2017年03月の記事 - ひこばえ
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ひこばえ


2017年03月の記事

寒明け

寒明けの稽古相撲を見に行かむ



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取り寄せた文庫本を速攻で読み切った。どれも面白く甲乙付けがたいところだが、どれか一冊といわれれば「貴ノ花散る」ということになるだろうか。知った力士が実名で登場し、土俵の上では見えないその裏側のあたりを容赦なく書き立てているのだから、面白さこれに勝るものなしである。
「二子山親方(四十五代横綱若乃花)の末弟、花田満は初土俵以来、十六場所を負け知らずの快進撃で新十両に昇進した。十八歳の十両は当時史上最年少である。細身で均整のとれた体格と甘いマスクから角界のプリンスと騒がれ世間の目が一斉に注がれる。贔屓筋からは引っ張り凧で毎夜遅くまで引き回され朝帰りとなる。その日、花田が稽古場に出てこない。怒り心頭に発する二子山。「あの野郎」全身怒りの火の玉となった二子山に蹴倒されて、現れた時の花田は竹箒の柄で叩かれ全身はみみず腫れで血が吹き出ている。「満、四股を踏め」二子山の声が腹から絞り出された。花田は真一文字に口を結び衆目の中で四股を踏み始めた。その前へ右手に竹箒を持ち、左手を腰に当てた二子山が両足を踏ん張って突っ立っている」(本文より)
土俵の鬼といわれた兄若乃花に徹底的にしごかれる貴ノ花の姿を描いた表題作「貴ノ花散る」を始め、体力の衰えを抱えながら年寄株が手に入らず引退出来ずにいる横綱北の湖を描いた「北の湖凍る」。師匠二子山の長女と結婚し名実ともに部屋の後継者と目された横綱二代目若乃花が、結婚ののち家に寄り付かなくなり苦悶の末に離婚、引退への道を辿る「若乃花墜つ」。その後の二子山部屋の後継の一番手と思われた大関若島津が、二子山の二人の娘のどちらをも選ばず、歌手の高田みづえとの結婚を選ぶ「若島津翔ぶ」。その他、「輪島沈む」「朝潮引く」などタイトルを読んだだけでも面白さが伝わってくるものばかりである。
本を読んで久し振りに相撲が見たくなった。稀勢の里の横綱昇進できっと角界も沸き返っていることだろう。両国に行ってみよう。力士の姿をテレビでしか観たことのない孫のカズ君を連れて行こう。
「よし、今度の日曜日は相撲を見に行こう。朝稽古は面白いぞ!」
                                 (平成29年作)

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