2017年04月の記事 - ひこばえ
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ひこばえ


2017年04月の記事

ルピナス

ルピナスや異国に馳せる夢ひとつ



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シャンソン歌手という言葉は聞いたことがあるが、タンゴ歌手というのはあまり聞いたことがない。倫理法人会が新横浜のホテルで行なった講演会のゲストがタンゴ歌手の香坂優さんだった。別の誰れかが講演したあとでタンゴでも歌うのかなぁなどと勝手に考えて出掛けたのが、何と何と香坂さんご本人が講話し最後にタンゴを歌ったのである。しかもその話の素晴らしかったこと。会場にいた250名は水を打ったように聞き入り、絶妙な語り口に泣かされたり笑わされたりと感動の時間を過ごさせてもらったのである。

話は今から30年前の淡谷のり子さんとの出会いから始まった。初対面同士で行なうジョイントディナーショーである。下手な歌手に対し「あれは歌手ではなく、カスだ」などと言い放つ人である。緊張したことは言うまでもない。しかも会場に到着すると淡谷さんはすでに来ていてリハーサルの真っ只中。大先輩に先を越されてハナから出遅れる。「気が散るので出て行きなさい」と言われた所からお付き合いが始まったというのだから、この話面白くならない訳がない。
「あなたはあと何年、歌っていたいの?」と聞かれ「先生と同じ年になるまで」と答えると「それならその歌い方では駄目。きちんとボイストレーニングしなさい」とアドバイスされる。トレーナーを紹介され、通うこと2年。その後、彼女の前で歌うと「あなたの声はシャンソンでもカンツォーネでもないわねぇ。そうねぇ、タンゴがいいわ。タンゴをやりなさい。やらないのだったら歌手を辞めて再婚でもしなさい」と決め付けられたそうである。「ちょうど5か月後にアルゼンチンのコルドバで音楽祭があるから行きなさい。今からスペイン語でタンゴを7曲覚えて歌ってきなさい。それ位出来ないようじゃ、歌手はやめたほうがいいわねぇ」と追い込んで来る。その後何度となくアルゼンチンに通い、ようやくタンゴ歌手としての道を歩み始め、成功を収め今に至るのである。
話のあと、何曲か歌った。大いなる拍手である。話に感動し、歌に聞き惚れたものである。

終演後、私は著作本を買いサインをしてもらった。感動させてもらったのだから当然である。それを横で見ていた友人の三宅さんが笑いながら混ぜ返してくる。
「話は面白かったけれど、歌は日向さんの方が上手かったなぁ。日向さんが歌う『霧子のタンゴ』には敵いませんよ(笑)」
「何を言っているのかねぇ、この人は……」
と言いながらも、それから二人でボイストレーニングに向かったのだから、これまたよく分からない話になってくる。
                                 (平成29年作)

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