人事 - ひこばえ
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日向 亮司

Author:日向 亮司
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ひこばえ


人事 カテゴリーの記事

野焼き

風受けて土手に押っ立つ野焼き前



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渡良瀬遊水地の広さは33平方キロメートルである。途轍もなく広い。問題は葦焼きをどこで見るかである。公式サイトでは3ヶ所の駐車場が紹介されていた。いずれも遊水地の西側に200台、300台、500台と用意されている。メイン会場はそちら側と考えるべきである。しかし念のために「渡良瀬遊水地、葦焼き、ベストショット」と検索してみると一番に「生井の桜堤」が出てきた。ドローンで撮影された動画のサイトまであった。土手の上に並んで広大な葦焼きを眺めている人々を映し出していた。
<ヨシ、桜堤にしよう!>
迷わずに決めた場所である。一通り歩いてみて三脚を立てて白サギを写していた70才位の男性に声を掛けてみた。
私「人出は多い方なんですか?」
男性「全然。いつもの半分もいないよ。みんな、コロナで自粛したんだよ」
私「去年だかの映像を見ましたが、凄い人ですよね」
男性「そうだよ。いつもは三脚が立てられないほどになるんだけど今年はどこにでも立てられるよ。どこから?」
私「横浜です。朝4時半に出てきました」
男性「去年は岡山から来たという人もいたよ。遠いところをご苦労さんです(笑)」
私「地元の方ですか?」
男性「そう。毎年、同じ写真を飽きもせずに撮りに来るんだ(笑)」
私「撮ってどうするんですか?」
男性「俺は読売写真クラブに入っているから、そこに出したり、葦焼きの写真展に出したり、いろいろだよ」
私「たまには入賞したりするんですか?」
男性「ないなぁ。ここんとこ、全然ない。そろそろ止めようかと思っている(笑)」
それから話はコウノトリに移った。5年ほど前に初めて飛来して以来、ほぼ毎年飛来するという。遊水地の中に人工の巣の塔も立てたという。いやにコウノトリへの想いが熱い。ヒカル、レイ、カズなどと名前で呼んでいる。今年も来ているという。昨年、岡山に旅行した時に見た<あれが確かコウノトリだったなぁ>などと思ったが<何十羽もいた>などとは言い出せない雰囲気である。
8時半の少し前に関係者と思われる男性十数名が土手の中央付近に集まった。同じジャンバーを着ている。「OYAMA CITY」と書かれ、背中に鳥の飛翔する絵があしらわれていた(写真)。NHKのカメラマンを囲んで冗談を言っている。
私「これから点火ですか?」
男「そう」
私「このジャンパーの背中の鳥はコウノトリですか?」
男「そうだよ」
ここの人はなぜこうまでもコウノトリが好きなのだろうか。
                                 (令和2年作)




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四月馬鹿

妻に説く三従の道四月馬鹿



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新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらない。東京都などの感染者数が増える中、これからどのように影響が及んでくるのかと慎重に見守っているところである。幸いにして今のところ会社の従業員や仕事の内容に直接的な影響は出ていないが、これからの展開次第では様々な事態も想定される。心して対処していこうと考えているところである。
そんな中、一発目の影響が出た。スマホに妻からメールが転送されてきた。
『クラブツーリズムをご利用いただき、誠にありがとうございます。
この度、お申込みをいただきました下記のご旅行でございますが、現時点でお申込みの方が最少催行人員に達しないため中止せざるを得なくなりました。
誠に申し訳ございません。謹んでお詫び申し上げます。
ご予約内容
「富士山に登り隊 第1回 高尾山から景信山 日帰り」』
<ムムムム、あんなに来ていた事前説明会だったのに……>(令和2年3月15日、ひこばえ「獺の祭」)
不要不急といえばその通りだが、山登りに「密閉、密集、密接」が該当するのだろうか。
<あっ、バスか!>
横浜から高尾山までバスで向かうことになっていた。確かにバスの中では3つの「密」が危ぶまれる。
<そうだなぁ。正しい判断だなぁ>
キャンセルした人達の心に思い至った。
私「どうする?金時山でも登ってくるか」
妻「今はそういう時ではないと思う」
私「閉じ籠ってばかりいるのもなぁ……コロナはおそらく長期戦だよ」
妻「旅行会社が中止するくらいだから山登りも問題なんだよ」
私「そうかなぁ……」
その数日後、手紙が届いた。クラブツーリズムからである。<返金手続きか何かかな?>と思って開けてみると別の日に行われる同じコースへの誘いである。
私「おお、やっぱり山自体には問題ないんだよ。バスに問題があったんだよ。よし行こう。申し込もう。一緒に行こうよ、お願い……」
妻「高尾山の集合場所まではどうやって行くの?」
私「車だよ。電車は危ない」
妻「そうね。それなら大丈夫かもね」
日時は変更になったが予定通り富士山を目指すことになった。妻も一緒である。富士山までの道のりは遠い。
「お願い……」が功を奏したようである(笑)。
                                 (令和2年作)




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野焼き

連れ立ちて野木の野焼きを見にゆかん



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テレビで渡良瀬遊水地での葦刈りのニュースが流れていた。
<渡良瀬ってどこだろう?>
随分と広い葦原のようである。トラクターか何かで刈り取りをしている。調べてみると栃木、群馬、埼玉、茨城4県に跨がる33平方キロメートルの我が国最大の遊水地とある。葦刈り作業は12月から3月中旬まで行われ、最後は葦焼きで終わるようである。歳時記を見てみると「葦刈り」は「秋の部」に入っており(写真)、春3月には相応しくない。「葦焼き」という季語はないが、「野焼き」「野火」「末黒葦」などは春の季語となっている。
「ヨシ、葦焼きを見に行こう。3月21日の土曜日に行われるらしい。日帰りでは大変なので一泊してこよう」
妻に話し掛けると話はトントン拍子に進んでいく。
「温泉なんかじゃなくてもいいよ。ビジネスホテルに泊まって食事は別のところで美味しいものを食べて来よう」
遊水地の近くのホテルを当たる。古河(こが)が出て来る。
「古河?もしかして古河公方の古河?それはいいなぁ」
急に古河を調べ始める。やはり古河公方の古河である。古河城址、古河公方館、古河公園、桃まつりが出て来る。
「ちょうど、桃まつりの最中みたいだなぁ。葦焼きを見て、桃の花を見て、古河公方ゆかりの地を歩く。いいなぁ」
そこでどういう訳か水原秋桜子の第一句集「葛飾」を思い出し、調べている内に高浜虚子の「嫌な顔」に辿り着き、「ブリ野郎」となるのである(令和2年3月13日、ひこばえ「東風」)。

更にそうこうしている内に「古河公方」から「「鎌倉公方」に移り、初代鎌倉公方「足利基氏」の旧居址や墓地へと繋がっていく。
私「明日、鎌倉に行ってみるけど一緒に行かない?」
妻「明日?新型コロナウイルスで国を挙げて出歩かないようにしているというのに?」
私「お寺巡りだから誰とも接することないよ」
妻「行かない。時宜を得ていない」
私「じゃ、一人で行ってくる……」
3月1日(日)、朝9時に家を出た。
(注)遊水地は大半が栃木市に属しているが、他に栃木県野木町、茨城県古河市、埼玉県加須市、群馬県板倉町に属するという。「野木の野焼き」と韻を踏んでみた。
                                 (令和2年作)




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疫痢

疫痢悲しや父のこと母のこと



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北海道の新型コロナウイルスの拡散が止まらない。母は大丈夫だろうかと電話をすると「外に出ないようにしてる」と言い「周りの人も気を付けて出歩かないようにしているから大丈夫だ」という。そしてすぐにウイルスの怖さ、菌の「しぶとさ」についての話が始まった。私が2才半の時の出来事である。昨日のことのように語り始めた。
「アキラ(弟)が生まれて40日目のことだ。お前がエキリに罹って大変なことになったんだ。アキラを産んですぐだもの、私も無理は出来ないしょ。お前をおんぶったり出来ないので手を引いて医者に行こうとしたんだけど、隣のフミちゃんが向こうから来て「なにしてるの。亮司の顔が真っ赤じゃないの。歩いてなんか行ってる場合じゃない。すぐに医者を呼んだ方がいい」と言われたんだ。その当時、加茂で有名な医者がいて、みんな「由良医者、由良医者」って言っていたんだけど、本当の名前は知らない。その先生に来てもらおうと迎えに行ったんだけど、先生、釣りに行っていないもんだサ。戻ってきたら来てくれるように頼んでおいたら、釣りから帰ってすぐにタクシーで来てくれたんだ。すぐにお前の便を検査してエキリだと言うんだ。爪楊枝みたいなもので細かく見るもんだったァ。すぐに乗ってきたタクシーに乗せて荘内病院に連れて行ってくれたァ。あの時は父さんがいたもの、父さんが付き添いで付いて行ったんだけど病院でお前の首の辺りに注射をするんだとサ。動脈か静脈かそれが入らないんだとサ。7本も8本も打ったらしい。「変わってやれるもんなら変わってやりたかった」と父さん、何度も言ってたァ。まだ2才だもの、血管も細かったんだべサ。それでも注射を打ってしばらくしたら熱が下がったそうだから、ホントに命拾いしたァ。夏の暑い盛りだったァ。忘れられない。
それから半年して保健所から通知が来て検査をしろって言うんだ。2月頃だったァ。病院から保健所に連絡してあったんだべサ。やったら、やっぱり便から菌が出たんだわ。すぐにこの薬を飲ませなさいって言うから飲ませたんだけど、半年経っても菌て死なないもんだァ。恐ろしいもんだサ。お前はなんも変わりなく元気にしてたっけサ。あの頃、家のすぐ裏に下水があってそこで遊んでたもの。顔に泥が掛かれば手でこすったりして口にも入るべサ」
初めて聞く話だったが母にとっては忘れられない出来事だったようである。遊んだという裏の下水のことを覚えている。それにしても63年前のことをこんなにしっかりと覚えているものだろうか。記憶力の良さはもちろん、再現させる力にも驚かされる。
(注)写真はグーグルマップで検索した私の生家である。外観は変わっているだろうが形は同じような気がする。その裏に下水があった。道の先にはクラゲで有名になった加茂水族館がある。
                                 (令和2年作)





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春ショール

春ショール同じシネマに隣り合ふ



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上大岡のトーホーシネマズには3時に到着した。20分開演なのでちょうどいい時間である。キップの手続きをするのは妻である。スマホで予約したのが妻なのでそうなるのは当たり前だが、過去一度としてやったことのない私としては一人では映画も観られない状態になっている。お金を入れてキップを買う時代から全く進化をしていない。
トイレに行くと言って妻がいなくなった。ポップコーンや飲み物を売っているカウンターの前に立ってボンヤリしていた。しばらく待っていたがなかなか帰って来ない。3時10分になって放送があり、ロビーで待っていた人が一斉に入場を始めた。それでも妻は戻ってこない。<どうしたんだろう?>自分の分のチケットは渡されている。<一人で入れってことだろうか?そんなことは一度もない。どこに行ったんだろう?>
ようやく戻ってきた。
私「どこに行ってたの?」
妻「トイレって言ったでしょ。すごく並んでいて時間が掛かった」
私「どこに行ったのかと思ったよ」
妻「あとどこに行くというのよ。飲み物ぐらい買っておいてくれればいいのに」
私「……」
妻が買った飲み物を持って館内に入った。上から2段目の席である。アイスコーヒーを零さないように階段をゆっくりと上ってNの列に到着した。一番端に女性が座っている。妻が「スイマセン」と言いながら女性の前を通りチケットの席を確認している。Nの12番と13番である。私も妻の後ろに従い女性の前を通った。妻がチケットを見ながら奥に座っている女性に話し掛けている。<どうしたのだろう?>やり取りは聞こえない。妻が振り返った。
妻「貴方の席、Nの12でしょ」
私「ん?そう、12だけど……」
再び座っている女性と話している。その向こうにももう一人女性が座っている。そちらにも声を掛けている。
<どうしたんだろ?>
しばらくして座っていた女性が立ち上がった。コートを抱えトレイを持って何も言わずに私の横を通り抜けて行った。トレイには山盛りのポップコーンと飲み物が載っていた。<NとMを間違えたな>と思った。<紛らわしいからなぁ>しかし見ると女性は前の席に座ることなく階段を降りて行くではないか。上ってくる人の列に逆らって慌てるようにして下りて行く。妻と私は12番と13番の席に座って飲み物を口に含んだ。
私「間違えたの?」
妻「そう」
映画のあと夕食をしながら聞いたところでは日付を間違えたらしい。翌日のチケットを買ってしまったそうである。
妻「スマホで予約すると間違えそうになるのよね。テッキリその日と思ってやっていると違う日だったりして。私も間違えそうになったことがあるんだけど、最後の確認画面に日付が出ていないんだよ。可哀そうに」
私「そうなのかぁ」
妻「飲み物もポップコーンも買って、さぁ、これからっていうところだったのよね。あの後、どうしたんだろう……」
                                 (令和2年作)




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