動物 - ひこばえ
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ひこばえ


動物 カテゴリーの記事

椋鳥

椋鳥騒ぐ駅前に灯のともる頃



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講習会場は東京の東大和市にある中小企業大学校である。
「結構遠いなぁ。電車で行った方がいいだろうか、車の方がいいだろうか?」
社内での会話である。
「駐車場はあるのですか?」
「どうかな、分からない」
「調べてみましょうか」
「頼むよ」
こういうことは得意な人に調べてもらった方が良い。下手に自分で調べると碌なことにならない。結果は大学校には駐車場はなく、近辺の駐車場を使うしかないとのこと。24時間1000円で停められるという。
「いやに安いな。本当に会場の近くなのか?」
「駅前です。大型駐車場ですから大丈夫です。もし満杯だったとしても近くに駐車場はたくさんあります」
ということで車で行くことにした。2泊の旅である。妻は鞄に着替えや歯ブラシなどいろいろと詰め込んでくれた。
会社を3時過ぎに出て渋滞に巻き込まれながらも6時には目的地の駐車場に到着した。その日は大学校の寮に入り、寝るだけなので夕食を摂ってから向かうことにした。駅前を一回り歩いて、戻って駅ビルのレストランに入った。広い店内に客はいない。窓際に席を取ってウェイトレスに生ビールを注文した。
以下は妻とのメールである。
「東大和市は田舎だよ。駅前駐車場24時間800円。安いよ。駅前食堂に人はなし。電信柱に鳥がいっぱい」
「ツグミの群れ?ツグミは臭いし、うるさいし」
「椋鳥(ムクドリ)だよ。昔は田んぼや畑があったけど、人間がそこから追いやってしまったのでこうして駅前で群れている。今、ビールを飲みながら人間の在り方を考えている。オネエサン、ビール、もう一杯!」
「ツグミも椋鳥も臭い」
「今一斉に飛び立った。今夜はどこで過ごすやら。今日も旅寝の旅カラス。車の中で浪曲『国定忠治』を聴いてきた」
「旅が重なるのはどうだろう。推敲の余地あり」
「そうそう、今それを思っていたところ。分かってるジャン!」
「ホジホジ(図柄)」
「才能あり!」
「完全に同意(図柄)」
「今日も仮寝の旅カラスと直してみました」
                                 (平成30年作)




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しなだれて凭れて蛇の抱き心地



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前日泊まる予定だった藪塚温泉へ向かって山道を下り始めた。目指すはスネークセンターである。「キジを食べてヘビを見る。動物尽くしの旅行になりそう!」と言って始まった旅行である。義父の話もあり、蛇そのものが夏の季語なので、どうしても見ておきたかったのである。もちろん目的はヘビを首に巻き付けての写真である。日曜日だけのサービスということは事前に調べておいた。問題は果たして妻が一緒に写ってくれるかどうかである。
「昨日は新田義貞の太田市を回ったので、今日は足利尊氏の足利市に行くのでよろしくね。といっても鑁阿寺という足利氏の菩提寺しかなんだけど」
「そうなの?全然構わないわよ」
「その前にスネークセンターに寄りたいんだけど、いい?」
「昨日の話もあるからね(笑)」
「それにしても、オヤジさん、よくそこでヘビ料理を食べたもんだよなぁ。俺なら食べられないなぁ」
「別に無理して食べる必要もないじゃん」
「ま、首に巻き付けて写真を撮るくらいなら出来ると思うけど(笑)」
「……」
スネークセンターでは到着寸前に手前の店のおばさんに車を止められて「はい、どうぞ、どうぞ、ここに入れてください」と言われたところから始まった。カーナビではもう少し先なのだがと思いながらも、言われた通りに駐車すると「はい、500円。前金でお願いします」とイヤに要領がいい。さらに「お客さん、スネークセンターですか?昼はウチで食べてってくださいよ」と売り込んでくる。センターに入る前に<蛇に睨まれた>感じである。入場券を買って入った途端に今度は「お土産は如何ですか?」と声を掛けられた。入口のすぐ奥が土産コーナーである。「帰りに買うので待っててね」と躱して通り抜けた。<蛇の道はヘビ>とも言う。食堂があった。「ここだ!」と思った。オヤジさん達が蛇料理を食べた場所である。覗いてみた。「いらっしゃいませ!」と女性が出てきた。<ヘビ女>かと思った。「あとから来ますから、ちょっと中を見せてください」と言って入ると、食堂のさらにその奥に仕切られた部屋があった。暖簾が掛かっていて明らかに別空間であることが分かる。柱に大きな字で「蝮料理」と書かれていた。覗くとカウンターの奥から男性がこちらを見ている。まさに<鬼が出るか蛇が出るか>である。「ふれあい体験教室」で蛇の習性について<長々と>話を聞いたあと、いよいよ写真コーナーに移った。
「おお、白蛇だよ!太いなぁ。やばいよ。誰か他の人が写すのを見てからにしようよ」
「いいから、いいから、早く写しちゃおうよ」
妻の方がよほど度胸がいい。言われるままにお兄さんに1000円を渡し、無事カメラに収まった写真がこれである。ここで感想を書いては<蛇足>と笑われる。
スネークセンターのあとは足利氏の菩提寺である鑁阿寺を訪ね、足利学校を見学して戻って来た。楽しい一泊二日の旅となった。
                                 (平成30年作)




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雉子

謹みて国鳥「雉子」をいただけり



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宿の名前は「はせを亭」である。金山城の駐車場でカーナビにセットした。すると38キロメートルと出た。
「何だろ?すごい距離だなぁ」
しかし義貞の隠れ湯「藪塚温泉」なので、すぐに着くに違いないと深くは考えなかった。私のいい加減な所である。
山を下りて走り始めたがまだその時は気付いていない。気付いたのは「藪塚温泉」の表示が出始めた頃である。
「あれっ?このナビ、ちょっとおかしい……」
「どうしたの?」
「だって、もうすぐ目的地なのに、まだ30キロも残っている」
「何を言ってるの。行く場所は藪塚温泉じゃないよ」
「えっ、なんで?藪塚温泉でしょ」
「違うよ」
「えっ、どこ?どこへ行こうとしてるの?」
「ちょっと待ってね、見てみる……梨木温泉って書いてあるけど」
「梨木温泉!それ、どこ?」
「だって、貴方が選んだ場所だよ」
「……」
「どうしたの?」
「ちょっと待って。頭が混乱している……」
どこでどう間違えたのだろう。何を間違えてしまったのだろう。考えるのに少し時間が必要だった。おそらく<義貞の隠れ湯>と検索して藪塚温泉に辿り着いたまでは良かったが、いろいろと温泉宿を探している間に違う温泉に行ってしまったようである。ウッカリもいいところだが、ジタバタしても仕方がない。諦めて受け入れるしかないようである。
「オッケー、了解。どこだか分からないけど、思い出深い旅行になりそうだなぁ(笑)」
「そうだよ、雉子(キジ)も食べられるし、大丈夫、大丈夫(笑)」
「それにしても、梨木温泉なんて聞いたこともないなぁ、群馬県だろうか、茨城県だろうか」
(注)写真はその夜に出されたキジ料理である。しゃぶしゃぶ用として小さく丸まっている。
                                 (平成30年作)




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亀鳴く

帰りたい帰りたくない亀が鳴く



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めがね橋駐車場を出て、宿泊先の軽井沢プリンスホテルに向かうバスの中でのことである。前列に座っていたある社長が「旅行が終わるとまた月曜日に会社に行かなければならない」とボヤいた言葉にガイドさんが反応した。
「あらっ、社長さんでも会社に行きたくないなんてことがあるんでしょうか?」
「そりゃあ、ありますよ。しょっちゅうですよ(笑)」
社長はビールを飲んでいてとてもいい気持ちのようである。
「どんな時に行きたくないと思われるんですか?私なんかは常に使われている身ですから、疲れた時とか上司に何か文句を言われそうな時には行きたくないと思ったりしますけど、社長さんがそう思われるなんて思いませんでした」
「そうだなぁ、いろいろあるけどクレームが起きてお客様に謝りに行かなければならない時なんかは行きたくないと思うよ。部下を通り越して『社長を出せ』まで来てるんだよ。半端じゃないよ」
「それはイヤですよね、分かりますわ」
「それから会社の中には変わったのもいるからなぁ。そいつとやり合わなければならない時なんかもイヤなもんだよ。家でカミさんと喧嘩した時に、家に帰りたくないと思う時と一緒だよ」
「あら、それも分かりますわ。家に帰らずに飲みに行く?」
「そうだろう。飲みに行くしかないよ。あれと一緒だよ。社長だからといっていいことばかりじゃないんだよ」
「結構、社長業というのも辛いものなんですね」
「そうだよ、分かってくれる?」
やり取りはバスじゅうに聞こえる声でやっているので、随所で笑い声が起こる。そのような話が随分と続いて、なんとなくその社長さんの苦労も分かったような気がしたものである。随分と儲かっている会社の社長さんである。
                                 (平成30年作)




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緋連雀

緋連雀見たさに山を一つ越え



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先日、富岡総合公園の脇を走っているとたくさんのカメラマンが並んでいたので車を停めて覗いてみた(写真)。
私「何を撮っているのですか?」
A「緋連雀が来てるんだよ」
私「来るのを待っているんですか?」
A「いや、もうたくさん来てるよ。見えるよ。あの木の上にいるのが見えない?」
私「ああ、いやに小さいですね。肉眼じゃよく分からないですね」
A「撮ったのがあるよ。見る?」
私「お願いします。見せてください」
望遠で撮ったのを見せてくれた。
私「この時期だけ来るんですか?」
A「そう、この時期にヤドリキの実を食べに来るんだよ。ここ2、3年来なかったからみんな必死だよ(笑)」
私「撮った写真は写真展か何かに出すんですか?」
A「出す人もいれば出さない人もいる」
B「出したくても出せない人もいる(笑)」
A「ヘヘヘ」
B「テレビで紹介されてここも有名になったので結構集まって来るんだよ。今日はこれでも少ないくらいかなぁ。お寺なんかのヤドリキにも来るんだけど、カメラマンってマナーの悪いのも多いので入れなくされちゃうんだよね」
A「どこかの会社で役員をしていたのが引退してカメラを始めて、何様って顔で来るんだけど、お前の部下じゃないってぇの(笑)。節操もなくやらかすのは、そういうタイプのやつなんだよ。まさに老害だね。威張ってやがって困りもんだよ」
誰のことを言っているのか、心当たりがあるらしい。
A「あれ、またあのおばちゃん、来てるよ」
B「向こうでも言ってるよ、あの人また来てるって(笑)」
A「この山の向こうに住んでるらしい」
B「わざわざ来るかねぇ、ここまで、暇なんだろ(笑)」
仲の良い二人のようである。
私「ずーとこうやって見てるんですか?」
A「帰ったって、やることないからなぁ(笑)」
B「おれはそろそろ帰るわ。それほど暇人じゃないんで(笑)」
A「どうせまた、パチンコだろ(笑)」
B「じゃ、ま、ごゆっくりどうぞ、お先(笑)」                
                                 (平成30年作)




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