2017年07月の記事 - ひこばえ
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ひこばえ


2017年07月の記事

夏負け

夏負けといひこの頃の籠り癖



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会社の定期検診で腹回りを測ったところ92センチと言われた。ここ数年ずっと88センチだったので一挙に4センチも増えたことになる。
「嘘でしょ!そんなに増えるはずはない」
「間違いありません。ご自分でメモリを確認してください」
帰宅するとたまたま娘達も揃っていた。その話をしたところ一斉に非難を浴びせてきた。
「食べ過ぎだよ。何でも全部食べるからだよ」
「ご飯を食べないようにしていると言っても、あれだけおかずを食べれば一緒だよ」
「食べてすぐに寝るというのが一番良くないよ」
「休みの日に朝から飲むビールが良くないよ」
「運動してないからだよ。歩くのを止めたのは良くない」
「何かスポーツをやればいいんだよ」
「水泳が一番だよ。プールの中を歩くだけでも違うよ」
「なんでも三日坊主で止めてしまうから駄目なんだよ」
こうも容赦なく人を非難出来るものだろうか。

数日後、いつも行く整体師の先生からも言われた。
「背中がとても張っています。肝臓が弱っています。右の脹脛が凝っています。運動した方がいいですねぇ。歩いていますか。去年、歩いた時はいい感じでしたが、やはり止めてしまうとまた脹脛が凝り出します。毎日でなくてもいいんです。週2回でいいですから、歩くようにしてください」
その日は「海の日」だった。
「よし、プールに行ってみよう!プールで歩いてみよう」
以前娘に水中ウォーキングを勧められ、その気になって車の中に水着を入れておいたのである。会社の近くに「リネツ金沢」というプールがある。そこなら簡単に入れるはず。スポーツクラブのような面倒な入会手続きなどもいらない。整体院からすぐにそちらへと向かった。まずはやってみることである。
                                 (平成29年作)

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光琳忌

金泥の零れやすさよ光琳忌



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ラウンジは吹き抜けになっている。その壁面に大きな絵が飾られている。
「夜明けの街」という作品で明け方のベイブリッジを東京方面から走って来て車で通過する時のイメージが描かれているという。大きい。何度かそこでコーヒーを飲んだことがあるので見ていたはずだが記憶になかったのは迂闊である。
「私が33才の時ですから20年前の作品です」
「凄いですね。圧倒される大きさですね」
そんな話をしながら「まずはこちらへどうぞ」と会場を回り始めようとした時だった。エスカレーターを上がって受付の前に現れた人がいた。
「あっ、先生、ありがとうございます」
内山さんが駆け寄っていった。
「ちょっと、寄らせていただきました」と先生。
「先日はお世話になりました。あれから……」
衆議院議員の河野太郎氏である。あっ、そうか。平塚つながりか。神奈川15区、平塚市出身である。随分と親しそうである。受付で話し込んでいるので私が入って行く余地はない。一人で回ることにした。すると受付に立っていたもう一人の男性が私の横に付いて案内役を始めてくれた。
「いや、大丈夫ですよ。一人で見て歩くのに慣れていますから」
「日本画はよくご覧になるのですか?」
「いえ、いえ、今日が初めてです。油絵はあちこち見て歩きましたが、日本画は……」
「日本画は顔料が違います。顔料には岩絵具が使われています。いろいろな鉱石を砕いて作ったものです。それに膠(にかわ)などを混ぜて描いていきます」
「いやに繊細に描かれていますね。内山さんのイメージとは違い過ぎる(笑)」
一通り案内をしてもらい、あの巨大な絵の話になった。
「あれは相当なものでしょう。値段の方も」
「大体、○○と聞いています」
「えっ、そんなにするの!あの絵1枚で!」
いやはや絵描きとは凄いものである。値段があってないもののようにも思うが、それにしても凄い金額である。1号いくらと言われればどんな作品でもおよその見当は付くものだが、あの大きさとなると皆目分からなくなる。どういう計算で算出された金額だろう。途中、内山さんが河野氏を紹介してくれて名刺交換などをして一緒に作品の前で撮影をすることになったが、気もそぞろである。いろいろと話もさせてもらったが大した話ではない。絵1枚の値段に驚かされている私にとっては、どのような話も大した話には聞こえてこない(笑)。
                                 (平成29年作)

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涼し

出迎へのボーイの礼の涼しさよ



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知人の日本画家が作品展を開くというので出掛けてきた。場所は横浜駅西口の横浜ベイシェラトンホテルである。いやに立派なホテルで行うものである。よく会合などで出掛けるホテルだが個展などを開いているのはあまり見たことがない。相当に有名な人なのかも知れない。平塚市倫理法人会の会長でここの所よくお会いするのだが、もちろん作品は一度も見たことがない。そもそも日本画というものに興味を持ったことのない私である。何も分からないと言っていい。日本画といってすぐに思い浮かぶのが伊藤若冲や尾形光琳などの屏風絵である。美人画や浮世絵もそうかも知れない。東山魁夷や小泉淳作なども浮かんでくる。おそらく想像するものとは違うのだろうが、まずは出掛けてみるしかない。作品の前で何を感じ、作者が伝えようとしているものを感じ取れるかどうかである。ラウル・デュフィの「ドーヴィルの競馬場」の絵の前で動けなくなった時のことは以前ブログに書いた(平成26年7月7日「万愚節」)。あの時と同じような感動をまた味わえることをいつも期待して出掛けていくのである。ちょうど横浜で会合があったのでその帰りに寄ってみることにした。ホテルに入り中に立っているボーイさんに聞いてみた。
「内山徹さんという画家の個展は何階で開かれていますか?」
「個展ですか?」
ボーイさんはその日のスケジュール表を取り出して見ていたがすぐには分からなかったようで「少々お待ち下さい」と言って別の人のところへ聞きに行った。しばらくして戻って来て「お待たせいたしました。場所はあちらになります」と指を差すのである。その階の上にある通路に当る場所である。
「ん?部屋じゃないの?」
ボーイさんにお礼を言い、すぐ目の前のエスカレーターで上がって行った。するとそこに受付があり、内山さん本人ともう一人別の男性が立っていた。
「やぁ、日向さん、よく来てくれました。暑い中をありがとうございます。ご案内させていただきますので、ゆっくり観ていってくださいね」
おそらく通路だろう。その左右にボードを立てて作品を飾っているのである。
「いつもこちらで開催されているのですか?」
「そうです。このホテルが開業した時からです。あそこに飾っている絵が私の絵です(写真)。あれを収めたのがご縁でずっと続けています」
ホテルのラウンジに飾られた大きな絵のことを言っている。
「えっ、あれを内山さんが描いたのですか!大きい!凄い絵じゃないですか!」
                                 (平成29年作)

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梅雨明け

梅雨明けて筆勢更に小気味よし



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月2回の書道塾には欠かさず出掛けている。4回ある土曜日のどの日に行ってもいいことになっていて、しかも午後3時以降どの時間帯でもいいので通いやすいのである。昨年の5月に入会して1年2ヵ月が経過したが、あまり負担にもならずにいい感じで続けている。
3月頃のことである。先生から言われた。
「日向さん、今月もまた上がっているよ」
「えっ、また昇級ですか!間違いじゃないですか」
「いや、間違ってないよ。ちゃんと丸が付いているよ(笑)」
5級からスタートした階位が毎月のように上がり、都合5回上がって準初段となったのである。
「調子いいなぁ。やる気が出ますよ」
「上がれるうちに上がっておいた方がいいよ。そのうち、なかなか上がらなくなる時が来るんだから(笑)」

その会話をしてから3か月間、急に昇級が止まった。
「???」
どうしたんだろう?原因はすぐに「あれだ!」と思い当たった。実は私は筆に墨が付きすぎるのを嫌って穂先の途中を糸で縛って書いていたのである。それが先生に見つかった。私としては力一杯に書けて良かったのだが、習字本来の姿ではないので止めるようにと言われてしまったのである。糸を外すと穂先に墨がたっぷりと付き、その穂先が根元まで曲がるようになる。力一杯に書くととても太い字になる。そのため加減して書くようになり筆に勢いがなくなってしまうのである。勢いのない字は弱々しい。書いていても爽快感がない。少し悩んでいた所だったが、7月の初めにようやく初段に昇級したのである。
「やったー!」
ほっとすると同時に、俄然やる気が出た。よし、もう一段上がってやろう。穂先は縛らずに上手く書けるようになってしまおう。一つ上がっただけでこうも前向きになれるものかと我ながら呆れてしまうほどである。
(注)今月の手本「妙言無古今」(妙言に古今無し)。「世の中がどのように変化しても、人が進むべき方向は真理に基づくべきで、理屈や目先の損得で心動かされてはならない」という意味だという。
                                 (平成29年作)

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梅雨晴間

かりそめの拍手を浴びて梅雨晴間



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その店の「骨付き丸ごと手羽」が美味しくて、是非とも皆さんに食べてもらおうとMさんは選んだそうである。店の名前を「一鶴」といい四国の丸亀に本店があり、四国の営業所長だった時代に知ったそうである。なるほど、味も良く、柔らかく、予約が取れないというのも分かるような気がしたものである。
いい加減、飲み食いした後は、お待ちかねのカラオケである。ほろ酔いでビルを出て、向かいのビルに入った。最初にジャンケンで歌う順番を決めた。Oさんがトップバッターである。
「おっ、いいぞ!夜明けのブルース!」
持ち歌である。五木ひろしよりも上手いのではないかと思うほどの歌いっぷりである。声援が飛び交う。
「待ってました!」
「いいぞ、最高!」
「2番町、女殺し!」
本人も自信満々の曲なのでノリノリである。ヤンヤの拍手喝采である。嬉しそうである。病み上がりの男には見えない。歌をこよなく愛するOさんなのである。最初に歌うと注目度は最高である。何でもNO1がいいのである。
次は私である。いつもなら「上海の花売り娘」を歌うところだが、同じ上海でもその日は「上海だより」を歌うことにした。「聴いたことないねぇ」と言われる。そう、その言葉が欲しかったのである。聞いたことが無い、すなわち注目してくれることを期待したのである。歌い出すと案の定「古いねぇ」などと言って反応してくれる。そういうものなのである。大体が2曲目以降というものは人の歌など聴かなくなる。3番手のMさんが何を歌ったかを覚えていないのは当然なのである。曲の1番と2番の間の切れ目に拍手をすることは忘れないが、所詮聴いていないのだから心が入らない。お座なりな拍手はパラパラとしか聞こえない。4番手のI君の番になると他の3人は次の自分の曲の選曲に忙しく、届いたばかりの乾き物のポップコーンなどを頬張って声も出ない。曲の最後の辺りに大いなる拍手をしてお茶を濁すというのがせめてもの気遣いなのである。
その点、ママさんのいる店は違う。拍手はもちろん、「いい歌ですねぇ」などと愛想の一つも言ってくれる。やはり、そちらに足が向くのは当たり前である。

先日ある人から聞いた話だが、ある時Mさんが私のことをこう言っていたそうである。
「日向さんという人は結構、自己中心的なタイプなんです。人が歌っている時はほとんど聴いていない。曲が終わった時の拍手だけがいやに大きいんですが、あれは終わって良かったという拍手なんです(笑)」
                                 (平成29年作)

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三伏

三伏や油滴る手羽料理



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いつものカラオケ仲間4名の内の一人Oさん(不動産会社、営業部長、67才)が入院した。聞いた時には退院していて、大事なく済んだということだったので電話をしてみた。
「いやぁ、大変でしたよ。死ぬかと思いました」
急に腹を病んで駆け込んだ病院で即手術となり、術後2週間も入院していたという。
「もう大丈夫なのですか?」
「大丈夫です。ご心配をお掛けしました」
「それでは久し振りに一杯やりましょうか。快気祝いということで」
「いいですねぇ。よろしくお願いします」
お酒が飲める位なので大丈夫なのだろう。その旨をすぐにMさん(生命保険会社、営業所長、57才)に連絡した。
「分かりました。それでは場所などはこちらで手配します」
こういうことは決まるのが早い。全員オッケーである。3日後の木曜日の夕方6時半に横浜駅西口の焼き鳥屋ということに決まった。

当日、会社を出て横浜駅に到着し、店に向かって歩いていた時にMさんからメールが入った。
「申し訳ありません。少し遅れます。席を取っておいてください」
「えっ!予約してないの?」
「予約が取れなかったので、I君(保険代理店経営、41才)に席を押さえてくれるように頼んでおきました」
運動会の席取りでもあるまいし、星の数ほどある居酒屋の中から予約が取れない店をどうして選んだのだろう。幹事役の選定を誤ったかと思った。それにしても、平日に予約が取れない店とはどんな店だろう。飲食店ばかりが入っているビルの6階である。すでにOさんとI君は到着していて、席を確保しておいてくれた。
「今日の主役が一番乗りとは申し訳ありません。しかも場所取りまでお願いして」
「もう満席状態です。一応、席のキープはお願いしてあります」
「それにしても肝心な人が遅刻とは……さすがに大物です。今日もトリを取るつもりなのでしょう。焼き鳥屋だけに……(笑)」
以前のブログ(平成28年6月29日「光秀忌」)にも書いたのだが、4人の中で最高得点91点を叩き出しているカラオケ得意男Mさんなのである。その日もやる気満々で張り切って来るに違いない。「トリ」の到着前ではあるが、ビールと枝豆を注文して早々に3人で乾杯した。Oさんはさすがに病み上がりとあって少しやつれてはいたが、変わらぬ笑顔で復調をアピールしていた。一安心である。
                                 (平成29年作)

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海の家

看板にシャワー完備と海の家



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久し振りに海で遊んだ。若い頃の遊びとは違っていたが、泳いだり(落ちただけだが)バーベキューをしたりお酒を飲んだりと楽しい時間を過ごすことが出来た。写真には40名位しか写っていないが、途中で帰ったり飲むのに夢中で写っていない人もいたので総勢60名程の参加だったようである。知った顔が多いというのが一番である。知らない人ばかりだとしたらこうも寛ぐことは出来なかっただろう。倫理法人会に所属して知人を得た結果ということになろうが、一昔前の私ならこういった場所は避けていたに違いない。会に所属したことに感謝しなければならないと思う。

まず私自身、人間関係を築くことがとても苦手な男である。なぜ苦手なのだろうと考えてみたが理由など分かるはずもない。しかし、最近たまたま読んだ本に解答が書かれていた。カーネギーの「人を動かす」である。その中に「人に好かれる方法」があり、第一章にこう書かれているではないか。「相手に興味を持つこと」―――この章を読んだ時の私の衝撃といったら大変なものである。会社の社長をやっていて人に興味を持てないでいる自分を発見したのだから。「だから上手くいかなかったのだ」とすぐに思った。
本を読んだ直後、家族で食事に出掛けることがあった。孫達も一緒である。道を歩きながら娘に話したものである。
私「いやぁ、最近になってようやく気付いたことがあるんだよ。人間関係の築き方」
娘「なになに、どういうこと?」
私「まずね、人間関係を築くには、相手に興味を持つことが大切なんだよ」
娘「ふむふむ、それで?」
私「それでって、それだけだよ。それが一番大切な第一歩なんだよ」
娘「ヒャッ、ヒャッ、ヒャッ(笑)なになに、それだけ。そんなことなら私は中学生の時に気付いていたよ。遅すぎだよ、いくらなんでも(笑)」
私「そう言うなよ。気が付かないで、ここまで来ちゃったんだから」
娘「まぁ、そうよね。気付いただけでも良しとしなくちゃね。それで、どうやって興味を持つの?」
私「えっ?何が?」
娘「興味を持つことが大切なんでしょ。だから、どうやって相手に興味を持つの?」
私「……」
娘「もう少し、その本を深く読んだ方が良さそうだね。それとも、なつに教えてもらう?」
                                 (平成29年作)

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波乗り

流されてゐるは波乗り沖に一人



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サップ(SUP、スタンドアップパドル)を体験した。サーフボードを大きくしたような板に乗り、パドルという櫂を操って遊ぶという代物である。10分ほどの説明を聞き救命胴衣を着け海に漕ぎ出した。5人で一斉に海に向かったが、どういう訳か私のボードだけが前に進まない。パドルに力を入れれば入れるほど回転してしまうのである。近くにいた焼き子の女の子が寄ってきてくれた。前後を逆にして乗っているという。なるほど、逆にすると進み出した。焼き子はこういう時にも役に立つ。
とても簡単である。スイスイと前の人に追い付き追い抜いていく。爽快である。これならどこへでも行けそうである。あっという間に浜が遠のいた。自分が出てきた浜がどこだか分からなくなったほどである。三浦海岸が一望出来る位置まですぐに到達した。戻るのも簡単である。スイスイである。しかし、少し風が出たときの流され方には驚いた。それほどの風でもないのに押し戻されるのである。油断大敵である。
途中1回だけバランスを崩して海中へ転落した。落ちた瞬間、何が起きたのか分からなくなるような感覚に見舞われた。久し振りである。ボコボコという水中の音を聞きながらもがいた。救命胴衣を着ているし、ボードとはロープで繋がれているので何の心配もないのだが少し慌てた。海面に顔を出し、青空を見上げ、大きく息を吸った。30分ほど遊んで浜に戻った。その後、人が集まりバーベキューが始まり、ビールを飲み始めたのでサップはその1回だけだったが、私にとってはとても好印象の遊びとなったのである。

我々の後にサップで遊んでいたうちの一人が沖に流された。モーターボート出動という事態が発生した。無事に救助されたのだが、浜は一時騒然となった。おそらく風に流されたのだろう。慌てたに違いない。漕いでも漕いでも沖に持っていかれるという恐怖を味わったことだろう。海の遊びは常に危険と隣り合わせであることを心しなければならない。
                                 (平成29年作)

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サングラス

サングラス掛けてこちらを見られても



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会長がバーベキューの件で相談してきた。
「日向さん、焼き子はどうしましょうか?」
「焼き子?なにそれ?」
「バーベキューを焼いてくれる女の子です」
「もちろん頼んでよ。地元の漁師のお婆ちゃんが出てくるんじゃないでしょうね(笑)」
「女子大生と聞いています」
「いいねぇ」
「いいと言いましても、お金が掛かりますよ。一人一万円」
「安いもんだよ。自分逹で焼いたって美味しくも何ともないよ。女の子に焼いてもらって食べるのが美味しいんだよ」
「3人でいいですか?」
「会長、こういう時はケチケチしても仕様がないよ。5人!5人でいこう!」

当日は絶好のバーベキュー日和だった。雲一つない空。風のない海。会員しかいない砂浜。貸し切りの海の家。焼き子は3人しかいなかったが、3人が3人とも美人で愛想が良かったので終日とても楽しく過ごすことが出来たのであった。
                                 (平成29年作)

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水着

豹柄の水着を持つてゐるといふ



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倫理法人会でバーベキュー大会を行うことになった。三浦海岸に「海の家」を持っている会員がいて貸し切りで使わせてくれるという。サーフィンやサップなども出来て楽しそうである。普通は10000円ほど掛かるものを5000円で使わせてくれ、会でも一部負担するので一人3000円で食べ放題、飲み放題、遊び放題にするという企画である。会員に声を掛けたところ結構な盛り上がりを見せ、家族で参加するという人も現れた。

明日がバーベキューという日になって海水パンツがないことに気付いた。
「昔穿いていたパンツ、今穿けるだろうか」
考えるまでもない。穿けるはずがない。腹回りが昔と全く違っている。昔のパンツを探すより買いに行った方が早い。会社が終わって近くにある金沢アウトレットに一人で出掛けてみた。
以前ジャージを買ったことのある「ナイキ」に入ってみると水着は扱っていないという。衣類にもいろいろあるらしい。どこで売っているのだろうと見てみると、サーフボードを飾っている店が目に入った。分かりやすい。「クイックシルバー」という店である。入るとすぐに店員が声を掛けてきた。可愛い女の子である。
「何かお探しですか?」
「海水パンツ」
「それならこちらになります。いろいろありますが、どのような水着をお探しですか?」
「オリンピック選手みたいなヤツでないヤツ」
「???」
「冗談、冗談。普通のヤツっていうこと。おそらく明日一回しか使わないから適当なのでいいよ」
「こちらの商品は70%オフになっています」
「70%も引いてくれるの?タダみたいなもんだね」
「お客様、サイズはおいくつですか?」
「自分の年ならすぐに答えられるけど、腹回りは測ったことがないから分からないなぁ。おそらく88」
私の詰まらない冗談に付き合ってくれながらも、商品を選んでくれた。
「お客様、シャツは如何ですか?」
「そうか、シャツも必要かぁ。商売上手だね」
「水に濡れてもいい素材のものがお勧めです」
「シャツが濡れることはないでしょ。そのまま海に入るっていうこと?」
「そうです。今は普通に着たままで入る人がいますよ」
あれやこれやを勧められて思わぬ買い物となったが、ひとまず準備を整えた。
                                 (平成29年作)

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五月闇

緞帳の上がりてよりの五月闇



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「オペラ座の怪人」―――聞いたことはあっても内容までは知らない。折角の観劇なので事前にあらすじを読んでおいた。19世紀のパリ、オペラ座の地下に住む怪人が美貌のクリスティーヌに恋をする。彼女を攫い自分を愛するようになることを望む。しかしクリスティーヌに仮面を外されて醜悪な人相を見られてしまう。自分への信頼を裏切らないことを条件に彼女を解放する。しかし……。大体の筋を頭に入れて劇場に入った。席は2階席だが、3階とも4階とも思えるほどに高い場所にある(写真)。
「遠いなぁ」
全員の第一声である。ガランとした席は徐々に埋まっていき、開演間際には満席となっていた。いよいよ開演である。期待に胸は膨らむ。照明が落とされオークションの場面から始まった。私が読んだあらすじにはない場面である。
「ん?何だろう……何をやっているのだろう」
音響は抜群である。よく聞こえる。色彩もいい。登場人物の衣装もいい。舞台に置かれた大きなシャンデリアが上に引き上げられて一瞬で配置が変わる。早業である。凄い。凄い。大仕掛けである。さすが劇団四季である。感動のオープニングである。
しかし、初っ端から意味が分からない。「???」の連続である。上演時間2時間40分。途中休憩時間を30分挟んでいる。前半を終わり、後ろの通路からゾロゾロと全員がロビーに出てきた。
「いやぁ、参ったなぁ。全然、意味が分からないよ」
「やたら人が出てきて誰が誰なのか分からない」
「分からないのは俺だけかと思って焦ったよ」
「音声ガイドでもないと付いて行けないなぁ」
「難しすぎるよ。水戸黄門のように分かり易くしてもらわないと(笑)」
「あと半分もあるの?ロビーでビールでも飲んでいようかなぁ」
いやぁ、本当に難解だった。あらすじを読んできた私がよく分からないのだから、他の人のボヤキも分かろうというものである。休憩を終えて、再び中へ戻ろうとする姿が心なしかうなだれて見えたのは気のせいだっただろうか。

観劇を終えて夕食会での会の会長さんの挨拶である。
「私も何度か劇団四季の舞台は観に行っております。『ライオンキング』なんかは見ているだけで分かりました。しかし、今日の『オペラ座の怪人』は私の理解力を遥かに超えていたようです。よく分かったという人がいましたら教えてください。私はその人を尊敬します(笑)」
                                 (平成29年作)

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梅雨

梅雨は憂し拭ひてもなほ曇る窓



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ミュージアムを出て昼食会場に向かった。桜木町駅前のワシントンホテルでのバイキングである。ここで腹一杯に食べてしまうとミュージカルで居眠りをすることになる。もちろん、アルコールは抜きである。我々40名のために個室が用意されていたが、食べ物はバイキングなので面倒でもトレイを持って取りに行かなければならない。ちょうど同じ時間に小学生の集団が来ていて大わらわである。
「小学生がホテルでバイキングなんて贅沢だよねぇ」
「食べ放題だから先生も楽なんだろう」
「茨城から来た6年生ですって」
「みんな、大盛りで凄いよ」
「カレーライスが人気で、今ご飯が無くなったって騒いでいたよ」
「今から米を研いでいるようじゃ大変だ(笑)」
コーヒーを取りに行ったついでに小学生に声を掛けてみた。
「ホテルの料理はうまかっぺよォ」
先日覚えたばかりの茨城弁「いがっぺよ」の変形バージョン「うまかっぺよ」を使ってみた。そういう言葉遣いがあるかどうかは分からないが、少なくとも何らかの反応があるだろうと期待したが全くの空振りに終わった。茨城県人には見えなかったようである。

バスに乗り込んでいよいよ劇場に向かった。前の席に座っていたご婦人が4回目の「オペラ座の怪人」観劇だという。
「へぇー、4回目ですか。凄いですねぇ。そんなに面白いんですか?」
「何度観ても、その時その時で感動が違います」
「いやぁ、楽しみだなぁ」
                                 (平成29年作)

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梅雨寒

梅雨寒や男が啜るカップ麺



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会社は「優申会」に所属している。税務署が認めた優良申告法人で構成された会である。そのメンバーで年1回親睦のバス旅行を行なう。今年は横浜の神奈川芸術劇場で行われている劇団四季のミュージカル「オペラ座の怪人」の観劇である。新杉田駅前で大型バスに乗り込み、最初に向かったのがみなとみらいにある日清食品のカップヌードルミュージアムである。
「こんなに近くなら別にバスでなくても良かったのに……」
そんな声も聞かれたが、「バス旅行」と銘打っているので現地集合はない。行先がたまたま近場だったというだけのことである。所詮、オペラ座までの時間つぶしだが、40名の移動なのでバスは絶対に必要なのである。ちょうど梅雨入りしたばかりなので傘持参で集合した。
館内は修学旅行の学生で溢れていた。どこから来たものだか、さまざまな制服が見られた。
「わざわざ修学旅行で来る場所だろうか?」
「我々と同じでどこかに行くまでの時間つぶしなのかも」
「学生は入場料無料となっています」
「なるほど、時間つぶしにはちょうどいい」
完全に時間つぶしと決め付けている会話である(笑)。我々は一人500円の入場料を払っての見学である。最初に入った場所にインスタントラーメンの歴史が綴られていた。壁面一杯に実物のラーメンが貼り付けられていた。1958年の即席チキンラーメンがスタートである。
「ああ、懐かしいなぁ。食べた、食べた」
「あれから60年かぁ」
「俺はまだ生まれていなかった(笑)」
「なに言ってるの、戦中派でしょ(笑)」
創業者の安藤百福氏の足跡を辿るシアターも用意されていた。14分間の映像である。インスタントラーメン開発に賭けた熱き思いを次の6つのキーワードに沿って説明していた。
① まだ無いものを見つける
② なんでもヒントにする
③ アイデアを育てる
④ タテ・ヨコ・ナナメから見る
⑤ 常識にとらわれない
⑥ あきらめない
館内に発明家の写真が飾られていた(写真)。その真ん中に安藤氏がいて、なるほどインスタントラーメンが世界中の食文化に与えた影響の大きさをアピールしている。
                                 (平成29年作)

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