人事 - ひこばえ
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ひこばえ


人事 カテゴリーの記事

夏シャツ

夏シヤツよこの絵お前が描いたのか



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4時間かけてハノイに戻った。途中、桃の写真を撮ったり、カーチェイサーを眺めたりしていたがそれ以外はほとんど爆睡である。バスから降り、朦朧としつつも水上人形劇が始まるまでの時間をフリータイムにしてもらい油絵の店を訪ねることにした。前日と同様、男性は筆を取ってキャンバスに向かっていた。目的の絵を見直してみて改めていい絵に思えた。中に入って男性に声を掛けた。
「ハウマッチ?」
「#☓※」
「???」
すぐに男性は電卓を取りに行った。目の前で電卓を叩いた。
「13」
「???」
13とは何だろう?
「ドン?ドル?」
「ドル」
13ドル。1,300円ということだろうか。いやに安いなぁと思った。私としては5,000円から10,000円位のことを想定していたので少し拍子抜けするような気がした。
「フレーム、フレーム」
男性はさらに電卓を叩く。
「17」
ん?額のほうが高いのか。それとも額込みか?
「トータル、トータル」
男性は頷いている。17を指さしている。額込みのようだ。額が4ドル、400円ということになる。どんな額だろう。男性が奥から額を持ってきた。絵に合わせてみる。まずまずだ。
「オッケー、オッケー」
男性が笑顔になった。ようやく売買が成立したことを理解したらしい。早速額に入れようとした時に問題が発生した。額に絵が入らないのだ。いろいろやっていたがどうしても入らないらしい。考えた末、男性は絵をばらし始めた。布を留めている裏のホッチキスを外し、枠の木をバラバラにし始めた。終いにはノコギリで木を切り始めた(写真)。必死になっているのが分かる。この人にとって1,700円とはどれ位の価値があるのだろう。15分ほど掛けて完成させ丁寧に梱包をしてくれた時、私は金額以上の有り難い物を手にしたような気がした。
「サンキュー、サンキュー」
英語となると同じ言葉を2回繰り返すという癖を私自身はまだ気付いていない(笑)。
                                 (平成29年作)

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遊船

遊船の犇めく世界遺産かな



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いよいよ世界遺産「ハロン湾クルーズ」である。船着き場はごった返していた。改札を出ると何やら生演奏が行われ、お土産屋が列をなし、その前に船が何艘も並んでいる。どの船もベトナム国旗を立てている。ハイさん曰く600艘だという。本当かどうかは分からない。我々の乗り込む船まで相当の距離を歩いた。番号が振られているのである。何時の出発かを聞くこともしない。全てハイさん任せである。30分位は待たされただろうか。ようやく乗り込む船が到着した。一斉に乗り込んだ。他のお客も一緒である。すべて日本人のようだ。内装は豪華なものであった。テーブルも椅子もピカピカに磨き込まれている。
「随分、いい船だねぇ。全部こんな感じ?」と私。
「いえいえ、いい船もあればそうでない船もあります(笑)」とハイさん。
ランクがあるようである。飲み物とトイレの案内があった。3時間のクルーズと聞いている。暑い。まずはビールをもらうことにした。
「もう、飲みますか?」とハイさん。
「昼食まで待てないよ」と私。
船はすぐに出航した。みな2階のデッキに上り景観を眺めている。籐椅子などが置かれていて横になる人もいる。ビールを片手に最高である。しばらくして船がたくさんいる場所に到着した。降りるという。
「えっ、まだ10分しか経ってないジャン。ビールも飲み終えていないよ」
一気に飲み干して上陸した。鍾乳洞の見学である。凄い人数である。「こんなに船着き場に人がいたかよ」と言いたくなるほどの人である。その人が全て狭い入り口から中へと入っていく。暑い。しかも蒸す。足場が滑る。中国人ガイドだろうか、大きな声でがなり立てている。列が渋滞して途中で立ち止まる。汗が流れ落ちる。凄い鍾乳洞なのかも知れないが、この人の多さでは見学どころではない。30分位掛かってようやく外へ出た。深呼吸である。そこで写した一枚である。船が犇めいている。
船が出船するときも大わらわだった。出て行こうとする船と入ろうとする船がぶつかるのである。よく見るとどの船も傷だらけであり、窓ガラスが割れている船もある。世界遺産ともなると、少々の荒っぽさは覚悟しなければならないようである。
                                 (平成29年作)

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あっぱっぱ

ペディキュアは女子の嗜みあつぱつぱ



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翌朝は早起きしてハロンの町を歩いてみた。6時ともなると町は動き出している。昨日のマッサージ屋の前を通るととても派手な看板を立てていて周囲と少しそぐわない建物であることが分かる。少し行ったところに店屋があり、オートバイを停めて何かを買っている人がいる。何かなぁと思って見てみるとパンを売っているようである。「買ってみるか」と思った。手帳を取り出し、それが「バインミー」であることを確認する。「第8位、サンドイッチ、朝食の定番メニュー、いろいろな具材を挟む」と書かれている。お客が2人いて私が外から勝手に写真を撮るものだから、慌てて出て行ったようにも見えた。誰もいなくなって店のおばちゃんが「どうするの?」と言いたげな顔で見ている。パンを指さし、人差し指を立てる。「一つください」の意味である。おばちゃん、少し笑顔になる。パンを一つ取り出しオーブンに入れ、フライパンに油を引き始めた。「ハングル?」と聞いてくる。「ノーノー、ジャパン」と答える。「???」分からないらしい。「トウキョウ」「オー」ようやく理解してくれた。理解すなわち笑顔である。器に卵を割り、掻き混ぜ始める。卵を少しフライパンに垂らし、火加減を見ているところは日本と同じである。流し込む。火を調節している。私の方を見て側にある椅子を指さし座れという。例のプラスチック製のやつである。初座りである。卵をひっくり返し折りたたみ、手際よくパンに挟み込んだ。その上に野菜を載せている。豚肉のようなものも挟んだ。掛けるタレを聞いてきた。ケチャップのようなものと、ドレッシングのようなものがある。ケチャップの方を指さした時、おばちゃんは笑った。なぜ笑うのだろう、意味が分からない。パンは一応出来上がったようだ。その時、おばちゃんが立ち上がり私を奥の方に連れて行こうとする。「???」なんだろう。奥に牛乳などが入ったガラス製のケースがあるのだ。そこに連れて行こうとしている。立ち上がって近づくと、ケースを開けて黄色い瓶を取り出した。これも一緒に買えと言っているのだろう。「オッケー」それはすぐに通じた。おばちゃん、ニコニコである。入り口に戻り、黄色い瓶とパンを持って横のテーブルに目線をやっている。ここで食べていくかと聞いているのだろう。「ノーノー」と右手を振る。すぐに理解したらしい。すぐにビニール袋を用意し、詰め込んでくれた。支払いである。ポケットから財布を出しドンを取り出した。いくらだか分からないのでおばちゃんにそのまま差し出すと、その中の一枚を取り出して自分のポケットからお札を出してお釣りをくれた。「カムオン」私がお礼を言うと「カムオン」とおばちゃん。店を出て振り向くと、右手を挙げて挨拶をしてくれた。ホテルに帰って確認すると黄色い飲み物はコーンスープのようなものであった。とても甘い飲み物だった。
                                 (平成29年作)

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素足

素足出す美女の素足のかたはらに



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ハロン湾のホテルに到着する手前のバスの中でフットマッサージに行くかどうかとハンさんに聞かれた。行くと答えたが、妻は行かないという。
「えっ、どうしたの?」
「いいの、あなただけで行ってきて」
珍しいこともあるものだと思ったが行きたくないというのだから仕方ない。Tさんは行くという。もちろん先生は行くわけがない。チェックインのあとすぐにロビーで待ち合わせ、バスでマッサージ屋まで連れて行ってもらった。1時間20ドル。女性がいいか男性がいいかと聞くので、もちろん女性をお願いした。部屋は3階にあり階段を上がった。ベッドが4台並んでいて案内が出て行ったのでTさんと二人で取り残されたようになった。このTさん、年の頃40代前半のようだが、上場会社の役員をしている。3年程前に前職に在職中にヘッドハンティングされ入社し、すぐに役員に抜擢されたという。バリバリのキャリアウーマンなのである。旦那さんはアメリカに単身赴任中で子供はいない。社長直結のポジションにいるらしく休みをもらっての旅行だという。仕事とプライベートをきちんと分けているらしくあまり多くを語らないが、ポツリポツリと話す言葉に凄い人であることが伝わってくる。「プレイングマネージャーのプレイングの方にウェイトを置きすぎていて、もう少しやりようを工夫しようと考えているところです」などと言っている。
しばらくして女性が2名入ってきた。大きなバケツを持ってきた。椅子になっている箱の蓋を開け、その中に所持品を入れろという。言葉は通じないが身振りで全て分かるのである。バケツの中には真っ黒いお湯が入っていて足を浸けてそこに座れという。私の後ろに回って肩を揉み始めた。
Tさんはというと、まずはジーパンを穿いているのが駄目だという。フットマッサージなので当然である。店に用意されたショートパンツがあるので、ここで着替えろと言われている。
「えっ、ここで?無理無理、この人とは他人だよ」と日本語で言っている。相当に慌てている。相手に全く通じていないのが私にも分かる。「他の部屋はないの?廊下でもいいよ」と更に言っている。担当の女性には通じない。バスタオルを持ち出して隠しておくのでこの場所で脱げと言っている。「もう、いい加減だなぁ」観念したらしい。赤い布を持つ闘牛士のような形にタオルを広げさせジーパンを脱いだようである。「大丈夫、大丈夫、見ていないから(笑)」とフォローするのが精一杯である。
肩、背中、腰と揉んでいき、仰向けに寝て足を擦り始める。気持ちいい。足裏など最高である。Tさんとほぼ同じことをしているらしく、「痛い、痛い、もう少し優しくやってよォ」と言っている部位が背中の辺りであり、足裏であることが分かる。美人の隣で痛がっている声を聞きながらマッサージを受けるのは妙に艶めかしいものである。90分コースでも良かったかなぁと思ったものである。
                                 (平成29年作)

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ビールの酔

噛み合はぬ思ひ飲み干すビールの酔



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さて、その日の夕食である。昼を食べたばかりなのにと思うほどに時間が早い。今回のツアーのテーマが「ベトナム料理と世界遺産を楽しむ旅」である。今度は4人掛けのテーブルに4人である。ぐっと距離が縮まった。ベトナムフレンチというので最初に出てきたのが写真のサラダである。私は変わらずのハノイビールで妻も女性も昼と同じものを注文していた。違うのは男性で椰子の実ジュースからハノイビールに変わった。
「あれっ、飲めるんだ!」
昼間の轍は踏むまいと全員に飲み物が届いた瞬間に乾杯をさせてもらった。それぞれの名前はさすがにバスの中で確認している。男性がHさんで、女性がTさんである。しばらくしてからHさんに質問をしてみた。
「失礼ですがご職業は何をされているのですか?」
「日本語教師です」
「えっ!先生ですか。日本語を教えるということは生徒さんは外人ですか?」
「そうです」
相変わらず先生の物言いは短い。(この時点から全員、Hさんを先生と呼び始めている)
「どこの国の人を教えているのですか?」
「いろいろです」
「たとえば?」
「中国、韓国、東南アジア、インド」
「凄いですね。先生は英語で教えるのですか?」
「日本語しか使いません」
「へぇ、教えづらいこともあるでしょうね」
「ほとんど問題はありません」
一挙に距離が縮まった気がしたが、それが勘違いであったことにすぐに気付かされた。それからの会話に全く入ってこないのである。何かを勧めた時のことである。「どうぞ、お構いなく」とピシャリとやられた。食事が喉に詰まるような気がした。フムフム、なるほど、そういうことか。相手がそういうことであればこちらもそうしなければならない。何となく分かり始めて来た。先生はその時から私の眼中から消えた。そういう人もいるのである。
その食事の場で先生よりもっと驚かされることになったのがTさんの方である。とても美人でとても聡明な話し方をする人ではあるが、それ以上に凄かったのはその経歴である。
「ええ~!スゴ~イ!凄すぎるジャン!」
                                 (平成29年作)

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