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日向 亮司

Author:日向 亮司
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福詣

茅葺の寺に始まる福詣



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昨年の暮れに俳句の会のメンバーからお誘いがあり、七福神巡りに参加することになった。1月6日(日)正午、上大岡駅に集合した。誰が参加するとは聞いていなかったが、メールの配信先からみて少なくても5~6名の参加と思い込んでいたので、私を含め3人と分かった時には驚いた。
私「えっ、3人だけ?」
西出さん「そう、みんな都合が悪くなって……〇〇さんと〇〇さんは今日が初句会。〇〇さんは年末にご不幸があり、〇〇さんは海外旅行帰り。まぁ、楽しく行きましょうや(笑)」
もう一人の参加者である北原さんもすぐに到着した。
私「3人だけのようです。よろしくお願いします」
北原さん「家にいても行くところのないメンバーということですね。まぁ、のんびり、やるとしますか(笑)」
このメンバー、実は以前にこのブログに登場している(平成25年8月1日、ひこばえ「暑気払い」)。上大岡の居酒屋でお銚子を十数本空けたと書いてある。あれから5年半経ち、それ相応に馬齢を重ねている。
行先や回り方は全部西出さんが考えてくれている。何事も相当に細かく調べるタイプの人である。寺の見所はもちろん、一カ所毎の所要時間や交通費まで抜かりない。
西出さん「まずは地下鉄で新羽まで向かいます。日向さんはあちら。我々はこちら」
私「なになに?」
西出さん「我々にはフリーパスがあるんだよ(笑)」
私「どこでも無料なの?」
西出さん「どこでもという訳じゃないよ。東横線なんかはダメだから。それに無料といってもちゃんと負担金は支払ってますから(笑)」
私「年は取りたくないと思っていたけど、いいこともあるんだなぁ(笑)」

前日の気温から10℃以上も下がって少々寒い。着膨れ気味に出掛けたのだが、それ位でちょうど良かったようである。最初に訪れたのが新羽町の「西方寺」。まずは恵比寿様である。駅を出てすぐに大きな茅葺屋根が見えた。参道に緑や赤の幟が立っていて分かりやすい(写真)。七福神巡りなど初めてのことなのでどうお参りするものかも分からなかったが、俳句の題材探しと思えば楽しいものである。最初に境内に咲き始めていた蠟梅の木の大きさには驚かされた。
                                 (平成31年作)




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寒菊

寒菊のあらんかぎりを君がため



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あれ以来、Sさんが当社の営業担当となった。様々な機械を彼から買っていった。機械化することで効率が上がるので次から次へと設備を増やしていったのである。価格交渉も彼と行なうことになる。
Sさん「社長、それは無理ですよ。そんな無理な金額は言わないでくださいよ」
私「無理なんて言葉は使わないことにしよう。何事も無理と思ったら終わりだ。無理と思ったところから考えたり工夫したりしてクリアしていくんだ。人生とはそういうもんだ」
Sさん「社長、何も人生の話をしてるんじゃないですよ。物にはそれなりの値段ってものがあります」
私「だから、それをどうにかしてくれって言ってるんだよ。決して無理を言っているんじゃない」
Sさん「無茶苦茶だなぁ。ちょっと待ってください。すぐには答えられませんよ」
私「誰もすぐに答えろとは言ってないよ。いつまでも待ってるから何とかその金額で頼むよ」

あの設備を入れてから2年くらいした時、当社の会議室でのことである。
Sさん「社長に入れていただいたあの機械、実はあれが初めてだったんです」
私「なに?何の話?」
Sさん「あの機械で薄板を加工しようとしたのは社長の会社が初めてでした」
私「嘘!嘘でしょ。結構、何台も売っているって話してたじゃないか」
Sさん「売るには売ってましたが、みんな厚板の会社でした」
私「へぇ~、そうなの?知らなかった。もし失敗したら終わりだったじゃん」
Sさん「いやいや、社長に失敗はありませんよ。見事に成功したじゃないですか(笑)」
私「バカヤロウ(笑)、本当かよ。脅かさないでくれよ。心臓が冷えたよ。分からない俺を摑まえて、よくもやってくれたもんだなぁ(笑)」
Sさん「社長のお陰で結構他の会社にも入れさせてもらっています(笑)」
私「悪い奴だなぁ。長生きしないよ(笑)」

あの時に言った<長生きしないよ>が現実になってしまった。あんなにいい人のことを悪い奴だと言ってしまったことを今更ながら後悔している。出来る事ならあの時に戻してもらいたいと思っている。
死因はちょっとした事故だったようである。心からご冥福をお祈りすると共に、感謝の言葉を捧げたい。本当にお世話になり有難うございました。
                                 (平成31年作)




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寒明ける

今まさに決断のとき寒明くる



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月曜日の朝、関係者を会議室に集めた。
「土曜日に見てきた。あれはいいぞ。シャリングが要らなくなる」
「どういう機械ですか?」
「大板に穴を開けて、その周りをレーザーで切るらしい」
「いくらするんですか?」
「7000万」
「社長、それは無謀ですよ。今、会社は儲からなくなってきてますよね。ここでそんな大きな投資をして、もし失敗したら命取りになりますよ」
集めた7名が全員反対だという。<ええっ!全員が反対?>さすがに自信がなくなった。そもそも自信がある訳ではないが、ここは相手に騙されているのかも知れないと思った。
私「アマダに電話しろ!Iさんを電話口に呼び出せ!」
頭に来ていた。よく分からない俺を騙そうとしたに違いない。すぐに文句を言ってやろうと思った。
私「もしもしIさん、今みんなに説明したんだけど、全員が反対だってよ。俺を騙そうとしたのか!」
すぐにカッとなる方である。
Iさん「社長、騙してません。大丈夫です。皆さん、あの機械を見ていないので分からないんです。分からない人に全然分かっていない社長が説明しているんですから誰も分からないのは当然です。大丈夫です。社長、全員を連れて来てください。見れば絶対に分かります」
ということでその週の土曜日に全員を連れて行くことにその場で決めた。
「都合が出来て行けないというのは駄目だぞ。今度は全員で行く」

アマダの展示会場で全員が納得した。
私「どうだ?」
技術担当「いいですね。買いましょう!」
私「よし、買うぞ。買うに当たって俺のイメージがある。イメージ通りの物を作ってくれ。俺のイメージは夜にボタンを押して帰ると誰も居ない工場でその機械が朝まで加工している世界だ。6人でやっている仕事を1人でやってもらう。土曜日も日曜日も無人で動くように作ってくれ。金のことは考えるな。金は俺がどうにかするので、絶対に妥協しないでそれを作り上げてくれ」
買うと決めて詳細の打ち合わせを担当してくれたのが亡くなったSさんである。当社の要求事項をクリアしようとあれこれ尽力してくれた。お陰でその半年後には順調に稼働し、当社の加工工程は大きく変化し、生産性は飛躍的に伸びたのである。
                                 (平成31年作)
(注)写真はその時に導入したパンチレーザー複合機である。24時間、無人で稼働している。




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春待つ

春待ちてはたと妙手の閃めけり



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私「現場からシャリングを増やしてくれと言って来たんだけど、もっと違う方法はないだろうか」
Iさん「待ってました!社長、ピッタリの機械があります。すぐに提案書を持って伺います」
Iさんはすぐに飛んできた。しかし、説明を受けたがよく分からない。
Iさん「社長、実際の機械を見てください。見れば凄さが分かります。何人か連れて営業所に来てください」
私「よし分かった。まずは見てみよう。何人か連れて行く」
その週の土曜日に行くことにした。当時の工場長と技術担当を連れていくことにした。現場は仕事に追われていて、それどころではない。ところが行く前日になって二人とも用事が出来て行けないと言い始めた。
「ええっ!俺一人……」
行くと言った手前、誰も行かない訳にはいかない。相手は準備して待っていてくれる。一人でも行かなければならない。土曜日、高速道路を走り時間前に到着した。
「いらっしゃいませ!」
ズラッと待っていてくれた。およそ7、8名である。パンチレーザー複合機という機械だという。担当が説明する。
「社長様の会社で加工している物がこの機械ではこのように変わります」
いろいろと加工して見せてくれるが、そもそもどんな加工をしているのかも分からない私である。「なるほど、なるほど」と相槌は打つもののサッパリ分かっていない。
「この機械ではこれも出来ます。あれも出来ます。こう変わります」
「フムフム、なるほど」
おそらく説明してくれている相手も私が分かっていないことに気付いていたと思う。
説明が終わってIさんを片隅に呼んだ。
私「何なの、この機械は。全然、やってることが分からないよ」
Iさん「社長、今、シャリングで板を切ってタレットパンチで穴を開けていますよね」
私「うん」
Iさん「それがこの機械では大板に穴を開けてから外周をレーザーで切っていきますので、シャリングの工程がなくなります」
私「えっ、シャリングがいらなくなるの?」
Iさん「そうです。レーザーで切った物をすぐに曲げればいいんです」
私「おお!いいなぁ。それは楽だなぁ」
Iさん「そうでしょう(笑)」
私「いくらするの?」
Iさん「7000万です」
私「分かった。7000万ね。そりゃ、いいなぁ。月曜日にみんなに話をする」
                                 (平成31年作)
(注)写真はシャリングで鉄板を切断しているところである。




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悴む

人の訃に驚きてのち悴めり



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昨年暮れ、悲しい知らせが届いた。長く当社を担当してくれていた機械メーカー「アマダ」の営業マンの訃報である。Sさん、51才。「嘘だろう!」これが私の第一声である。亡くなる少し前に会って話をしたばかりだったので俄かには信じられなかったのである。いつもと変わらず、とても元気だったあの時の顔が目に浮かぶ。
私「この間、大磯の別荘で御馳走になってきたよ」
Sさん「聞きました。どうでしたか。満足してもらえましたか?」
私「良かったに決まってるじゃないか。そっちが担当していた時に声を掛けてくれれば良かったのに(笑)」
Sさん「私もそう思いまして、是非日向社長を誘ってくれと頼んでおきました。担当を外れても社長のことはきちんと申し送りしてありましたから(笑)」
私「調子いいなぁ、相変わらず(笑)」
10年近くも担当してもらい、気心も知れ、お互いの癖も知り尽くしている。
悲しい別れに際し、絶対に書いておかなければならないことを綴っておこう。当社が大きく変化し、成長することになった大型機械を彼に勧めてもらった時のことである。感謝の思いを込めてレクイエムを記す。

話は平成20年9月のリーマンショックまで遡る。私が54才、社長になって4年目の頃である。様々な改善を施し、まずまずの成績を収めていた。遠くアメリカの証券会社が倒産したことが、どのようにわが社に関係するかなど考えてもいなかったが影響は翌年の2月3月頃に現われた。得意先からの発注方法が変わってきたのである。1ヵ月1度の注文だったものが1週間ずつ納入するようにと4分割されてきた。在庫を減らすためだという。それでなくても納期が間に合わないところに厳しいことを言ってきたので工場はテンヤワンヤである。発注単価の値下げ要求も厳しくなってくる。そこそこ儲かっていた会社が月次ベースで儲からなくなってきた。現場から声が上がった。
「社長、シャリングが間に合いません。もう1台、機械を買ってください」
当時のやり方は2台のシャリングで鉄板をカットし、それをタレットパンチプレスという機械で穴あけ加工するというものだった。カットする係2名、切った板を拾って揃える係2名、タレットパンチの係2名の計6名の体制で夜遅くまで働いていた。それをもう1台増やしてくれというのである。
私は社長とはいえ工場生産のことについては全くの門外漢である。元々が経理マンである。工場の中でどんな加工をして何をやっているのかさえ理解していない。しかし、シャリングを増設するのは「違うな」と思った。
「シャリングを1台増やすというのは違うだろう。もっと忙しくなったら更にもう1台増やしてくれということになる。すぐに置き場がなくなって限界が来る」
そう思った私はすぐにアマダに電話をした。担当者はまだSさんではない。その前の担当者Iさんである。
                                 (平成31年作)
(注)大磯のことは平成30年10月27日、ひこばえ「秋」に書いている。




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