2014年10月の記事 - ひこばえ
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ひこばえ


2014年10月の記事

色鳥

色鳥と紛ふ男声合唱団



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何と楽しそうな合唱団であろう。「横浜並木男声合唱団」―――会社の近くの並木団地の男性たちが集まって結成された合唱団である。今年、創立20周年を迎え9回目となる定期演奏会が開かれるというので、日曜日に「みなとみらい大ホール」へと出掛けてきた。メンバーの一人でもある知人の社長に声を掛けてもらったのだが、会場に着くなり驚かされた。所詮素人のやることと高をくくっていたのだが、会場には2,000人の観客が詰め掛けていたのである。
メンバー45人の平均年齢は68才。いつも日曜日の夕方に集まって練習するのだという。「飲みに集まるようなもんだよ」と、社長は言っていたが飲んでばかりいて出来る芸当ではない。「男声合唱とピアノのための組曲」というのから始まったが、本格的なものである。素人の域を超えて、本当に聴かせる歌声になっていた。最高齢がいくつかは聞かなかったが、相当なお年の方も見えた。歌は徐々に身体の動きを加えていき、「オペラの世界へ」と題する4曲を歌う時には闘牛士や狩人の姿になったり、乾杯する仕草をしてみせたりととても楽しい雰囲気を醸し出していた。
プロによる歌やピアノ演奏を途中に入れた後、フィナーレとなる。観客にはすっかりお馴染みのようで「待ってました」と言わんばかりの盛り上がりである。歌って踊っての舞台。「また逢う日まで」「勝手にしやがれ」「北酒場」と続き、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」まで飛び出してくる。
指揮を担当した女性が指導者のようである。曲と曲の間のわずかな時間に様々な話をしてくれるのだが、それがまた楽しい話しぶりである。メンバーの高齢を自嘲気味に「一曲終わるとほとばしる汗」といい「よろめく足」「纏まらない動き」と紹介する。愛情たっぷりの言い回しである。着替えなどに手間取る姿を「年々遅くなる動作」と言った時は会場大爆笑である。
最後に挨拶があり、知人の社長も設立当初からいる7名を代表してマイクを持っていた。
「こうして長く続けて来られたのも、楽しかったから」
素晴らしいひとときを過ごしている人達であることを羨ましく思ったものである。
                                 (平成26年作)



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団栗

工作に貼る団栗の糊まみれ




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三姉妹の真ん中のみやちゃんの性格は「負けず嫌い」。いつも上のお姉ちゃんに対抗して張り合っているのだから、そのように見られても仕方がない。2才半も離れているのだから負けて当たり前なのだが、それでも何とか勝ちたいと本気で思っているようである。しかし、それは家の中でのこと。家の外では、そうそう強気一点張りという訳にはいかない。
ぶつかっていっても安心して受け止めてくれるお姉ちゃんがいない幼稚園。一人でうまくやっていけるのだろうかと、初めは少し心配もしたが、そこは何とかやっていくもので、友達との関係では譲ることも覚えたようだし、時にはひょうきんなこともするらしい。

敬老参観日。我々が教室に入っていくと、園児らは一斉にはしゃぎ始める。それぞれのおじいちゃん、おばあちゃんを見つけて様々な表情を見せる。みやちゃんもすぐに我々を見つけたようであるが、いつもの勝気さとは打って変わって、目を合わせないようにして恥ずかしがっている。いつもと違う緊張感の中で、家の中ではあまり見せない一面を見せてくれたようである。
終わってからの一コマ。
私「恥ずかしかったの?」
みや「うん」
私「そりゃあ、知らない人がたくさん来るんだから緊張するよなぁ」
みや「おーちゃん(私のこと)は大人だからいいけど、みやはまだ子供だから」
すぐに巻き返しを図ってくる(笑)。
                                 (平成26年作)



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運動会

運動会わが三世の勝ちつぷり



ナミミ



日曜日に予定されていた運動会が台風の影響で水曜日に変更された。
当然ながら、平日では仕事の予定が入っていて行けるわけがない。会社を抜け出してでもと思ったが、そうも行かない。孫の運動会を見逃すという一大事、おそらく初めての事態である。
幼稚園最後の運動会なので、さぞや、みやちゃんは残念がっているだろうと思いきや、娘からの連絡では本人はそれほどのことでもないらしく、私が思っているほどにはみやちゃんにとって大きな存在ではないらしい(トホホ)。
娘からは「後日運動会のビデオ鑑賞会を開くので楽しみに」と慰められ、「それよりも敬老参観の方をよろしく」と言って来ている。敬老という呼び方には少々抵抗を感じつつも、大勢の観客の中の一人である運動会よりも、祖父祖母限定の一人として行ったほうがみやちゃんも喜ぶかもしれないと思い直し「了解」と返事をする。
運動会では組み体操でピラミッドの上に立ったり、リレーで一番になったりと大活躍だったらしい。涙なしでは見られない感動を、ビデオはしっかり捉えていてくれた。

下の娘にブログ用の写真をお願いし、たくさんの中からこの一枚を選ばせてもらった。万国旗の向こうは、まさに日本晴れ。運動会日和の一日だったようである。
                                 (平成26年作)



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秋草

秋草に埋もれ赤毛のアンの家



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歌志内の隣町、芦別にある「カナディアン・ワールド」。
平成2年7月、バブル全盛期に巨額な工費を投じてオープンした巨大テーマパークである。まだ子供達が小さかった頃に一度だけ訪ねたことがあった。山奥とも言える場所に「赤毛のアン」の世界と19世紀のカナダの町並みを忠実に再現し、鳴り物入りでスタートしたのだったが、当初から入場者数が低迷し、数年で閉鎖へと追い込まれてしまった。巨額の負債を抱えて倒産したというニュースを覚えているだけに、その後どうなったかと思っていたが、今は公園として無料開放されていた。
月曜日ということもあってか、ほとんど人影が見えなかった。建物は閉ざされ、開いているのはトイレだけ。レストランや売店などもなく、ジュースの自販機があるばかり。雑草の生えた線路には、もちろん電車は走っていない。冬は雪に覆われるのだろうし、維持するだけでも相当な費用が発生するだろうなどと余計なことを考えながら一回りしてきたのであった。

北海道から帰った最初の日曜日、妻の本棚に何冊も並ぶ「赤毛のアン」シリーズの一冊を手に取ってみた。長ったらしい外人の名前が鬱陶しいと思ったのも束の間、2、3ページ目ですぐにその面白さに入り込んでいった。瞬く間に一冊読み終えて、すっかりアン・シャーリーのファンになってしまっていた。
何気なく訪れた「カナディアン・ワールド公園」であったが、「赤毛のアン」の1ファンとしては、何とかその再興を願わずにはいられない。アン・シャーリーなら、こう言ったに違いない。
「私がどのくらい悲しんでいるか、とても言い表せません。いいえ、たとえ、字引を一冊全部使っても言い尽くすことはできないでしょう。日本中の、いいえ、世界中の皆様に私達の住む美しいプリンス・エドワード島を知ってもらえる折角のチャンスだというのに、こんなことになってしまったのですから。でも、これをただ嘆き悲しんでばかりいるというのも、いかにも残念なことですわ。どうにかして、この公園がその姿をとどめ、また元の活気を取り戻す日の来ることを願わずにはいられません」
                                 (平成26年作)



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秋思

秋思とも旅の果てなる愁ひとも



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(9枚目)中華料理にてのさよならパーティ。一人ずつ、感想を求められ……
今回の旅行で当初立てた三つの目標を今、全て果たしつつあります。
1、食べた料理を写真に収めること
2、母に毎日、絵葉書を送ること
3、自分の好きな町を一つ見つけること
私の旅は家に戻り、妻にこう宣言することで終わりになります。
「必ずお前をパリに連れて行くよ」
 倫敦の夜長をパブに憩ひけり

(10枚目)最後の葉書……
旅には終わりがあり、出会いには別れがある。空港での解散式。誰もが言葉少なく、それぞれの思いを胸に……
北へ行く者、南へ向かう者。成田エキスプレスの車窓から日本の夕焼けが見えます。ベルギーからフランスの国境あたりでバスから眺めた、あの夕日が思い出され、終えたばかりの旅が遠い遠い昔の出来事のように思えてなりませんでした。
 秋思とも旅の果てなる愁ひとも
                                 (平成8年作)



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かりがね

かりがねを仰げば重き旅鞄



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(6枚目)パリは「ペトルス」という一流の店でフランス料理。食前酒はキールロワイヤル。前菜のあと、メインコースはフルアドアメール(フランス語で苦い寒さ?)海の幸のコースとあってブルターニュ産のカキが山盛りに並ぶ。そのあとに、マグロの焼き物が出てきて、デザートは洋梨。飲み物はワイン、シャンペン、ビール。
(この日のハガキだけ俳句がない。相当に酔ったようである)

(7枚目)壮麗なパリの建造物。ベルサイユ宮殿、ルーブル美術館、オルセー美術館、凱旋門、エッフェル塔とこの国の歴代の王の力に感動しながらの観光です。最後にセーヌ河を遊覧。ミラボー橋の下に差し掛かった時には思わず口ずさんでしまったヴェルレーヌの詩……
 絵葉書を求めてパリの秋惜しむ

(8枚目)昨夜いよいよ最終の地ロンドンに到着。パリ発ユーロスターにて3時間の列車の旅。夕食も飲み物もふんだんに用意され、その豪華さはまさに女王の国の出迎え。一夜明け、今日は終日、企業視察。一行に少し疲れも見えて、その列、歩行の緩慢なること。
 かりがねを仰げば重き旅鞄
                                 (平成8年作)



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朝寒

朝寒や髭剃るパリの木賃宿



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(3枚目)ライン河下り。斜面には今が収穫期というブドウ畑が続き、昔の貴族の栄華を想わせる古い洋城が次から次へと見えてきます。河畔の家々の佇まいも昔のまま。なじかは知らねど心わびて……という唱歌のローレライを過ぎた所の船着き場まで、ゆっくり、ゆっくりと流れのままの遊覧船で約2時間。まさにドイツ観光の秀眉でした。
 黄落の小径ラインに沿ふてあり

(4枚目)ドイツ、ケルンでのオルガテック(国際家具見本市)見学がこの旅行の大目的。とは云っても見学は11日間のうちのたった1日だけ。今日はこの絵葉書のケルン大聖堂を見て市内観光を済ませ、今、大型バスにてベルギーを横断してフランスに向かっています。昨夜はケルンの有名なビアホールでみんな揃ってのプロースト(乾杯)!
 大男集ふや地下のビアホール

(5枚目)パリ到着。ルーブル美術館前の古いホテル。ちょうどその夜、ホテルの入り口では映画撮影の真っ只中。正面玄関の回転ドアから入ってくるシーンを撮ろうというのか、ロビーにも外にも螺旋階段の二階にもスタッフの照明やカメラが用意されスターの登場に備えているところ。我々の到着はちょうどそんな中。大きな荷物を肩に下げ、カメラ片手にというお決まりのスタイルで……
 朝寒や髭剃るパリの木賃宿
                                 (平成8年作)



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澄む空

旅立ちてまづシベリアの澄める空



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話を三重県から北海道に戻そう。
実家に帰ると古いアルバムを開くという楽しみがある。
今から18年も前のことになるが、取引先主催のヨーロッパ旅行に参加し、行く先々から母に絵ハガキを送ったことがある。母はその絵ハガキを今も大切に保管してくれていて「あの時はびっくりした」と語り草になっている。1日1枚、計10枚、何の前触れもなく、毎日外国から絵ハガキが届くのである。その時の母の喜ぶ様子が目に浮かぶようである。
今回はそれを懐かしく見て帰ってきた。内容を紹介しよう。ハガキはもちろん現地で買ったものを使用し、短い便りに俳句が一句ずつ添えられている。

(1枚目)日本を飛び立って4時間、隣の連れも寝息すこやかなれば、眼下にシベリアの雲海を見下ろしつつ、まずは1枚目の葉書。北海道が広いと云っても、このロシアの大地の何百分の一。雲の切れ間に見える山々は深く雪に覆われ、灯りなるものはまるで見えず、細く連なる川筋も凍っているかのように白く、人の住む気配など微塵もなし。フランクフルト到着まで12時間。時計の針を7時間戻して、果たして今が夜なのやら朝なのやら……真っ赤な夕日に染まった地平線のその手前にJALの翼が見えています。
 旅立ちてまづシベリアの澄める空

(2枚目)フランクフルトの朝。7時のモーニングコール。まだあたりは真っ暗なまま。14階の部屋から朝霧に包まれた森や黄色く色づいたプラタナスの街路樹がボンヤリ見えます。朝食はバイキング。ドイツ人のほか、黒人や中国系のウェイトレスが忙しげに働いています。
 朝霧と思へどいまだ霽れやらず
                                 (平成8年作)



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木の実落つ

忍者をも寄せぬ石垣木の実落つ



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芭蕉生家を折り返したのが、ちょうど6時。ホテルの朝食時間6時半には戻りたいと思い、伊賀上野城へと続く坂道を上る足取りはまさに忍者の如し。途中、立て看板があり「日本一・二の高さで有名な高石垣」と書かれていた。妙に歯切れの悪い言い回しである。日本一ではなさそうだが、日本二とは書きたくないという思いが伝わってくる。調べるのはあとでもいいから、まずはその高石垣とやらを見てみようと歩を進める。
すぐに石垣の突端に着いた。柵がないので、石の向こうはお堀の上である。身の毛もよだつとはこのことである。高所恐怖症の私にとっては、そうと判った瞬間、一歩も二歩も後退するばかり。傘を差しつつ、カメラを構え、天端石とお堀を入れた一枚を撮ろうというのだから大変である。ようやく、それなりの一枚を撮り終え、城へと向かおうとしたところで時間切れである。私のフリータイムはそこで終了となった。
ホテルの朝食会場で他の3人と落ち合ったが、私がすでにひと仕事を終えてきたことを知る人は誰もいない(笑)。

調べてみると、城の石垣の高さ比べでは大阪城が日本一で、伊賀上野城は二位のようである。日本一でありたいと思う気持ちこそが郷土愛であり、「日本一・二」と書かずにはいられなかった心を応援したいと思う。
                                 (平成26年作)


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