2014年01月の記事 - ひこばえ
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ひこばえ


2014年01月の記事

寒の雨

弟子たりし日々に悔いあり寒の雨



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(承前)先生の素晴らしさを挙げると、1つ目はもちろん俳句についての造詣の深さである。確たる俳句観を持ち指導されていた。句の良し悪しを指摘して迷うところがなかった。作句はもちろん、選句眼にも優れ、批評にも説得力があった。推敲はまさに名人芸であった。
2つ目はその裏付けとなる豊富な知識である。吟行などでは立て板に水のごとく俳句が口をついて出て、ここではこう詠むんだと次から次へと例句を並べたものである。俳句に留まらず、漢字、植物、星座、歴史、神社仏閣、ギリシャ神話の果てまで、ありとあらゆる分野が得意分野だったような気がする。いつも何かに興味を持ち、書き留めていた姿が懐かしい。
3つ目は誰にでも好かれる明るい性格と前向きな生き方である。いつも冗談を言いながら、周囲を和ませていた。つねに明るく、くよくよせず、積極的な考え方をしていたと思う。まさに敵なしの好々爺であった。

先生には特に目を掛けていただいていたという自負がある。期待されていたのが分かるだけに、成長してこなかったことをとても申し訳なく思っている。「男は仕事が一番だ。俳句はその次でいい。会社をやっているというのは大変なことだ」と言って、上達しないことを却って庇ってくれたりしたものである。弟子としては誠に情けない限りである。

人は生きている間にたくさんの人と出会う。しかし、本当にかけがえのない人というのは、その中のほんの一握りのようにも思う。その人がとても大切な人であったことを、失って初めて気付かされるのである。
                                 (平成24年作)



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待春

師を慕ひ来て待春の三溪園



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平成24年2月1日(水)朝、道川虹洋先生がご自宅で亡くなられた。いつも起きる時間を過ぎても起きてこないので様子を見に行ったところ、寝ている姿で亡くなられていたという。享年87歳。突然のお別れであった。

平成9年1月、先生が指導する「浜風句会」に入会した時からなので、ちょうど15年間師事してきたことになる。
その間、私の俳句生活が一生懸命だったかというと決してそうでなかったように思うのだが、それにも拘わらず辞めずに続けてこられたのは、やはり先生がいてくれたからだと思う。
毎月の句会、季節ごとの吟行、年一度の一泊旅行と、先生と過ごしてきた時間は思いのほか多い。とても多くのことを教えていただき、楽しい時間をご一緒させていただいた。長い間、いつも変わることなくお会いしてきたので、急に会えなくなった喪失感はとても大きく、深い悲しみを今も味わされている。

亡くなる前日、先生はお一人で三溪園を訪ねている。春を探しに出掛けたのかも知れない。
「先生が最後に見た場所がここだったんだなぁ」と思いながら、今年も一人、園内を巡ってきた。(つづく)
                                 (平成24年作)



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寒声

寒声に似て産声の高かりき



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昨年1月23日(水)の朝のこと。出産間近ということで我が家に泊まっていた娘が、いよいよ産気づいて病院に連れて行ってくれと言う。6時15分に車を出し病院へ。陣痛室には本人のほか1名しか入れないとのことで、妻が付き添って入る。
入れ違うように娘婿が到着。妻が出てきて交替するまでの間、話をする。
彼の言うには1月23日生まれの有名人に西郷隆盛がいるという。
「何ィ!本当か!それは凄い」
正月に大西郷を訪ねて鹿児島を旅してきたばかりである。司馬遼太郎著「翔ぶが如く」を読み、DVD全巻を観、鹿児島まで行って来た私にとって、西郷と同じ日に生まれるということは凄いことであり、驚きであり、喜びなのである。
「お父さん、あとジャイアント馬場も同じ日です」と余計なことも言う。
「随分、デカイのばかり並ぶもんだなぁ」と私。

妻が部屋から出てきて彼と交替し、我々の役目は終わる。
何年か振りの遅刻である。その後、会社に行ってからの彼とのメールのやり取りである。
私「どんな感じ?生まれそうか?」
彼「午前中の助産婦さんの話では、このままでは明日になるかもしれないということでした」
私「だめだ!どうあっても、今日でなければならない!」
それから暫くメールもなくヤキモキしていると、ようやく夜8時になり連絡が入る。
「7時17分に生まれました。体重3,105g、身長50.7㎝、母子共に健康です」
「おめでとう。大西郷が守ってくれるぞ」
1年経ち、誕生日を迎えるが、体重11㎏、身長83㎝と周囲の子供達より抜きん出て大きい。もちろん、男児である。

(注)寒声(かんごえ)とは、寒中に大声で経を読んだり歌を歌うなどして、音声の訓練をすることである。
薩摩示現流の稽古のときに発する「チェスト!」を思い浮かべた。
                                 (平成25年作)



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正月

ほんのこてよか正月の桜島



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1年前の正月は鹿児島で迎えた。
暮れに鹿児島空港に降り立ち、霧島神宮をお参りし、霧島温泉で一泊。大河ドラマ「龍馬伝」のロケ地ともなった渓流沿いの露天風呂などにも入ってみた。翌日は福山町にある黒酢の壺畑に立ち寄るなどして錦江湾沿いを南下し、桜島へ。火口から上がる噴煙を間近に見ながら、溶岩の間に続く遊歩道などを歩いてみた。
フェリーで鹿児島港へ渡り、西郷隆盛の誕生地や資料館を見学し桜島を正面に見るホテルに部屋を取り、そこで正月を迎えた。

日本にとって幕末・明治維新ほど大きな変革期はない。その原動力となったのが薩摩藩である。藩主島津斉彬公が諸外国からの圧力に耐えうる日本を作るべく富国強兵を唱え、近代化事業に取り組み、身分を超えた人材登用を推し進め、西郷、大久保利通らを輩出していく。
これら偉人達を育てた薩摩という土地柄を一目見ておきたかったのである。煙を上げる桜島を見ながら、ここから西郷達が日本の歴史を動かしていったのだと思う時、いわく言い難い感動を覚えたものである。

(注)写真は旅の最後に立ち寄った仙厳園で個展を開いていた画家きはらごう氏による「桜島」である。
                                 (平成25年作)



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恵方詣

恵方とて出世稲荷に詣でけり



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成田山新勝寺は939(天慶2)年に起こった平将門の乱の後、東国(関東一円)の鎮護のためお不動様をご本尊として創建された真言宗のお寺である。
新年の初詣に始まり、一年の無事を感謝する納め詣まで、四季を通じてたくさんの参詣客で賑わっている。
会社の初詣は、毎年その新勝寺でと決まっている。創業者の代から半世紀近くも続く我が社の恒例行事である。
今年も、今日これから出掛けてくる。
以前はバスをチャーターして大勢で出掛けたこともあったが、最近は4~5名の少人数での参拝にしている。

朝7時に大船駅で集合し、JRで成田駅まで一直線。車中の2時間がとても楽しい。
成田に着くと参道を歩き、総門をくぐる。手水舎で身を浄め、急な石段を登る。
一日も絶えたことのないという護摩の香煙を浴びながら本堂へ。
いつも大勢の人でごった返しているが、しっかり賽銭を上げ「商売繁盛、家内安全、無病息災」をお願いする。
その後、長い階段を歩いてお稲荷さんへと向かう。古くから出世稲荷と呼ばれていて縁起が良いので、行くたびに必ず寄ることにしている。油揚げと蝋燭を買い求め、それぞれの開運を祈る。
お参りが終わると、噴水前公園にある馴染みの茶店「のり武」で一杯やることも決まりとなっている。
女将さんに一年の気合いを入れてもらいながら、食べきれないほどの料理に舌鼓を打つ。
「お酒は少々」を旨としているが、時としてやり過ごすこともある。
お願いしている初護摩札をどこかに置き忘れたりしない程度に、心して飲んでこようかと思っている。
                                (平成20年作)



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初荷

丹念に初荷の家具を括りけり



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一年の仕事が今日から始まる。
朝7時50分、全体朝礼を行い、年頭の挨拶を述べる。
従業員一人一人が今年の目標を明確に持って仕事に臨むことを願う。

終わるとすぐさま、それぞれの仕事に取りかかる。
機械が動き始め、コンベアが回り、トラックに製品が詰め込まれる。
当社の製品はスチール製の家具であり、主に店舗向けのレジ台やカウンターなどを作っている。
全国、北海道から沖縄まで、さまざまな店舗でご利用いただいている。

昔とは違い、工場には大型の機械が設備され、24時間稼働の態勢が作られ、自動化も図られている。
しかし、1台ずつが手作りであるという基本は昔と変わらない。
図面との照合、塗装状態の検査、組立完了後の調整などを経て最終検査を受ける。
常にお客様の視点に立ち、小さな傷も見逃さない。品質に妥協があってはならないのである。
今年も2万台近くの家具を全国にお届けすることだろう。しっかりと積み込んで、今年の初荷を送り出すことにしよう。
                                 (平成26年作)



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初景色

浦々に鳶の高舞ふ初景色



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明けましておめでとうございます。
よき新春を迎えられたこととお喜び申し上げます。
昨年5月から始めたこのブログも今回で49回目となりました。
皆様に励まされながらここまで来られましたことを心から感謝すると共に、
これからも続けていければと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

年の初めに「鳶」の句を掲げました。
横須賀方面などに出掛けると、海でも山でもよく見かける鳶ですが、
上昇気流に乗って上空へ舞い上がっていく様子は、見ていてとても気持ちのいいものです。
縁起の良い正月に相応しいように思えて詠んでみました。

日頃は見慣れた景色も、年が改まるととても新鮮に見えるものです。
元日の淑気に満ちた風景のことを「初景色」と言います。
海の上を上昇気流に乗って、ぐんぐんと昇っていく鳶にあやかり、
今年も良い年にしていきたいと願っています。

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                                 (平成26年作)



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