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日向 亮司

Author:日向 亮司
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冬空

冬空へひよいとトラギスよく釣れる



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船は八景島の横を抜けて千葉の富津沖へと向かった。波は穏やかだが、物凄いスピードで走るのでどこかに掴まっていないと飛ばされそうである。座っているだけでも力が入る。時折襲ってくる波しぶきに背を向けて足を踏ん張ったりしながら景色を眺めていた。
「スゲェ~、船がジャンプしてる。波が追い掛けて来る~。速ェ~」
乗り物好きのカズ君が疾走する船に乗ったのだから大興奮である。しかし初めの頃こそ面白がっていたものの徐々に疲れてきたようで「まだ~?」などと聞いてくる。長い。5才児にはツラいところである。
20分ほどしてようやくポイントに到着した。大きくエンジンを唸らせながら船の位置を移動し、向きを整えたところで「はい、どうぞ!やってみてください」と船長が合図した。さっそく準備に取り掛かった。竿に糸を通し仕掛けをセット。エサを付けて投入。チョンチョンと錘を動かし、当たりを待つ。隣のカズ君の竿を出す余裕はない。まずは1匹釣ってみせないことには話にならない。波はない。ゆっくりと船体が揺れているだけだ。すぐ近くに木更津の工場群が煙を吐いている。5分ほどしてヒットした。
「来た来た来た~」
小さい魚信(あたり)だったが確実に何か乗っている。巻き上げると10センチほどのシロギスが掛かっていた(写真)。サイズは小さいが本日の1匹目である。写真を撮ってバケツに放流した。カズ君も大喜びである。我々の横には小学校5、6年生の女の子を連れたお父さんが乗っていていい型のキスを上げていた。後ろの若者たちにも釣れたようで「これ、キスか」などの声が聞こえる。娘にもヒットした。なかなか出だし好調のようである。
時には20センチくらいのキスも掛かる。重い。巻き上げる途中にも強い引きを見せる。「トラギス」というのも掛かってくる。娘は「ダボハゼ」と呼んでいたが、おそらくトラギスが正解だろう。小さな魚信のあと、何も反応しなくなるので逃げられたと思って釣りを続けていると、このトラが掛かっていてシロギスが食い付く邪魔をしている。2回に1回はこのトラが顔を見せる。カズ君が数を数え始めたのでトラもバケツに放り込んだが、食べられるのかどうかは分かったものではない。油断しているとこのトラが指に噛みついてくる。結構、獰猛である。
途中から少し風が出て来て船も揺れ始めた。釣り始めて30分もしない頃、振り向くと後ろの若者たちの姿が消えていた。5人ともいないのである。
「あれっ、どこに行ったのだろう?」
                                 (平成30年作)




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冬の海

火を焚いてその真向かひに冬の海



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11月18日(日)、朝はドタバタである。娘とカズ君は6時に起きてきた。天気予報を確認すると<曇り、波の高さ0.5メートル>と変わっていた。
「晴れから曇りに変わっている。海上は寒いかも知れない。波はほとんどないので大丈夫だけど厚着はしていこう」
あれこれとやっているうちに時間が過ぎていき、家を出たのが6時40分になっていた。車を走らせて5分ほどしたところで道具の話になった。
私「あれっ、ハサミ、持って来なかった?」
娘「持ってきてないよ」
私「さすがに糸を切る時にハサミがないと話にならないだろう」
娘「店で売ってないの?」
私「何でも貸してくれると言っても、小物は置いてないだろう」
娘「どうする?家に戻る?家に行けば釣り道具一式あるよ」
私「戻ろう、ハサミは絶対に必要だ。昔のように歯で糸は切れない」
Uターンして家に戻った。娘が走って小物入れと釣竿などを持ってきた。
私「7時になっちゃう。急ごう。遅れたらマズイ」
大急ぎでコンビニでおにぎりや飲み物を買い、船宿に到着したのはギリギリ7時20分である。

船宿の男性が駐車場で待っていてくれた。
私「予約しておいた日向です」
男性「お待ちしてました。中へどうぞ。まずは乗船名簿を書いてください。時間がないので早目にお願いします」
船にはすでにお客が何名か乗り込んでいた。急いで名簿を記入し、代金を払い、ライフジャケットを着て、貸竿、氷などを受け取った。ギリギリに来たからといって他の人には迷惑を掛けたくない。サッサと済ませた。
我々が慌ただしく用意している横で談笑している若い男女がいた。男子2人、女子3人である。全員20才前後に見える。しかし同じ船に乗る人には見えない。なにせ、女の子の一人はミニスカートであり、男の子はとても薄着である。
<その格好でこの季節の釣りは無理だろう>
本当に乗るのだろうか。見ていると慌てる様子もなく一人ずつ代金を支払っている。乗るつもりである。ライフジャケットを着て「格好悪~い」などと言っている。乗船すると我々が右舷の席で、反対側の左舷に彼らが並んだ。
「初めての人に釣り方を説明しますので集まってください」
船長が竿と糸のセットの仕方、巻く時の注意事項、錘の落とし方、シロギスの誘い方などを教えてくれる。最後にエサであるアオイソメの付け方を説明する。
女の子「ええっ!それに触るの!気持ちワル~イ!」
                                 (平成30年作)




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手袋

その小さき手に手袋を忘れずに



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11月17日(土)朝、会社に向かう車の中から釣り道具を載せて走っている自転車の男性を見かけた。
「釣りかぁ」
久しくやっていないことを思い出した。夢中になって釣りに出掛けていた頃から30年近く経っている。ソ連崩壊のニュースを聞いたのも釣りに向かう車の中のラジオだった。1991年12月の出来事である。
会社に着いて翌日の天気、波の高さを調べてみた。<晴れ、東京湾1m>とある。
「絶好の釣り日和じゃないか!」
以前行ったことのある釣り船屋「進丸」のホームページを見てみる。<シロギス、午前船>とある。
「冬なのにシロギスがまだ釣れるのだろうか?」
シロギスは「夏」の季語である。本当に釣れるのだろうか。今月に入っての釣果などを見てみると<14~58匹、12~20センチ>などとある。釣れているようである。
「これならカズ君を連れていっても大丈夫だなぁ」
さっそく、メールを入れてみた。
私「明日、波1メートル。釣り日和、キス釣り、行こうよ。進丸、7時半出船」
娘1「天婦羅、美味しいよねぇ」
絶対に行くはずのない長女がすぐに反応してきた。
私「食べる方ではなく、釣る方だよ」
キスを待って投入したエサにダボハゼが食い付いてきたようなものである(笑)。
娘2「明日、予定入れちゃったよ」
本命がヒットしてきた。
私「今年最後のチャンスだよ」
娘2「キャンセルするか。道具は?」
私「買ってもいいし、借りてもいいし」
帰宅してあれこれと準備を進めた。船宿にも予約の電話を入れた。娘もカズ君も行く気満々である。
「寒いと思うからガッチリ着込んで行こう。道具は借りればいいよ。7時半の出船だから7時には船宿に着いていたい。6時半には家を出よう!」
「おー!」
                                 (平成30年作)




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紅葉かつ散る

紅葉かつ散れり西洋美術館



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Wikipediaでルーベンス(1577~1640)を調べてみるとカタカナ文字が多くて読みづらい。しかも長い。
「祭壇画、肖像画、風景画、神話画、寓意画、歴史画と様々なジャンルの作品を残した」とあり、最後のカテゴリには「フランドルの画家、17世紀の画家、宮廷画家、美術品収集家、ジーゲン出身の人物、ドイツの外交官、ベルギーの外交官」と書かれている。画家としてはもちろんだが、その他にも多彩な人生を送った人のようである。
会場には70点ほどの作品が飾られていた。長澤まさみさんによる音声ガイドを聞きながらゆっくりと回り始めた。平日とはいってもやはりたくさんの人が入っている。とても美しい絵ばかりだが全て1600年代の作品である。日本でいえば「関ヶ原の戦い」の時代ということになる。武士や百姓の姿を思い浮かべることは出来ても、その時代の人たちが筋肉隆々たる男性や豊満な女性の裸を描いている姿は思い描けない。さすがの德川家康もこれを見たら<ビックリ仰天>して驚くに違いない(笑)。
素晴らしい作品ばかりだったが、私を釘付けにしたのはやはり最後に飾られていた「エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち」だった(写真)。ギリシア神話の一場面を描いている。古代アテネの王ケクロプスの美しい3人の娘たちは王のいない間に女神アテナから「絶対に中を見てはいけない」と言われて1つの籠を預かる。見てはいけないと言われれば見たくなるのは何も日本の昔話だけではない。開けると幼子と蛇が入っていて3姉妹はその蛇に噛み殺され、幼子は成長してアテネの王となるという物語である。
音声ガイドではその絵の素晴らしさを彫刻と比較して説明していた。ルーベンスは絵を彫刻を描くことで学んでいる。様々な構図を描いたことだろう。彫刻はその周りを自由に回って見ることが出来るが絵は一方向からしか見られない。それをルーベンスは異なるポーズ、異なる向きで表わし、しかも色彩を与え、本当に生きているかのように表現したのである。まさに理想的な女性像が今にも動き出しそうにして描かれている。出口に向かうのがとても惜しいような気がして、いつまでも絵の前で立ち止まっていた。
庭園にあったロダンの「考える人」ももちろん素晴らしいが、「ケクロプスの娘たち」を見た目にはどうしても色褪せて見えてしまうのは雨に濡れているからだけとも思えなかった。
                                 (平成30年作)




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冷たし

「考へる人」打つ雨の冷たさよ



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東京都美術館で「ムンク展」が開催されていた。一度は見ておきたい<叫び>である。しかし日曜日などに出掛けると混んでいて身動きの取れない状態になりそうである。そんな状況では見たくない。平日に行くしかないと考えていた。ちょうど赤坂で得意先の会合があったので、少し早く出て観て来ることにした。
平日でも上野は人で溢れ返っていた。しかも雨である。少し寒い。傘を広げて駅を出て横断歩道を渡ったところで「ルーベンス展」の看板を見つけた。
<ルーベンスか。ムンクよりいいなぁ。そっちにしよう>
急に行先を変えた。国立西洋美術館に入ることにした。ルーベンスは昔ルーブル美術館で観ている。ダビンチのモナリザを見ようとして、急に現れたルーベンスに圧倒されたことを覚えている。ムンクのあの憂鬱そうな絵よりもルーベンスの迫力ある大作の方を観たいと思ったのである。
美術館の入り口を入るとすぐに庭園になっていて、そこにいくつかの彫刻が置かれている。ブールデルの「弓をひくヘラクレス」、ロダンの「カレーの市民」「地獄門」、もちろん「考える人」も置かれている。20年以上も前のことになるが、知り合いの画家とのやり取りを思い出した。野田さんという。当社の工場の一画で板金仕事を請け負う社内外注の仕事をしていた。その人が所属する絵画の会の発表会が毎年上野で開かれていて何度か誘われて見に来たのだが、その時たまたまこの西洋美術館に立ち寄ったのである。そこで初めて見た「考える人」に私はとても驚いたのである。
「あの有名な『考える人』がここにあるの?」
「複製?本物?世界にこれ1つだけ?」
「そもそも外に置いていて大丈夫なの?」

「日向さんもああいうのを見て感動していちゃ駄目だなぁ。有名な作品だからといって何も臆することないんだから。自分がいいと思ったものがいいんであって、有名なものが決していいものとは限らない」
会社の帰りに寄る居酒屋で彼がそう言っていたことを覚えている。あまりに私がロダンのことを驚いて話していたからだろう。
「いやいや、野田さんの絵よりも、やっぱりロダンの方が凄いでしょ。比較するものじゃないとか何とか言う以前の問題だと思うけど……」と言ったような、言わなかったような。
私の友人の中で唯一「画家」と称する人だったので、こと芸術に関しては一目置いていたつもりだが、決して彼の描いた作品を素晴らしいと思ったことがなかったので私にとっては画家だか何だか分かったものではない(笑)。
もう久しく会っていない。
                                 (平成30年作)




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