ひこばえ
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寒に入る

「気を付け」の号令一下寒に入る



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講義のあとは、それぞれの班に分かれてのミーティングである。まずはリーダーの選出。知らない同士ではあるがこれは一瞬で決まった。一番若い人が選ばれた。石川県金沢市の近江町市場で魚屋を経営している会社の専務さんである。周りの6人が一斉に推したので、いやと言えなかったのかも知れないが、あとで考えると本当に最適な人選だったのである。他の人がいい加減だった(笑)と言っているのではないが、一番几帳面で責任感が強く、緩みがちになりそうなチームを冷静に纏め上げたのである。適材適所とはこのことであろうか、見事な仕事ぶりであった。
他のメンバーに比べリーダーにはいろいろな仕事が回ってくる。10チームのリーダーが別の場所に集まり、倫理研究所の指導員から様々な指令を受けてくるようで「いついつまでにこれこれのことをしなければなりませんので、皆さん協力お願いします」と頻繁に言ってくる。結構細かい指示も来る。普段なら適当に済ませてしまいそうなことも、彼は完璧にこなそうとする。しかも率先して自らが行なおうとするので、それを受けてメンバーも動かざるを得ない。
「これから30分間、全員で話し合いを行います」
「靴は揃えるようにお願いします」(写真)
「風呂は〇時までですので時間厳守でお願いします」
「朝起きましたら、布団はマニュアル通りに畳んでください」
もし私がリーダーなら「とは言っていましたが、これくらいのところまでやれば大丈夫でしょう」などと手を抜いた所かも知れないが、彼にはそれは出来ないようで、あくまでも完璧を目指して率先垂範、自分から動いていたのである。

翌日の講義だったか、「幸せの黄金律」というのを学んだ。
① 「してもらうことを待つより、してあげること」
② 「愛されることを待つより、愛すること」
「どうしてあの人は言ったことをやってくれないのだろう」と不満を持つより、まずは自分がやってみることなのだ。今回、リーダーは進んで自分から動いた。その姿を見て全員が協力した。協力しなかった人は一人もいなかったのである。きっと彼は何か大きなものを掴んだに違いない。
                                 (平成29年作)

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押しくら饅頭

人の世は押しくら饅頭にも似たり



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皆さん、お早うございます。1月7日(土)参加してきました富士研の報告をさせていただきます。出掛けた日は当会モーニングセミナーの日でした。朝、A子さんから少しお小言をいただきました。初めて参加してくれた人や他会からの参加者の「おもてなし」が出来ていないというものでした。A子さんが気付いてくれてコートを掛ける場所や前の方の席までご案内してくれたそうですが、いつも出来ていることがその時はついウッカリしてしまったようです。専任幹事である私に一言指摘がありました。そのあと、モーニングセミナーが終わり、富士研へ出発しようとした時です。今度はB男さんが重要な相談があるとのことで私を呼び止めます。何事かと思うと、先程のA子さんが言ったことをそのまま繰り返します。「ああ、それは先程A子さんから聞きましたので大丈夫です。来週にでも皆さんにお話しします」と答えました。A子さんは私にだけでなく誰にでも言っているのだろうかと思いました。そのA子さんがまた私に近づいてきて、同じ話をしようとします。「また同じ話?一度聞いたら分かるので大丈夫ですよ」少し語調がきつくなっていたかも知れません。さすがに同じ話を3回も聞かされると、折角のいいアドバイスも違う意味に聞こえてきます。私の中に「責め心」のようなものが起きてしまったようにも思います。「来週みんなに話をしてお出迎えの在り方を見直してもらおう」と思いましたが、心の奥にちょっとした棘が刺さったような感じが残りました。
富士研に到着し2時からオリエンテーションが始まりました。冒頭、講師の先生が話してくれたのが「要物必与」です。「必要な物が必要な時に必要な形で与えられる」です。そしてその次の話が「変わる人」「変われない人」です。素直な心で相手を受け入れる。受け入れる心さえあれば、何でも解決できる。それが出来る人が「変われる人」であり「成長する人」であるという話です。話を聞いた時、朝の出来事が思い出されました。あの時に浮かんだ「責め心」を思いました。そして、心の奥の棘がストンと取れた気がしました。「同じ話を3回もしなくても分かるよ」と思うべきではなかったのです。「ありがとう。気付かなかった。いいアドバイスをありがとう。すぐに改めるよう、みんなに声を掛けます」と言えば良かったのです。
富士研ではたくさんの学びと感動、そしてチームワークの素晴らしさを学びました。おそらく教えられたものの10分の1も身に付いていないとは思いますが、この経験を日常に役立てていければと考えております。まだ参加されていない方には是非お勧めいたします。貴重な体験をさせていただき有難うございました。
                                 (平成29年作)

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冴ゆる夜

冴ゆる夜の講堂に入る黙礼す



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場所は東名高速の御殿場インターから車で15分ほどの富士山の麓である。集合時間2時の1時間前に到着して一番乗りである。一緒に行った会長はさすがに顔が広い。研修所の担当者と話をして受付をさせてもらい、割り当てられた部屋で待つように手配してくれた。会長と私の部屋は別々である。部屋に行くと7人部屋のようで知らない会社の人達の名前が張り出されていた。ドアを開けて入ると一間である。20畳くらいはあるだろうか。テーブルが1台あるだけで、あとは何もない。白一色、殺風景を通り越して妙な空間に見える。中で待つこと30分、一人二人と現われた。凄い荷物を持ってくる人もいる。広島県からだという。若い人もいる。石川県からだという。長野県からの2名と滋賀県からの2名が到着して計7名が揃った。自己紹介をしている間もなくホールに集合である。いよいよ研修スタートである。
最初に研修期間中のルールの説明があった。講堂は学びの場所なので、入室の時には「失礼します」といい、退室の時は「有難うございました」と言うこと。またそれぞれの部屋や食堂の出入りの際には手前で静止して黙礼をすること。靴を脱いだら手を添えて揃えること。トイレで手を洗った時は弾いた水滴を備え付けの雑巾で拭くこと。布団はシーツも枕カバーも端を揃えて畳むこと。食事の際はリーダーの唱える挨拶の言葉を復唱し、後始末に徹すること。時間には遅れないようにすることなどは当たり前である。

最初の講義で「要物必与」という言葉の説明があった。辞書に載っている言葉ではなく倫理法人会だけで使っている言葉のようである。意味は「必要な物は必要な時に必要な形で与えられる」である。ある人が倫理法人会の「万人幸福の栞」を読み、たまたま読んだその箇所が自分の悩みにヒントを与え解決方法を見つけることが出来たというような体験をよく聞くが、おそらくそういったことなのだろうと思って聞いていた。その次に、同じように倫理法人会で学んでいながら「変わる人」と「変わらない人」に分かれてしまうのはなぜだろうかという問い掛けである。確かに倫理法人会に入って急激に変化していく人がいる一方で、何も変わらない人もいる。「変わる人」とは澄んだ心で聴く耳を持ち、あるがままを見て、何事も自分のこととして受け止めることの出来る人。「変わらない人」とは自分は常に正しく、間違っているのは相手と決め付け、相手を改めさせることばかり考えて反省をしない人。どんな時でも相手を受け入れる素直な気持ちが大切であるという話である。
その話を聞いて私の中に響くものがあった。その日の朝に起きた出来事で少し気になっていたことがあったのだが、話を聞いてストンと落ちたのである。私にとってその話はまさに「要物必与」だった気がする。後日、その話を倫理法人会のモーニングセミナーの場で5分間にまとめて話してみたので次にその内容を記しておこう。
                                 (平成29年作)

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寒晴れ

寒晴れの富士へと俄か行者かな



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泊まり掛けの研修は何年振りだろう。30才の頃、BEC(ベーシック、エンカウンター)という箱根の山奥で行ったものに参加したことがあったが、それ以来である。あの時は「自分自身との出会い」がテーマだったように記憶している。少人数のグループが編成され、集団の中でどうあるべきかを考えながら自分自身と向き合っていくというもので、随分ときつかったことを覚えている。今回もそれに似たようなものかも知れないと思いながら参加した。今回の主催は倫理法人会である。
出掛ける前にいろいろな人から話を聞いていた。雪道を裸足で歩く、砂利の上に正座して座禅をする、声を限りに挨拶の練習を行なう、水に打たれる滝行もある。人の道を学ぶだけではなく、何やら人を極限状態に追い込んで修行のようなことをさせるらしい。しかも寝る時間、起きる時間が決められ、テレビも新聞もないという。お酒はもちろん駄目で2泊3日、相当に品行方正な生活を強いられるようである。「大丈夫かなぁ、付いて行けるかぁ」少々不安が残る。
事前に「受講申込用紙」が送られてきた。記入する内容は本人確認欄のほか家族構成、体調、受講目標、セミナーで学びたいことなどである。資料の中には「このセミナーで学んでいただきたいこと」という文章も入っていた。「実践力」「生命感覚」「純粋倫理の探究」「真のチームワーク」の4つを学んで欲しいという。滝行についての資料も入っていたが、これは過去にセミナーに参加したことのある経験者に限定していて、私の場合は初参加なので対象外のようである。残念でもあるが、気が楽といえば楽である。当会で参加するのは会長と私だけである。会長に話したところ、滝行は絶対にやるべきだという。
会長「絶対にやってください。滝行は最高です」
私「初回の人は駄目だと資料に書いていましたよ」
会長「大丈夫、大丈夫。去年も参加しましたけど、初参加でもやらしてくれました。頼めばやらしてくれますよ。ただし、血圧の高い人は計測があるので引っかかるかも……」
私「血圧は大丈夫です。しかし、フンドシが無い」
会長「フンドシだけは買っておいてください。無ければ出来ませんから」
ということで、体験出来るかどうかは疑問だったが万が一の場合を考えてフンドシを用意することにした。アマゾンで648円というものが売っていた。「いやに安いなぁ」と思いながらも買うことにした。届いた品物を見てみると、やはり薄い。水に濡れると透け透けになりそうである。「まぁ、いいか。風呂に入ると思えばいいや」
それにしても問題はこの頃の私のアマゾンでの購入履歴である。暮れの忘年会で使用するためサンタクロースの衣装を買ったのだが、普通の服の下に着込んでおいて突然全員の前で服を脱ぐという趣向だったので、薄手のものを頼んだ。「サンタクロース衣装、女性用フリーサイズ」というものだった。しかし、小さすぎて着られるものではない。仕方なく背中を割って紐で縛って使ったのだった。その一週間後の「フンドシ」である。アマゾンに履歴を担当する人がいるかどうかは知らないが、もしいたとしたら女性用コスチュームのあとのフンドシである。どう思われるか分かったものではない(笑)。
                                 (平成29年作)

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木枯し

木枯しや彼女にはある咽喉仏



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ソファに腰掛けると、すぐに女性がやって来た。いや女性ではない。ゲイのお姉さんである。ママとは馴染みのようで「この間はどうも」などとやっている。店はそれほど広い訳ではない。奥にカウンターがあって、そこにオーナーだという初老の男性がいるばかりである。
「あらっ、社長さんなの?それはそれはご苦労様でございます(笑)。こちらは工場長様?お酒を飲まない?ウーロン茶?人は見掛けに寄らないという言葉はこの方のためにあるんじゃないかしら(笑)」
お酒を作りながらも話は最初からノリノリである。確かに話術は見事である。初対面でありながら居心地の悪さを感じさせない。楽しい。派手な付け睫毛も口紅もだんだん自然に見えてくる。いい感じである。名前はレミちゃん。年の頃40代半ばと見た。途中からもう一人、背の高いのが横に座ってきた。少し若い。名前はミチコさん。しかし、これがさっぱり気が利かない。ただ、座っているだけである。レミちゃんのそつのなさとは好対照である。横に座ったかと思えば私の膝に手を置いてくる。その手の大きいこと。私の手より相当に大きい。そして何もしゃべらず笑っているばかり。ついつい、からかってみたくなる。
「会社に一人いるんだよなぁ、似ているのが……。仕事は抜群で、いい腕をしているんだけど、人と話すのが苦手で一日中誰ともしゃべらないでいるんだよなぁ。〇〇というんだけど、もしかして貴方の本名、〇〇って言うんじゃないだろうね?(笑)」
2時間位いただろうか。私の初ゲイバー体験である。
「また、来るよ」
「絶対よ。本当にまた来てね。忘れないでね」
暮れの寒風が吹きつける中で肩を出したレミちゃんが表通りまで出て見送ってくれた。
(注)写真は当社の工場長とレミちゃんである。お二人には写真掲載の許可を貰っている(笑)。
                                 (平成29年作)

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