天文 - ひこばえ
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日向 亮司

Author:日向 亮司
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ひこばえ


天文 カテゴリーの記事

風光る

曲るたび光る風あり高速路



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3月21日(土)、いよいよ葦焼き見学である。出掛けてきた。
カーナビで検索すると最初の目的地「生井の桜堤」まで129キロ、所要時間2時間半と出た。葦焼きの点火が8時半で、その1時間前にはカメラマンの三脚が土手にズラッと並ぶという。遅くとも4時半には出ようと考えていた。10分ほど遅れて出発した。車の中での会話である。
妻「いつも出掛けにドタバタするよね。前の日から準備しておけばいいのに……」
私「何だカンだと言っても、結果はオーライになるんだよ、いつも(笑)」
妻「……」
私「あっ!」
妻「何!どうしたの?大きな声を出さないでよ」
私「昨日の夜、寝る時に見ていた地図を枕元に忘れた。いろいろとメモを書き込んでおいたのに……」
妻「戻る?」
私「いいよ、行く場所は全部覚えているから」
妻「……」
私「あっ、歳時記も忘れた」
妻「……」
車はすでに高速道路に入っている。
妻「携帯電話の充電器は?」
私「それは持って来たけど……歯間ブラシと帽子も忘れた……」
まぁ、旅行が出来なくなるという訳ではない。準備という概念がスッポリと抜け落ちてしまったようである。
東北自動車道を走り、カーナビの指示通りに久喜インターチェンジで降りた。空は晴れ渡っている。
私「加須で降りると思ってたけどなぁ……」
妻「大丈夫?」
私「渡良瀬遊水地に一番近いのが加須だったんで、てっきりそこで降りると思っていたんだけど、カーナビがそう言うんだから間違いはないだろう(笑)」
妻「いい加減ねぇ(笑)」
私「俺よりカーナビの方が正しいよ」
妻「それはそうだけど、普通、それくらいは調べておくよね」
いろいろと言われながらも7時には目的地に到着した。予想では土手の駐車場は車で一杯のはずだったが停める場所に事欠かないくらいに疎らである。コロナウイルスの影響のようである。疎らとはいっても三脚は並んでいる(写真)。トイレに近い場所に停めて外に出てみた。
<寒い……>
モモヒキは穿いてきたが、セーターを忘れたようである。横浜で9℃だった気温が2時間半経って4℃に下がっていた。
                                 (令和2年作)




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冬日射す

死をいとふ日々竹林に冬日射す



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誰もいない禅林をゆっくりと歩いた。とても静かである。昔のことを思い出していた。古い手帳を見ると平成12年(2000年)1月となっている。もう20年も前のことである。浜風句会の人達と一緒に道川虹洋先生を囲みながら瑞泉寺を訪ねている。吟行のあとに句会を開いていて全員が出句している。先生を含め12名である。私が46才。浜風句会に入って3年目である。その時のメモや詠んだ句が残されている。全員5句ずつ出している。

武者凧を駅に飾りて古都の春
臘梅や念誦のひびき堂に満つ
禅林の冬菊色香失はず
耐ゆること秘めて紅さす冬木の芽
木漏れ日にこぼれて碧き竜の玉

道川先生の句である。鎌倉駅に集合したのだが、そこに飾られていた武者凧のことを詠んでいて「集合した時からもう句を作っていたのだなぁ」と心構えから教えられたような気がしたことを覚えている。禅林という言葉もその時に教えてもらった。草花のことに掛けては知らないことがないというほどの知識量だった。夜遅くまで机に向かい、図鑑を調べながら漢字の練習までして造詣を深めていたことを亡くなった後になって娘さんから聞かされた。推敲前の作り立てホヤホヤの状態であるが、どの句をとっても気品がある。いい先生に出会ったことを今更ながら痛感している。
私がその時に詠んだのが掲句である。どなたからか「日向さん、よくそうやって上手く詠めるものですね」と褒められたのだが、実は上五の「死をいとふ」は瑞泉寺境内に据えられていた石碑からの転用なのである。歌人吉野秀雄の和歌「死をいとひ生をもおそれ人間のゆれ定まらぬこころ知るのみ」から取ったのである。
苔に被われた石段(写真)を登り切るとその石碑が20年前と同じ姿で置かれていた。懐かしくあの時のことを思い出すと共に、もう会うことの出来ない先生のことを想って胸が苦しくなるのであった。
                                 (平成12年作)




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星朧

亡き人を想へば星もおぼろなり



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桜木町のビルの4階である。みなとみらいの夜景を一望する眺めの良い場所であり、いつもの野毛や関内の安い店とはひと味違う。待ち合わせの10分前に着くとメンバーはすでに到着していた。私を含め3人、MさんとOさんである。
私「あれっ、どうしたの?ビール飲んでないの?」
Mさん「今までかつて日向さんが到着する前に飲んでいたことがありますか?(笑)」
私「いつも飲んでたじゃん(笑)」
Mさん「おそらくそれは飲み放題コースでない時だと思います。今日は飲み放題コースにしましたので、日向さんが来る前にスタートすると少し損することになります(笑)」
私「そういうことか(笑)」
今年の初顔合わせなので近況を確認したあと、本来もう一人いるはずのI君の話になっていった。当初その4人のメンバーで飲んでいたのである。カラオケに行くのも4人だった。しかしI君は今、倫理の会の会長を務めている。なかなか忙しいようである。
Mさん「I君も誘ったんですが、倫理と重なってしまったそうです」
私「ただ一人、倫理で頑張っている貴重な男だからなぁ。凄いよ、あいつは」
Mさん「一番頼りない感じだったんですが、会長まで上り詰めるんですから本物ですよね」
私「イツ子さん(写真)から託された想いもあるんだろう。あの話は本当に倫理そのものだよなぁ」
Mさん「なんですか、イツ子さんの話って?」
私「あれっ、言ってなかったっけ?イツ子さんが亡くなってすぐにご自宅に弔問に行った帰りにI君本人から聞いた話。I君の涙の理由……」
Mさん、Oさん「知らない、知らない、聞いたことない」
私「イツ子さんのお別れの会の時に、集まった皆さんにこの話をしていいかと聞いたけどI君に断られた」
Mさん、Oさん「おお、聞きたい、聞きたい」
私「倫理で何か催事があった時のことなんだけど、いつもは出席するイツ子さんが出席できないということになって会に金一封を包んで来たんだよ。封筒に入れて会計担当だったI君に渡したんだけど、I君、あれやこれややっている内に封筒を紛失してしまったんだ。ホテルの会場や自宅など心当たりの場所は全部探したんだけど、やはり見つからない。当時の会長にも報告したらしい。紛失したお金を自分で補填するという手もあったかも知れないけど、封を開けていないので金額すら分からない。そこでI君はイツ子さんの所へ行って正直に話したんだ。話を聞いたイツ子さんは『失くしたと思ったものはいつか必ず出てくるものだからもう一度探してごらんなさい。その間、会計を締めなくちゃならないでしょうから同じ金額のものをもう一度預けておきます』と言ってお金をまた包んでくれたそうなんだ。イツ子さんらしいよなぁ。I君は言われてもう一度、探すんだけどやはり見つからなかったらしい。自宅を探したんだから奥さんにも息子さんにも失くしたことを話している。お金は催事も済んでしばらくした頃にホテルに預けておいた書類の中から見つかったんだ。すぐにイツ子さんの所へ持って行ったらしい。話を聞いたイツ子さんは『良かったわね。でも一度出したお金は受け取る訳にはいかない。折角だからそのお金で一緒に食事をしましょう。奥様にもお子さんにも心配を掛けたんだから一緒に連れてらっしゃい』ということになって食事をしたらしい。その場所でイツ子さんが何を話したかは聞いていないけど、大体想像つくよねぇ。そのイツ子さんが亡くなってご自宅にお邪魔した時にI君が泣くんだ。『どうしてそんなに泣くんだ?』と聞いた私に帰りの車の中で話してくれた内容だよ。I君が泣いた意味が分かったでしょ」
Mさん、Oさん「いい話だなぁ」
飲み放題を時間まで飲んで、野毛のスナックで終電間近まで騒いでMさんの送別会とさせてもらった。
                                 (令和2年作)




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東風

トロ箱を飛ばして東風の魚市場



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説明会の開催場所が横浜駅東口のポートサイド地区にあるビルの1階である。開催時刻が12時から2時となっている。
<12時?昼メシはどうするの?>
その日は土曜日だが会社の出勤日となっている。ちょっと抜け出して参加して来ることにした。高速道路で行けば20分位だろうが食事時間も考えて10時半には会社を出ることにした。食べる場所はポートサイドの近くにある横浜中央卸売市場の中の食堂と決めていた。行ったことはないが一度は入ってみたいと思っていたのである。カーナビに案内されるままに市場内の駐車場に入り込んだ。昼食時だというのにあまり混んでいない。朝の仕事を終えて作業員が帰ったあとなのだろうか。まずは食堂を探すところから始まった。車から降りて市場の中に紛れ込む。フォークリフトを運転する人や水を撒いて清掃している人がいた。男性に食堂を尋ねると入り口付近にあると教えてくれた。「コーヒー、朝食」などの文字が見える。中に入ると飲食街となっていて向かい合って何軒も食堂が並んでいた。一瞬どこに入るか迷ったが、一通り歩いてみて一番奥の「カネセイ」という店に入ることにした。
「いらっしゃいませ。奥のテーブルで相席でお願いします」
女性に言われて男性客と向かい合わせに座ることになった。市場の作業員風に見えた。何を食べようかとメニューを見ていると「お待ちどうさま」と言って男性に料理が運ばれてきた。「まぐろ鉄火丼」である。私は女性に「船盛定食」とビールを頼んだ。車だが説明会には歩いて行こうと思っている。向かいの男性は食べる前に鉄火丼の写真を撮っている。市場関係者がいちいち写真を撮るわけがない。作業員ではないようである。私はビールを飲みながら持ってきた本を読み始めた。男性は食べ終えて出て行った。私の「船盛定食」が運ばれてきた(写真)。早速写真を撮った。そこに新たにお客が入ってきて私の前に座ることになった。40才位の女性と外人の男性である。壁のメニューを眺めたり、手元のメニューを見て考えている。すべて英語である。私の「船盛定食」を見てどうのこうのと言っている。男性は「ノーノー」と言っている。<人の食べているものを見てノーノーはないだろう>と思ったが言い返す術はない。女性が注文した。「焼き魚定食一つと船盛定食一つ、お願いします」
と、その時である。外人が足を組んだようでテーブルがガクンと持ち上がった。たまたまその時、醤油差しを持って小皿に注いでいた時なので醤油をお盆に零してしまった。「あっ、スミマセン……」男性ではなく女性の方が私に謝ってきた。「いや、大丈夫です」女性が男性に英語で何かを言っていたがそれが足のことを注意したかどうかは分からない。男性は私の顔を見て顔色一つ変えるでもなく、エヘラ笑っている。変な顔をした外人である。テレビでは新コロナウイルスのことを流している。外人が「コロナ」と言ったので英語でもコロナはコロナというのだなと思った。男性が何人なのかは分からない。アメリカ人ともヨーロッパ人とも分からない。少しおかしな顔をしている。決して美男子ではない。<どこの国だろ?>どうでもいいことだが少し気になる。ようやく私が食べ終わる頃になって二人の分が運ばれてきた。「船盛定食」は女性が食べるようである。男性には「焼き魚」が運ばれてきた。「オッー!」外人が声を上げた。私もつられて覗き込む。「オー!」焼き魚といっても魚の頭一つなのである。
私「いやに、大きいねぇ(笑)」
女性「本当にスゴイ(笑)」
私「これ、何の魚なの?」
女性「ブリ?」
私「エッ、ブリ?ブリってもっと大きいんじゃないの?」
女性「たしか、ブリだと思うんですけど……」
その後、外人と女子の会話が始まった。もちろん英語である。男性が箸でブリの頭を突いている。硬くて箸も刺さらない。女性が頭をひっくり返してやる。半身になっている。ついでに身をほぐしてやっている。やさしい。男性は見ているだけである。<オイオイ、女性にやらせているんじゃないよ。自分でやれ、このブリ野郎>と口には出来ないことを心で思っている。<そうだ、こいつの顔はブリに似ている>クダラナイことを思っている。<お前の国に焼き魚はないのか><なんで女性にそこまでやらせているんだ!>男性がブリを食べた。「グー」<何がグーだ。このパー野郎>どうしてこの男性にここまで敵意を持ってしまったのかは分からないが、たまたまその時に読んでいたのが高浜虚子の「嫌な顔」である。自分に反逆した水原秋桜子のことを書いた小説と言われている。
                                 (令和2年作)




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春の闇

春の闇エンドロールは最後まで



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何の映画かを調べもせずに観始めることになってしまった。<アカデミー賞受賞作品なのだからハズレはないだろう>ただそれだけである。いきなり半地下のアパートに暮らすキム一家4人が映し出される。全員失業中。上の階のWi―Fiを使ったり、ピザ屋の箱の組立のアルバイトでクレームを出したりしている。昔行った韓国の路地裏を思い浮かべた。息子の友人が「山水景石」という石を持って来る。幸福をもたらす石だという。その友人がIT会社の社長令嬢の家庭教師という仕事を持って来る。経歴を偽造し採用されるあたりからストーリーがテンポよく動き始める。見ていてこれはコメディかと思ったほどである。家族全員が社長宅に採用される。英語の教師、美術の教師、運転手、家政婦である。「パラサイト」まさに寄生虫となって生活を変えていく。それにしても安直にストーリーが進んでいく。あり得ないと思う出来事を有無も言わさずに押し付けてくる。何だ、何だ、何だ!!!この映画は……。
ところが話は思わぬ方向に進んでいく。えっ、えっ、えっ???そんな風に進んでいくの?そうなんだ……。
地下の核シェルターが出てくる。北朝鮮を隣に持つ国だ。シェルターは当り前かも知れない。洪水が起こる。家屋に浸水する。体育館で避難生活を送る人達が映し出される。日本でもここのところ頻繁に起こる災害が韓国でも同じように起きていることが分かる。フムフム、なるほど、なるほど……頷くところも多い。
急に暴力的なシーンに変わる。ワッワッワッ……一瞬、目を瞑りたくもなる。迫力ある描写が続く。音響も効果的だ。次から次へと矢継早に物語が進んでいく。サスペンスあり、スリラーあり、狂気あり、家族愛あり……。
カメラワークもいい。俯瞰したり床面から写したりとバラエティに富んでいる。
最後は考えもしなかった結末である。何、何、何……ヒャー……こんな展開になると思わなかった……すごい……フー……なるほど……面白かったぁ~。
終ってしばらくして身体に力が入っていることを知った。全身が硬直している感覚である。エンドロールを見ながらその緊張を解こうとしていた。<なるほど、アカデミー賞だなぁ……>涙はなかったが、所々に笑いがあり驚きがあり、納得の2時間になっていた。素晴らしい。いい映画だ。これ以上の表現が見つからない。
夕食時の妻の感想である。
妻「息を詰めて画面に見入ることを久々にやったって感じね(笑)」
私「そうそう、本当にそういう感じがした(笑)」
                                 (令和2年作)




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