やぶ』のオーナーです。千葉に本店があります」
壁に横幅2メートルほどの一枚板の看板が掲げられていた(写真)。独特な字体で詩が書かれている。部屋に入ってすぐに目を引いた看板である。

『今日一日お客さんがこなくていい
一週間でなんとかなればいい
一週間赤字がつづいても一カ月でなんとかなればいい
一カ月だめでも一年間で生活できればいい
一年間だめだったら何か考えよっと!』

一見大らかそうに見えるが「本当?」と思ってしまう詩である。「そんなにのんびり構えていて従業員を雇っていけるのだろうか?」と思った。「焦ることはない」という教訓なのだろうが、いまいち説得力に欠けるような気がした。
初めに「蕎麦掻き(そばがき)」が出された。きれいな器に盛られていて料理が目で楽しむものであることを教えてくれる。
「美味しい!」
女性に聞いてみた。
「これは普通の蕎麦粉で作るのですか?」
「そうです。蕎麦粉を溶くだけです」
簡単そうである。酒のつまみには持って来いである。家で作れるだろうかと思った。その後、「せいろ」が出て「にしんそば」が出て、最後にデザートまで出てきた。出てくるたびに写真を撮り家族にメールで送っていたが、最後に入れた私のメッセージは本音である。
「結論!ひとり旅は淋しいなぁ」
                                 (平成30年作)




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春の日

幾曲りして春の日を蕎麦屋まで



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辞任の挨拶をした日、家に戻って着替えをしてすぐに横須賀へと向かった。3月3日、雛祭りである。横須賀の淡島神社で行われる「雛流し」という行事を見に行きたかったのである。数日前から楽しみにいろいろと調べていた。もし、辞任劇がトラブったら見合わせようと思っていたが、案外上手くいったので予定通り出掛けてみることにした。
まずは神社の近くにある陶器の工房を訪ねてみることにしていた。たまたまインターネットで見つけて興味を持ったのである。開店してまだ数年のようである。陶芸家の女性は名古屋の人で大きな家具メーカーで働いていたとホームページに書かれていた。「会社の場合は大きなお金が動くし、とにかく沢山つくって、たえず規模を大きくしていくことが目標になる。そのことにどこかで疑問が出て来たんです」と書かれていた。そして「手で作ること、それがやっぱり私に一番フィットしているなって分かった」と開業の動機を綴っていた。
<名古屋にある会社って、もしかしてあの会社かなぁ>と知り合いの会社を想像した。俄然聞いてみたくなる。訪ねて聞いてみようと思ったのである。調べているうちにその工房の横に蕎麦屋があることを発見した。
「よし、昼はその蕎麦屋で蕎麦を食べて隣の工房を見学し、それから雛流しを見に行こう!」

妻には断られた。興味がないという。この頃は食べ物で誘っても駄目なようである。口が肥えてきたらしい(笑)。
高速道路を走り、駐車場に車を停め、地図を見ながら蕎麦屋に向かうことにした。蕎麦屋の名前は「秋谷亭あらき」。住宅地の中をくねくねと曲りながら歩いて行くのだが、目印は手書きの看板である。所々に貼られているのでその通りに行けばいいのだが、一枚でも見落とすと迷うことになってしまう。現に一度見落として違う方向に向かってしまい、また元に戻ったりしている。店は普通の民家を改装したものだった。門は立派である。大きな暖簾を下げていて一目で蕎麦屋と分かった(写真)。門をくぐり中に入ったが誰かが迎えてくれる訳でもない。勝手に靴を脱ぎスリッパに履き替えて木のドアを引いて中へ声を掛けた。
「すみません。よろしいですか?」
すぐに奥から女性が出てきた。
「いらっしゃいませ、お一人ですか?」
「はい、予約していませんがよろしいですか?」
「どうぞ、お入りください」
お客は誰もいなかった。一人、窓際の席に座って室内を見渡した。
                                 (平成30年作)




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物芽

物芽出づ見えぬもの見る心の目



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会長辞任の発表をしたのが経営者モーニングセミナーの席上である。その日、私が会員の皆さんの前で話す機会は都合3回あった。最後の講話の中で事の経緯と辞任の意向を発表したのだが、前の2回はもちろん別の話をすることになる。最初のスピーチは朝6時、約25名の前での役職者向けの会長挨拶である。
「仕事が辛いとか人間関係が重苦しいとか、人は様々な苦難に直面します。その時、人はすぐに『いやだなぁ』という言葉を発してしまいます。辛いことがあるとすぐに『いやだなぁ』と思うように習慣化されているのです。まずはその『いやだなぁ』が出た時に悪い思考回路に陥っていることに気付きましょう。そこに気付くことが大切なのです。その『いやだなぁ』を打ち消す妙薬のような言葉があります。それを唱えてみましょう。それは『ああ、おもしろいなぁ』です。この言葉を口にすると見る見るうちに周りの状況が変わって行きます。『いやだなぁ』と思った時にそれとは逆の『ああ、おもしろいなぁ』を口にしてみてください。きっと、違う自分になれるはずです。これは倫理研究所の丸山理事長が本の中で勧めている方法です」

次のスピーチは6時半から始まるモーニングセミナー本番での会長挨拶である。約40名の参加者がいた。
「丸山理事長の書かれた同じ本の中に『澄んだ心で見つめる』という章がありました。そこに出てくるのがサン・テグジュペリの名作『星の王子さま』の話です。『大切なものは目に見えない』というメッセージはあまりに有名です。『大切なもの』の『もの』は物ではありません。物であれば見えます。小さくても大きくても顕微鏡や望遠鏡を使えば見えるのです。しかし目には見えない大切なものがあるのです。それを見るには『心の目で見る』ことが大切なのですと教えています。
今回の出来事に向かい合う時、私はこの『心の目で見る』ということを大切にしました。私が私の心の目で見て決めたことです。のちほどお話させていただきますことを是非ともお聞き届けくださいますようお願いいたします」
そう話しておいてから会の終盤に用意された3回目のスピーチに臨んだのだった。
                                 (平成30年作)




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春愉し

笑ひあり涙あり春愉しけれ



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NHKの朝ドラ「わろてんか」は第一回目から観ている。日曜日の朝、一週間分の録画をまとめて観るのである。家族が起きてこない5時半頃から始めて7時には見終わる。初めの頃はそうでもなかったが、この頃は見るたびに泣いている。どの回を見ても泣けてくるので「わろてんか」すなわち「泣く」と条件反射しているようである。決して悲しくて泣いているのではない。人の心、情けにほだされて泣いているのである。<どのシーンで泣いた>と書きたい所だが、あらゆるシーンで泣いているのだから書きようがない(笑)。笑わせながら泣かせるのだから上手いものだなぁと感心している。
この時間、一人で泣きながら一週間分の心の不安定をリフレッシュしているような気がする。番組を観ていると言いながらも涙を流しながら本当の自分に向き合っている時間のような気がする。<清々する>という言い方が当っている。泣きながら少し幸せを感じている時間なのである。

3月3日(土)倫理法人会の会長職を辞任した。引責辞任である。上場会社の社長の引責辞任を見ながら<企業のトップの辞め方は時機を逸してはダメだなぁ>と日頃思っていたが、まさか同じようなことが自分にも降りかかって来ようとは思わなかった。就任して半年の会長職だった。滑り出しは順調だったが途中いろいろなことがあった。その一つ一つを解決せぬまま走ってきたのが良くなかったかも知れない。会員同士のトラブルにまで発展することになってしまい、その処置をする過程で自分の責任を明確にすることになった。「そもそもの原因はトップの運営方法の過ち」とした所は間違っていなかったと思う。
しかし迷いは残る。「これで良かったのかなぁ」とか「これしかなかったかなぁ」などと自問自答しながらその日も「わろてんか」を見ていたが今回は不思議と泣けて来なかった。<いつもなら泣いている場面なのに>と思いながらも、泣かずに済んでいる自分の心の平静を見つけたようで<やはり、これで良かったのだ>と真から思えたのは嬉しい発見だった。
                                 (平成30年作)




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料峭

料峭や癌をも治す鍼灸師



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マーキングが終わったところで温灸の装置(写真)の先にビワのエキスを塗ったようである。
〇〇さん「これから始めます。おでこを枕に載せて一番楽な姿勢でいてください」
私「はい、お願いします」
〇〇さん「こうして押しますので押された個所が段々と温かくなってきます。熱さが堪えられなくなってきましたら『はい!』と言って教えてください。次に移りますから」
私「はい、分かりました」
〇〇さん「……」
私「……」
〇〇さん「……」
私「アチッ、アチチチチ!」
〇〇さん「ハイでいいですよ」
私「はい、分かりました」
〇〇さん「……」
私「ア、アチチチチ!」
〇〇さん「ハイでいいですからね(笑)」
私「結構、熱いですね」
〇〇さん「これがいいんですよ。だんだん気持ちよくなってきますから」
私「はい」
〇〇さん「……」
私「アチッ、ハ、ハ、ハ、ハ、ハイ」
15分コースである。確かに気持ちが良い。背中に当てられていて胃袋の中にまで熱さが伝わってくる。これで終わりと言われた時にはもう少し続けてもらおうかと思ったほどである。終るとまた椅子に座らされて始める前と同じように両手に棒を持たされて計測する。計測結果が印刷される。最初のグラフに重ねて印刷されるので施術前、施術後の比較が出来る。温灸を当てた内臓系のグラフが大きく改善されている。行わなかった場所のグラフはほとんど動いていない。
私「凄いですね」
先生「そうでしょ。効果はこのようにすぐに出ます。何回かで随分良くなる人もいますし、長く通って良くしていく人もいます。病気の症状によって様々です。癌になった人がこれをやって消えたという人もいます」
私「本当ですか!」
先生「本当です(笑)」
その後、先生は倫理法人会の朝の勉強会に来てくれて、すぐさま入会してくれた。講話も上手くこなしてくれてビワ灸の宣伝もしてくれた。会のメンバーが何人も先生の治療院に通うことになり、先生を招待してくれたMさんも私も皆さんから感謝されることになったのである。出会いとは分からないものである(笑)。
                                 (平成30年作)




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二日灸

効能は胃の腑のあたり二日灸



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予約した時間の30分も前に着いてしまったが、中で待たせてもらうことにしてインターフォンを押した。ビルの中の一室である。
「日向と申します。先日……」
「はい、はい、どうぞ、どうぞ、お待ちしてました。スリッパに履き替えてこちらへどうぞ」
元気の良い人である。白衣を着た人が二人と治療を受けにきたと思われる人が二人いたが、おそらくこの人が先生だろうとすぐに分かった。電話口と同じく大きな声である。聞いたところ年齢は70才だという。
「電話では失礼しました。まずはお会いしてお話した方が良いと思いまして……」
「朝なんですよねぇ。私はテッキリ夜の6時半だと思いました(笑)。でも大丈夫ですよ。朝は強いですから。1000人位の前で話したこともありますから、お任せください」
「場所はこちらになります」
「話だけでいいんですか?治療のやり方とかも見せますか?」
「それはお任せします。ただ、お話いただく前に事前に一度会場を見ておいてもらった方がいいと思うんですが」
「そうよねぇ、雰囲気は見ておいた方がいいわよねぇ。今週はやっているのですか?」
「毎週やってますから大丈夫です」
「あら、そう。それじゃ今週行きます。善は急げと言いますからね(笑)」
テンポよく話は決まっていく。
「今日はやって行きますか?」
「どういうものなんですか?お灸ですか?」
「お灸ではなく、温灸です。ま、一度やれば分かります。〇〇さん、じゃ、ご案内して。ちょっとやってみましょう」
〇〇さんとは助手の人である。着替えを用意してくれて、椅子に座らされた。
「それではこれを持ってください。今のあなたの身体の状態を測ります」
なにやら棒のような物を渡された。電気仕掛けの装置に繋がっている。手や足のツボを押しているのかも知れない。何回も何回もスティックのような物でツボを押してきた。終わると装置から結果が印刷された。それを先生に渡す。先生がそれを見て、「内臓系が弱いですねぇ。今日はお試しですからその辺りをやってみましょう」と言う。何だか分からないが「お願いします」と言うしかない。〇〇さんに導かれてベッドにうつ伏せになり背中を捲られる。
先生「いいですか」
〇〇さん「はい、どうぞ」
先生「胆嚢!」
〇〇さん「はい、胆嚢」
先生「腎臓!」
〇〇さん「はい、腎臓」
私の背中に印を付けているようである。おそらく言われた臓器のツボにマーキングをしているのだろう。しかも位置を決めるのに迷いが無い。言われたらすぐに押す。
先生「肝臓!」
〇〇さん「はい、肝臓」
                                 (平成30年作)




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春二番

小気味よき電話一番春二番



びわ



倫理法人会では毎週どなたかを講師としてお招きして話をしてもらっている。2月の講師を決める際にどうしても一人の枠が決まらないとのことで担当者から相談があった。
「Mさんに相談してみたら。倫理歴が長いので誰かいい人を知っているかも知れないよ」
私の助言である。担当者がすぐにMさんに連絡したところ「心当たりがありますので連絡してみます」と即答してくれたという。すぐにMさんから連絡があり「先方は了解してくれましたので電話してみてください」との話である。
「どういう人だって?」
「いえ、聞いていません」
「倫理の人だろうね」
「分かりません。でもすぐに連絡する位ですからいい人なんじゃないでしょうか」
私がまずMさんに連絡してみることにした。
「Mさん、ご紹介ありがとうございます。その方はどういう方ですか?」
「私も一回しかお会いしてないんですが、いい人でした。きっといい話をしてくれますよ」
「一回しか会っていない!その方は倫理の方ですか?」
「えっ、倫理でなくちゃ駄目だったんですか?」
「いえいえ、そういうことでもないんですが、話が全く倫理的でないというのもなんですから……」
「それでは日向さんが直接、連絡してみてください。話の内容なども聞いてみてください。身体にいいと思いましたので連絡してみましたが詳しい話はお願いします」
「そもそも、その人はどんな人なのですか?」
「ビワ灸をしている人です。ビワの葉を使ったお灸ですよ。先日、行って来たんですが凄く良かったです。日向さんも行ってみたらいいですよ、気持ちいいですから。電話番号は……」
頼んだ相手が悪かったのか、選んだ私が馬鹿だったか。まずは電話をしてみることにした。
「もしもし、倫理法人会で会長をしております日向と申します。先程Mさんから連絡があったと思いますが……」
「はいはい、聞いてます、聞いてます。上手くお話が出来るかどうかは分かりませんが、なんとかやらせていただきます。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
なんだか、雲行きが怪しくなってきた。とても元気の良いおばちゃんである。ちょっと不安を覚えたが、まずは会ってみなければならない。「お試しコース」があるというので取り敢えずそれを予約して様子を見て来ることにした。
                                 (平成30年作)




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緋連雀

緋連雀見たさに山を一つ越え



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先日、富岡総合公園の脇を走っているとたくさんのカメラマンが並んでいたので車を停めて覗いてみた(写真)。
私「何を撮っているのですか?」
A「緋連雀が来てるんだよ」
私「来るのを待っているんですか?」
A「いや、もうたくさん来てるよ。見えるよ。あの木の上にいるのが見えない?」
私「ああ、いやに小さいですね。肉眼じゃよく分からないですね」
A「撮ったのがあるよ。見る?」
私「お願いします。見せてください」
望遠で撮ったのを見せてくれた。
私「この時期だけ来るんですか?」
A「そう、この時期にヤドリキの実を食べに来るんだよ。ここ2、3年来なかったからみんな必死だよ(笑)」
私「撮った写真は写真展か何かに出すんですか?」
A「出す人もいれば出さない人もいる」
B「出したくても出せない人もいる(笑)」
A「ヘヘヘ」
B「テレビで紹介されてここも有名になったので結構集まって来るんだよ。今日はこれでも少ないくらいかなぁ。お寺なんかのヤドリキにも来るんだけど、カメラマンってマナーの悪いのも多いので入れなくされちゃうんだよね」
A「どこかの会社で役員をしていたのが引退してカメラを始めて、何様って顔で来るんだけど、お前の部下じゃないってぇの(笑)。節操もなくやらかすのは、そういうタイプのやつなんだよ。まさに老害だね。威張ってやがって困りもんだよ」
誰のことを言っているのか、心当たりがあるらしい。
A「あれ、またあのおばちゃん、来てるよ」
B「向こうでも言ってるよ、あの人また来てるって(笑)」
A「この山の向こうに住んでるらしい」
B「わざわざ来るかねぇ、ここまで、暇なんだろ(笑)」
仲の良い二人のようである。
私「ずーとこうやって見てるんですか?」
A「帰ったって、やることないからなぁ(笑)」
B「おれはそろそろ帰るわ。それほど暇人じゃないんで(笑)」
A「どうせまた、パチンコだろ(笑)」
B「じゃ、ま、ごゆっくりどうぞ、お先(笑)」                
                                 (平成30年作)




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神楽

皺すこし増えし宮司の神楽舞



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7時ちょうどに烏帽子姿の宮司と陪従(?)が入場してきた。観客の中を厳かに進み、神楽の舞台に上がるところから始まった。それぞれが笛や太鼓の準備を整え向き合ったところで宮司が立ち上がった。
「それでは、これより始めます。初めの舞は『あのう』です」
すぐに手帳を取り出し「あのう」とメモした。本当は「はのう(初能)」だったようだが遠かったためか聞き取れない。舞の名前くらいは簡単なパンフレットでもあればと思ったが、欲しがる人もいないのかも知れない。私にとっては全く前知識のない初めての神楽体験である。
扇子と鈴を持ち、曲に合わせて宮司が舞い始めた。
「???」
<宮司が舞うの?><プロの人が舞うのではないの?><専門でないでしょ?><そんなもんなの?>これが私の感想であり驚きでもあった。次の曲もその次の曲も宮司が舞った。舞うだけではなくお祓いをしたりするので、やはりここは宮司の役どころなのかも知れない。なるほどなぁと思った。何百年と続いてきた伝統行事を受け継ぐのは宮司の役目なのである。凄いなぁと思った。音楽は単調で同じような旋律を何度も繰り返していた。この楽曲も何百年と受け継いできたものだろう。徒やおろそかに聴いていては失礼とも思えてくる。
とても寒いのだが風がないので過ごしやすい。耐えられない寒さとは決して気温のことをいうのではなく、風の強弱をいうのだということが分かる。神楽はどんどん進んでいく。途中で宮司が舞台を下りて湯釜の前に進んだ時があった。陰になって見えなかったが、また舞台に戻り、神前に湯を供えたのかも知れない。やはり説明が欲しいところである。
次に宮司が湯釜に向かった時は観客が一斉に席を立ち、宮司の周りを取り囲むようにして湯釜を取り囲んだ。湯立神楽である。湯釜を掻き回し、湯気が立ち込める中を笹の葉を浸して参列者の方へ撒き散らす。この飛沫を浴びて一年のお祓いをしてもらうのだ。節分の豆のようなものかと思った。隣に知り合いの社長が立っていて声を掛けられた。
社長「おっ、どうしたの。この寒いのにご苦労だね(笑)」
私「初めてなので見に来ました」
社長「あっ、そう。風邪ひかないようにね。ここで引いたら洒落にならないよ」
私「さっきお参りして無病息災をお願いしましたから大丈夫です(笑)」
社長「は、は、は」
宮司が戻り、弓矢を飛ばすお祓いや赤い天狗の面の舞が始まった頃、急に寒さを覚えたので忠告通り風邪でも引いてはいけないと思い帰路に着くことにした。暦の上では立春だが、まだまだ寒さはこれからである。
                                 (平成30年作)




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夜神楽

夜神楽を待つや薪の爆ぜる音



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境内にはベンチが並べられすでに百人ほどの人が座っていた。7時からの開始を待ってみな無言で座っている。神楽の舞台も出来ており、その横で火が焚かれお湯が沸かされていた。<湯立神楽に使うのだろうか>勢いよく湯気が揚がっていた。「富岡八幡宮」と書かれた半纏を着た男性がお湯の番をしている。神主の衣装をした若い男性が木の補充などして火の番をしている。時折、薪が爆ぜる音がするだけでとても静かな境内である。
奥のベンチの最前列に座って辺りの様子を見ていたが、時々参拝客が現われて鈴を鳴らしている。本殿の正面に鈴紐が何本もぶら下がっているので始まる前にお参りをしているようである。ここにいる百人はすでに済ませたのだろうか。全員ということはないだろうが、折角なのでお参りしておくことにした。何事もやっておいた方がよいに決まっている。人々の後ろを回って正面に進むと「御祈祷木」と書かれた説明書きがあった。
「御祈祷木裏面に願い事、住所、氏名をご記入の上、御初穂料三百円を添えてお納めください。二月、十一月の初卯の卯陪従の際、神楽奉納の上お焚き上げを致します。この日お参りすると一年間お参りしたのと同じだけの御利益があると伝えられています」
先日のお不動様の百円護摩木よりは立派な木である。料金が3倍になっているだけのことはある。願いごとを書き入れて三百円を納め鈴を振った。百人が注目する中でのお参りは少し緊張するが、一年分のお参りとは何とも有難い。不精者にはこの上ないご褒美である。お参りを済ませてまた元の席に戻ろうとした時、知った顔と目が合った。市会議員の先生である。なるほど地元行事への参加は欠かしてはならないお務めのようである。会場全体が水を打ったように静かなので目礼だけで済ませて後ろの席に戻った。
                                 (平成30年作)




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